モスクワ のクレムリン の生神女福音大聖堂。
『生神女福音大聖堂の十字行 』(K.Bodri、1860年 の十字行の光景を描いたもの)
モスクワ のクレムリン にある生神女福音大聖堂 (しょうしんじょふくいんだいせいどう、Благовещенский собор 、Cathedral of the Annunciation)は、生神女福音祭 を記憶するロシア正教会 の大聖堂 である。ブラゴヴェシェンスキー大聖堂 ないしブラゴヴェシェンスキー寺院 [ 1] (いずれもБлаговещенский собор から、前半部を片仮名で転写したもの)とも呼ばれるが、これは「生神女福音祭」を表す"Благовещенский "に由来するロシア語 名である。
生神女 (しょうしんじょ)とは正教会 において聖母マリア を指す"Θεοτόκος "(ギリシャ語 :セオトコス)[ 2] "・Богородица "(教会スラヴ語 :ボゴロージツァ)といった「神を生みし女」「神の母 」を意味する各言語における称号の、日本正教会 における直訳的な訳語である。
生神女福音祭とは生神女マリヤにイイスス・ハリストス が宿ったことが天使から告げられたことを記憶する祭であり、これを記憶するのが生神女福音聖堂である。カトリック教会 の受胎告知 に相当するが、正教会では「受胎告知」の語彙は用いられず、従って正教会の聖堂に「受胎告知聖堂」などの訳語を当てるのは適切ではない。
概要
生神女福音大聖堂内のイコノスタス 。
1484年 から1489年 にかけて、プスコフ の石工達によって建設された。当初は単円蓋式の聖堂であったが、イヴァン雷帝 (1530年 8月25日 - 1584年 3月18日 、在位1533年 -1584年)の時代に4つの聖堂が四隅に付加えられ、新しい円蓋が設けられ、さらに計9つの玉ネギに似た屋根(クーポル/クーポラcupola )も加えられた。
屋根は金メッキを施された銅板に覆われており、金色に輝くクーポルと白い壁の対比がこの大聖堂の特色となっている[ 3] 。長い年月をかけて作り出された複雑なシルエットは、同じくモスクワ のクレムリン にありながら質実な明晰性を持つ生神女就寝大聖堂(ウスペンスキー大聖堂) とコントラストを成している。
大聖堂はツァーリ とその皇族が奉神礼 に参与する場となり、この聖堂の神品 は20世紀 に至るまで、歴代のツァーリとその皇族達の痛悔機密 を担当しても居た。
この聖堂のイコノスタス には、アンドレイ・ルブリョフ 、フェオファン・グレク 、プローホルといった、正教会において歴史的に極めて重要な存在であり、かつ有名な15世紀頃のイコン 画家達が手がけたイコンが用いられており、大聖堂の至宝となっている[ 4] 。
ギャラリー
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
座標 : 北緯55度45分0秒 東経37度37分0秒 / 北緯55.75000度 東経37.61667度 / 55.75000; 37.61667