民芸店ましこ

民芸店ましこ[1][2][3]
Folk art store Mashiko
「民芸店ましこ」店頭
店舗概要
所在地 〒321-4217
栃木県芳賀郡益子町益子2901[1]
開業日 1952年[3](昭和27年)[4][5]11月3日[6]
営業時間 10時から17時まで[7]
定休日:火曜日
年末年始店休
駐車台数 2台
最寄駅 真岡鐵道益子駅から 徒歩13分/タクシー3分
最寄バス停 関東自動車路線バス「益子駅」発「宇都宮東武」行き「内町」下車 徒歩1分
最寄IC 東北自動車道経由 北関東自動車道 真岡ICから益子町まで約25分
常磐自動車道経由 北関東自動車道 桜川筑西ICから益子町まで約35分
外部リンク 民芸店ましこ 公式サイト
民芸店ましこ (@mingeiten_mashiko) - Instagram
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民芸店ましこ[1][2][3](みんげいてん ましこ)とは、栃木県芳賀郡益子町にある益子焼専門の民芸店:陶器販売店である[6][8][2][5][3]

益子町において初めて開店した「益子焼専門の民芸店」である[6][9][4][10][8][2][11][5]

沿革

佐久間藤太郎の娘がその妻に裁縫を習いに来ていたことがきっかけで[12]濱田庄司の知り合いとなった「民芸店ましこ」の初代・中山茂が[11][8]、濱田や佐久間から「益子焼の宣伝のために店をやってみないか」と持ちかけられたのがきっかけとなり[12][13][14]1952年[3](昭和27年)[9][4][15][8][16][2][5]11月3日[6][10][12]、濱田と佐久間の2人からの指導と[2][5]、益子焼の窯元有志の協力を得て[9][17][15][18]、濱田庄司が命名した[12][4][10][8][11]民芸店ましこ」の名称で[19]益子町では初めての「益子焼専門民芸店」[4][2][5]として開店した[6][14][17][20][10][18][21][8][2][11]。そしてその際には合田好道が看板を書いたと言われている[4]

濱田や佐久間の作品をはじめ[21]村田元などの作品も扱い[11]、開店当初から日用品が主な製品であった益子焼に適いつつも、必ずしも古さを感じさせない[15]素朴でシンプル、そして店主一家が実際に使ってみて「器としての良さ」がわかる[4][10]使い勝手の良い[4][17][15]普段使いが出来る[8]「正統派の現代益子焼」[10]にこだわって取り扱い[4]販売した[13]

そして濱田からは「商品である陶器をいつもきれいにしておくこと」などの助言を受けた[21]。また、濱田から「これは売れないかもしれないが、いいものだから置いてあげてくれ」と言われた品を店頭に並べるようになり、そこから多くのことを学んだ[16]

そして「民芸ましこ」を模した民芸品を販売する店舗が益子に増えていった[14][21]

濱田庄司ゆかりの民芸店であるため、現在も濱田晋作濱田友緒、そして濱田窯との付き合いは深い。年に一度、春の益子陶器市が行われる5月には「濱田窯展」が開かれる。また2012年(平成24年)1月には、東日本大震災で被災した益子参考館の「観覧支援」のために3代目・中山武が中心となり「「参考館へ行こうよ!」実行委員会」を発足させるなど、「濱田窯」ゆかりの活動は多岐に渡っている。

現在、「益子の民藝店」の役割を考え続けながら、作家のチャレンジ精神を応援しながら、「益子だから、お客さんには最も益子らしいものを見てもらいたい」と[18]、「本物の益子焼」を販売し、伝え続けるべく[16]濱田窯[8]のみならず、島岡製陶所加守田家[8]などの「益子焼の巨匠たちの家族」との付き合いを代々続けており[8]、今でも作家の窯の窯出しの日には仕入れに出かけ、自ら手にとって品選びをしている[8]

益子町で益子焼を扱う販売店の中でも「普段使いの出来る健康的な」民芸[8]の風合いを今も伝える、日常生活で末永く使う事が出来る[2]「益子焼の入門」に最適な[3]品揃えがある店舗となっている[6][9][3]

歴代店主

初代・中山茂[11][12]
:隼人の父。武の祖父。濱田庄司から「益子焼の宣伝のために」と勧められて「民芸店ましこ」を開店した[13]
初代の妻
:隼人の母。武の祖母。裁縫の先生をしており、佐久間藤太郎の娘を生徒として教えていた[13]。その縁で夫の茂が濱田や佐久間と懇意となり、「民芸店ましこ」が開店するきっかけとなった[13]
2代目・中山隼人[18][11][12][13]
:「民芸店ましこ」や益子焼、そして益子町の語り部的存在となっている[18][11][12][13]
3代目・中山武[3][22][23][13][24][13][25]
:「民芸店ましこ」が所在する益子町内町の中心的人物であり、「益子祇園祭」における益子町内町の組織「内若」の会頭も務める[26]。また東日本大震災で被災した「益子参考館」の復興活動に尽力した[22]。また「民芸店ましこ」で開かれる「濱田窯展」のDMや[27]益子参考館」で開催される様々な企画[28]、そして「濱田窯長屋門」で開催される「濱田窯長屋門ビンテージマーケット」のフライヤーなどに自作の切り絵を制作し提供している[29][30][31][24][32]
3代目の妻・中山久美[3][33][34][35]
:3歳の頃から益子町で育つ[3]。独身の頃、益子町のアジア雑貨店や、陶芸教室に付属するカフェに勤務した後[35]、友人と一緒にカフェを開業[35]。「民芸店ましこ」3代目・中山武との結婚、そして出産を機にカフェ運営を離れ、「民芸店ましこ」スタッフとして勤務[35]。また「民芸店ましこ」が所在する「益子本通りの会」や[35][36]「益子町観光協会女性部」など[35]に参加し、「オフィスましこのね」のスタッフにもなり益子町のフリーペーパー「ましこのね」の編集にも携わり[33]、益子町の活性化に貢献[35]。他にも益子町の子ども育成会による火災予防パレードなど、益子町の様々な企画に参加している[33]

主な取り扱い作家や窯元

時期により品揃えが異なる。また新規作家の取り扱いもされることがある[6][7]

過去に扱いがあった作家

脚注

注釈

  1. ^ 加守田章二の三男であり、加守田太郎と加守田次郎の弟である、半農半陶の陶芸家。

出典

  1. ^ a b c 『国内陶磁器・硝子器商工総覧 昭和50年度版』「陶磁器・硝子器販売 栃木県」「民芸店ましこ」P48 - 国立国会図書館デジタルコレクション 2024年2月20日、国会図書館デジタルコレクション デジタル化資料個人送信サービスにて閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i Re:raku 大人の地図帖 益子,新朝プレス 2012, p. 47.
  3. ^ a b c d e f g h i j twin月刊ツイン2018年4月号,株式会社ツインズ 2018, p. 14.
  4. ^ a b c d e f g h i 清水元彦 1996, p. 112.
  5. ^ a b c d e f 栃木さんぽ,散歩の達人MOOK 2016, p. 67.
  6. ^ a b c d e f g 民芸店ましこ - mingeitenmashiko ページ!
  7. ^ a b 民芸店ましこ (@mingeiten_mashiko) - Instagram
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 枻出版社,焼き物の里を訪ねて益子・笠間 2009, p. 29.
  9. ^ a b c d 清水元彦 1996, p. 35.
  10. ^ a b c d e f g h 真尾栄 1997, p. 92.
  11. ^ a b c d e f g h i 「下野新聞」2010年(平成22年)10月19日「とちぎ「温故知新」県文化功労者列伝 46」「陶芸家 村田元(むらたげん)(1904~1988)」「重厚で力強い独特の世界」
  12. ^ a b c d e f g 「真岡新聞」2015年(平成27年)1月30日付 7面「エピソードで蘇る 人間 濱田庄司」「命名に感謝し次世代へ」「民芸店ましこ2代目 中山隼人さん(88)」
  13. ^ a b c d e f g h i 茶器と文化を巡る旅 民芸店ましこで聞く 益子焼の歴史”. Article (2020_4_17). 2022年4月2日閲覧。
  14. ^ a b c 『陶説』(397)「栃木のやきもの (16)」近藤京嗣、P56 - 国立国会図書館デジタルコレクション、2023年4月14日、国会図書館デジタルコレクション デジタル化資料個人送信サービスにて閲覧。
  15. ^ a b c d 真尾栄 1997, p. 52-54.
  16. ^ a b c D&DEPARTMENT PROJECT編集部 2011, p. 40.
  17. ^ a b c 講談社 1996, p. 44.
  18. ^ a b c d e 季刊陶磁郎 1999, p. 18.
  19. ^ 『陶説』(570) 「柳宗悦に火を灯された人々」(65)、近藤京嗣、P57 - 国立国会図書館デジタルコレクション、2023年4月2日、国会図書館デジタルコレクション デジタル化資料個人送信サービスにて閲覧。
  20. ^ 真尾栄 1997, p. 83.
  21. ^ a b c d 『益子町史 第6巻 (通史編)』「第五章 戦後の益子」「第六節 高度経済成長期の益子」P1219 - 国立国会図書館デジタルコレクション、2023年4月14日、国会図書館デジタルコレクション デジタル化資料個人送信サービスにて閲覧。
  22. ^ a b 「下野新聞」2012年(平成14年)4月2日付 22面「「参考館」の魅力知って」「入場無料券全世帯に配布」「今月、益子の若手有志」「町の美伝え 再建盛り上げ」
  23. ^ 「下野新聞」2019年(平成31年)3月11日付 24面「このまち I Love」「益子」「中山 武(なかやま たけし)さん」
  24. ^ a b “陶と漆” 切り絵デザインアイテム-大塚誠一と松﨑修 二人展 陶と漆-|fennica(フェニカ)|”. BEAMS (2024年11月15日). 2024年12月4日閲覧。
  25. ^ 第018回 民芸店ましこ・中山武さんをゲストに「民芸店」のお話”. Potter's Po"t"cast (2021年10月26日). 2024年12月3日閲覧。
  26. ^ 「下野新聞」2019年(平成31年)3月27日付 24面「地域結束の要 修理完了」「内町屋台をお披露目」「祭り盛り上げへ喜びの声」益子
  27. ^ Tomoo Hamada [@tomoohamada] (2021年4月29日). "………DMの切り絵デザインは、民芸店ましこの中山武さんの制作。………". Instagramより2024年12月4日閲覧
  28. ^ 企画展ラテンの工芸展 関連イベント クロストーク「メキシコ民芸の魅力を語りつくす」|お知らせ”. 益子観光協会 (2023年3月31日). 2024年12月4日閲覧。
  29. ^ Tomoo Hamada [@tomoohamada] (2020年10月27日). "………民芸店益子の中山武さんには、DMの切り文字、切り絵を担当頂き………". Instagramより2024年12月4日閲覧
  30. ^ Mashiko Hamadagama Old Vintage Sale  “Second Stage“”. 益子焼窯元 濱田窯 (2021年10月11日). 2024年12月4日閲覧。
  31. ^ 益子濱田窯ビンテージマーケット2024 -Mashiko Hamadagama Vintage Market2024-|会員からのお知らせ”. 益子観光協会 (2024年10月1日). 2024年12月4日閲覧。
  32. ^ 益子濱田窯ビンテージマーケット2024 -Mashiko Hamadagama Vintage Market2024-|会員からのお知らせ”. 益子観光協会 (2024年10月1日). 2024年12月4日閲覧。
  33. ^ a b c 「下野新聞」2016年(平成28年)3月1日付 26面「消防団に興味深々」「子どもたちが防火行進」益子
  34. ^ 「下野新聞」2019年(平成31年)8月1日付 19面「このまち I Love」「益子」「中山 久美(なかやま くみ)さん
  35. ^ a b c d e f g [ましこのひとvol.12]民芸店ましこ 中山久美|益子町で暮らす人に「ましこの暮らし」について聞く。”. 益子町移住・定住ワンストップサイト|ましこの暮らし (2018年4月18日). 2024年12月3日閲覧。
  36. ^ 益子本通りまちのデザイン研究会 (@mashiko.hondori) - Instagram
  37. ^ 加守田次郎個展 -硝子絵-”. 銀座 黒田陶苑 (2016-11_19). 2023年10月8日閲覧。
  38. ^ 加守田 次郎 展”. アートサロン光玄 (2017年3月). 2023年10月8日閲覧。
  39. ^ 加守田次郎”. 楽空間 祇をん小西 (2020年11月21日). 2023年10月8日閲覧。
  40. ^ 加守田次郎さんの個展が始まります”. 銀座 黒田陶苑 (2022年2月11日). 2023年10月8日閲覧。
  41. ^ 中野中の足裏庵日記  -12-   ― 加守田次郎の感傷旅行 ―”. 高輪画廊 (2002年). 2023年10月8日閲覧。
  42. ^ 中野中の足裏庵日記(57) 加守田次郎-明日に向かう"いま"   ”. 高輪画廊 (2006年). 2023年10月8日閲覧。
  43. ^ 粉引の器,陶工房編集部 2020, p. 141.
  44. ^ 理想的な陶芸家像 高根沢三郎”. はんなりマンゴー (2020年10月31日). 2022年11月9日閲覧。
  45. ^ 「下野新聞」2009年(平成21年)9月20日 20面「企画 益子に吹く風 県内の若手陶芸家たち 12」「高根澤三郎(たかねざさぶろう)さん」「自然に清らかな物を」
  46. ^ やきものを買いに行く,平凡社 1996, p. 45.
  47. ^ 真尾栄 1997, p. 4,6.

参考文献

外部リンク