デイヴィッド・ハレル(David Harel)は、1980年までに出版された大量の論文を再調査した結果として、ベーム-ヤコピーニの証明の内容は民間伝承的定理(folk theorem)として常に誤って伝えられてきたと主張した。ハレルはコンピューターの初期に痕跡を残す2つの論文にこの民間伝承的定理の起源を突き止めた。1つは1946年のノイマン型の説明であり、1つのwhileループを使ってどのようにプログラムカウンターを制御するのかということを説明している。ハレルは、構造化定理の民間伝承バージョンによって使われる単一のループは基本的にノイマン型コンピューターにおけるフローチャートの実行のための操作的意味論を提供しているだけであると言及している。もう一つは、ハレルがこの定理の民間伝承バージョンを追跡して見つけたより古い出典であり、1936年からのスティーヴン・コール・クリーネのNormal form theoremである[7]:383。
ベーム-ヤコピーニの定理の直接的応用は、構造化チャートに導入されている余分なローカル変数(訳注:ループ途中脱出用のフラグのことだろうか?)といくつかの重複コードという結果になったのかもしれない[19]。後者の問題は、この状況で loop and a half problem と呼ばれている(訳注:なぜ後者の問題なのかは英語版に書かれていない)[20]。Pascal はこれらの問題の両方に影響されており、エリック・S・ロバーツ(英語版)(Eric S. Roberts)によって引用された経験的研究に従っている。学生プログラマーであるロバーツは、いくつかの単純な問題(配列の中から1つの要素を検索する機能も含む)のために Pascal で適切な解法を公式化することに困難を感じた。ロバーツによって引用されたヘンリー・シャピロ(Henry Shapiro)による1980年の研究は、Pascal が提供する制御構造だけを使うと、適切な解法を得られた課題は20%だけだった。一方、ループの途中に return を書くことを許せば、この問題のために不適切なコードを書く課題は存在しなかった[16]。
コサラジュの論文から得られる単純な結論は、あるプログラムが2つの異なる脱出口を持つループを含んでいないときだけ(変数を追加せずに)あるプログラムを構造化プログラムへ変換できるということである。変換可能性はコサラジュによって定義された。大雑把に言うと、同一の機能を処理し、同じ「基本動作」を使い、そして元のプログラムと同様であると断言できることである。しかし、元のプログラムと異なる制御フロー構造を使うことができる(これはベーム-ヤコピーニの使ったものよりも狭い概念の変換可能性である)。この結論に触発されて、コサラジュが頻繁に引用する循環的複雑度の概念を導入した論文の第6節において、トーマス・J・マッケイブ(Thomas J. McCabe)は非構造化プログラムの制御フローグラフ(CFG : Control Flow Graph)のためのクラトフスキーの定理と類似したものを記述した。つまり、プログラムのCFGを非構造化にする最小の誘導部分グラフである。これらの部分グラフは自然言語で非常に良く説明できる。それらは以下のものである。
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