森林ネネツ語
森林ネネツ語(しんりんネネツご、Forest Nenets language)は、ロシア北部の アガン川、プル川、リアミン川 、ナディム川流域において、ネネツ人によって話される、ウラル語族サモエード諸語に属す言語である[2]。ツンドラネネツ語に最も近縁であり、両言語は単一言語ネネツ語の方言とされることもあるが、両者間の相互理解可能性は低い。次に近縁なのはガナサン語、次いでエネツ語、セリクプ語である。 音韻論母音
非強勢音節では長さの弁別はなく、5つの母音 /æ ɑ ə i u/だけが質的に弁別される。語強勢は語根のある場所に固定はされない。よって強勢中央母音と非強勢高母音の交換がおこる。単音節語では短母音のみが用いられるが、全体的に見れば、長母音は短母音よりもやや用いられやすい。短中央母音/e o/は特に用いられることが少なく、いくつかの単音節語で用いられるのみで、対応する高母音/i u/と融合する。短高母音 /i u/は/ə/の寸前の/e o/まで低まるため、さらに複雑になる。このため、Salminen (2007)は長母音が基本であり、短母音は特殊現象であるとしている。 /æː/とそれに対応する非強勢母音は、非口蓋音節でのみ用いられ、[ae] または [aɛ]の複母音と見なされうる。短母音/æ/は普通は[aj] ( айと表記される。ただしこの表記は/ɑj/と連続するものも表す)であるが、 他の短母音と同じように対応する長母音と入れ替わる。 いくつかの西部の方言では、/æ/を欠き、/e/に置き換わっている[要検証 ]。 子音森林ネネツ語は24の子音音素システムを持つ。[3]
rの音である/r/は最近の借用語のみに現れる。かつての /r/, /rʲ/ は、最近、側面摩擦音/ɬ/, /ɬʲ/に移行した。 口蓋化した歯茎音/tʲ/, /sʲ/ は、典型的には歯茎硬口蓋音[tɕ], [ɕ]と理解される。 正字法ネネツ語は、キリル文字にӇ, ʼ, ˮを加えた文字体系で書かれる。
脚注
|