桂 福團治(かつら ふくだんじ)は上方落語の名跡。当代は四代目。なお、初代笑福亭福松系統の笑福亭福團治とは別の名跡。
四代目 桂 福團治(かつら ふくだんじ、1940年10月26日 - )は、三重県四日市市出身の落語家。本名:黒川 亮。所属事務所は松竹芸能。関西演芸協会第10代会長、上方落語協会相談役、日本手話落語会会長。妻は声帯模写で吉本興業所属の翠みち代、みち代の姪は女優の泉ピン子。
持ちネタは幅広いが、特に『蜆売り』『藪入り』『ねずみ穴』などの人情物(人情噺)を得意にしている。かつては「ペケペン落語」を売り出すなど新作落語路線であった。
略歴
人物
- 上方芸人の芸に対する執念と壮絶な生涯を描いた映画『鬼の詩』(ATG、藤本義一原作)に主演。
- 『鬼の詩』公開から間もなく声帯ポリープが発覚。これで一時期声が出なくなったことが、手話落語を始めるきっかけになった。
- 横山やすしと同期である。阪神・淡路大震災の復興イベントでは、掛け合いではあるが晩年のやすしと漫才を演じた。福団治が師匠春団治から破門された際、「やっさん(横山やすし)が土下座して師匠に謝ってくれた」と福団治は語っている。また、やすしは福団治から『鋳掛屋』を習い、テレビ番組(ABCテレビ『'87創作落語大全集』)でかくし芸として演じた。
- 売り出す契機となった「ペケペン落語」とは、人形浄瑠璃の三味線の合いの手(を真似た声色)をクッションとした小咄集のこと。月亭可朝に対抗したい松竹芸能からの依頼で開始し、大いに好評を得たが、福団治襲名と共に封印した。
- 1996年、日本で初めて視覚障害者の弟子をとる(桂福点)。福点の「点」は、点字の「点」と10番目の弟子であるという「ten」を意味するという。福点は2009年11月、天満天神繁昌亭でデビューを果たした。障害の有無に関わらず楽しめる落語会を開くために「バリアフリー落語会」を福点とともに開催し、阪神・淡路大震災での障害者の体験をもとにした創作リレー落語で震災の風化防止活動も行っている。
- 親子の絆づくりを目的とした『親子で聴く人情噺』を、「出前落語会」として全国で展開中。
- 手話落語を広める活動中にできた手話落語専門の弟子が40名ほどいる。
- 2011年12月、豊臣秀吉のお伽衆である曽呂利新左衛門にちなんだ「曽呂利噺」の復活のために『曽呂利寄席』を開場。
- 2017年、落語家としての活動に3年間密着したドキュメンタリー映画「人情噺の福団治」(伊藤有紀監督)が公開された。
- 2019年の笑福亭松之助他界後は、上方落語協会に所属する落語家の中では最古参となっている[1]。
受賞歴
主な出演番組
映画
著書
- 『手話小噺集』1984年
- 『上方落語はどこへゆく』海風社、1989年
- 『寿限無―誰でもできる楽しい手話落語「ジュゲム」』探究社、2004年
- 『ありがとう、わが師春団治 -福団治覚え書き-』たる出版、2017年
レコード・CD・DVD
- 『ペケペン節ねずみの告白』(1970年、桂小春時代)
- 『上方艶笑落語集(7)』(CD、1996年) ※『疝気の虫』を収録。
- 『手話で楽しむニッポンの民話 桂福團治ココロの芸』(DVD)
- 『手は歌う ~Let's sing along with Hands~ 「手話シュワ和、なにわ味めぐり、大空の星のように」』(CD)
- 『手話落語30周年記念DVD 手は口ほどに物を言い』(DVD、2009年)
- 『繁昌亭らいぶシリーズ 11 桂福團治』(CD・DVD、2009年)
弟子
離脱
- 桂福若 - 福團治長男。2020年に弟子の桂若奴とともに上方落語協会を退会。
脚注・出典
- ^ 年齢では、1学年上に笑福亭円笑がいる。また、上方落語協会に正式に入会していない上方落語家としては、桂文吾(6代目、1935年生まれ、1951年入門)がいる。
関連項目
外部リンク