『最後の一滴』(さいごのいってき、蘭: De laatste druppel、英: The Last Drop)は、オランダ黄金時代の女性画家ユディト・レイステルが1629年頃、キャンバス上に油彩で制作した絵画である。フィラデルフィア美術館のジョン・G・ジョンソン (John G. Johnson) コレクションに所蔵されている[1][2]。1903年まではフランス・ハルスの作品と見なされていたが、ビアマグにユディト・レイステルのイニシャル「 JL*」が発見された。
1903年に、イギリスの画商であり、競売所経営者のジョージ・ドナルドソン (George Donaldson) 卿は、『最後の一滴』と『陽気な三人』をいっしょに展示した。それから、両作品は、1904年にギルドホール・アート・ギャラリーでの展覧会「オランダ派の画家たち」(Painters of the Dutch School) においていっしょに展示されたが、ユディト・レイステル、フランス・ハルス両方への帰属がなされていた。両作品は当時、同一のサイズであると報告されていたので、対作品であるのかもしれない[5]。この時、研究者のコルネリス・ホフステーデ・デ・フロート (英語版) は、以前にフランス・ハルスに帰属されていた『酒盛りをする夫婦』(ルーヴル美術館) にレイステルの署名を見出した[5]。 その後、フロートは、さらに6作をレイステルの作品として特定した。ギルドホールの展覧会はフランス・ハルスの伝記を提出したが、レイステルの伝記は提出しなかった。展覧会の開催者は、フランス・ハルスの名称を取り下げたくなかったのである[5]。しばしばレイステルはフランス・ハルスの弟子であったかのように誤解されているが、これが事実であるとする十分な証拠はない[5]。 レイステルの作品とフランス・ハルスの絵画様式にはやや類似しているところがあるが、これだけでレイステルがフランス・ハルスの弟子であったと証明するには十分ではないのである。1904年、上記のギルドホールの展覧会の開催者は、『化粧をする若い女性たち』 (Young Women at Her Toilet) の絵画をレイステルに帰属したが、レイステルの芸術については否定的に記述した。
^ abcdeJudith Leyster: A Woman Painter in Holland's Golden Age, by Frima Fox Hofrichter, Doornspijk, 1989, Davaco Publishers, ISBN90-70288-62-1, catalog #10
^Leyster, Judith, 1609-1660. (1993). Judith Leyster : a Dutch master and her world. Welu, James A., Biesboer, P., Worcester Art Museum., Frans Halsmuseum.. [Worcester, Mass.]: Worcester Art Museum. ISBN0300055641. OCLC27683160
^ abcdHofrichter, Frima Fox. (1989). Judith Leyster : a woman painter in Holland's Golden Age. Doornspijk, The Netherlands: Davaco. ISBN9070288621. OCLC21499072
^ abcdefghLeyster, Judith, 1609-1660. (1993). Judith Leyster : a Dutch master and her world. Welu, James A., Biesboer, P., Worcester Art Museum., Frans Halsmuseum.. [Worcester, Mass.]: Worcester Art Museum. ISBN0300055641. OCLC27683160
^ abvan Eck, Xander; Welu, James A. (1993). “Judith Leyster: A Dutch Master and Her World”. Simiolus: Netherlands Quarterly for the History of Art22 (1/2): 105. doi:10.2307/3780809. JSTOR3780809.