話数 |
サブタイトル・あらすじ
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1
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『波乱の幕開け』 1623年、オスマン帝国に第17代皇帝として11歳で君臨した皇帝ムラト。治世前半は、母后キョセムが幼い皇帝に代わり摂政として国政を取り仕切っていた。だが、1632年、ムラトが青年になった時、不満を募らせた騎士隊の兵士らが高官の首を求めて騒擾を起こす。ムラトは、騎士隊の要求を聞くべきだと忠言するキョセムに反発し、世界皇帝として毅然と対峙する道を選ぶのだった。ムラトは大いなる決意を持って反乱の鎮圧に乗り出す。
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2
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『王女ファリア』 皇帝ムラトは騎士隊に反乱を起こさせた大宰相トパルを処刑。ムラトの姉でトパルの妻、皇女ゲヴヘルハンは激しく動揺する。母后キョセムはムラトの独断をとがめるが、兄弟の中にはムラトを支持する者もいた。その頃、帝都の港に一隻の船が到着する。命を狙われ庇護を求めてやってきたトランシルバニア公国の王女ファリアだった。ところがファリアは到着早々、衛兵のふりをした者たちに襲われる。彼らはファリアが持っている、あるものを奪おうとしていた。
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3
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『絶対権力者への道』 後宮は船で帝国に現れた王女のウワサでもちきりだった。母后キョセムは皇帝妃アイシェに皇帝ムラトに関することはすべて把握するように命じる。一方、ベネチアとフランスの使節が来訪。ムラトに王女は人殺しだと告げる。そんな中、キョセムは皇帝に隠れて騎士隊の者たちに会い、摂政として騎士隊の要求を満たすことを約束。だが、キョセムの動向はムラトに筒抜けだった。絶対的な権力を握ることが重要だと気づいたムラトは、ある勅命を出す
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4
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『母后への勅命』 母后キョセムの摂政解任を皆のいる前で発表させた皇帝ムラト。キョセムは敵にもされなかったことを息子にされたと激怒する。ムラトは歩兵常備軍、騎士隊、イスラム法学者、民を集めて御前会議を開催。セリム1世が手に入れたコーランを手に、君主に従うことがイスラムの道だと説く。しかし弟たちはムラトの行動に不安を抱き始める。一方、国璽尚書シナンはカトリックの司祭らと密会。ファリア王女が引き渡されない場合には、選択肢は1つだと告げる。
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5
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『キリスト教世界の陰謀』 皇帝ムラトから、ある書簡を託され、その解読を進めていた発明家ヘザルフェンは誤ってブドウ酒こぼした箇所に文字が現れていることに気づく。ひょんなことから解読に成功したムラトたちはキリスト教世界のたくらみを知るのだった。ムラトは側近の中にも反逆者が潜んでいるということを知り、愕然とする。一方、皇帝妃アイシェはムラトとトランシルバニア王女ファリアの急接近に気をもんでいた。ファリアはムラトに、ある要求をする。
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6
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『おとぎの国の宴(うたげ)』 皇帝ムラトは敵の襲撃により船を失ったトランシルバニアの王女ファリアを宮殿に招く。ムラトは問題の解決まで数週間、帝都に滞在するようファリアに告げるが、ファリアは母のために一刻も早く戻りたいと主張。すると捕虜なのだから従うようムラトに言われ、その言葉に憤慨したファリアは自分を女奴隷にする気なのかと詰め寄る。一方、処刑されたトパル前大宰相が愛人に住まわせていた家を捜索した太刀持ちムスタファは、そこであるものを発見する。
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7
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『逆徒の暗躍』 皇帝ムラトは司祭ロレンツォを拘束。国家の中枢に入り込んだ反逆者の名前を言うように迫るが、ロレンツォはムラトにキリスト教に改宗すれば世界の征服者になれると言いだす。トランシルバニアの王女ファリアの存在を邪魔に思う皇帝妃アイシェは使節に王女の身柄を引き渡すことを考える。一方、逃亡中の騎士隊が母后キョセムの金庫番エステルの屋敷に押し入る。王女もまた、教皇の配下の者たちに命を狙われる。ムラトは王女を襲わせた命令者としてキョセムを疑う。
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8
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『寵妃(ちょうひ)の嫉妬』 皇帝ムラトはトランシルバニアの王女ファリアから母親の潜伏場所を聞きだすと、母親の身の安全の確保をボスニア州軍政官に命じるべく書簡を送ろうとする。ムラトは厄よけの石がついた首飾りをなくしたと言うファリアに新しい首飾りを贈る一方、皇帝妃アイシェがファリアのことを密告していたと知ると、激怒してアイシェを追放しようとする。キョセムは幼い子供たちのために許すよう忠告し、今はアイシェのことよりも重大な問題があると、あるものをムラトに手渡す。
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9
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『トランシルバニア公の挑発』 旧宮殿への追放を言い渡された皇帝妃アイシェは皇帝の側近ムスタファに取り成しを頼む。皇帝ムラトは腹心の者たちと騎士隊の隠れ家へ突入。その場にいた者を1人残らず成敗するが…。一方、トランシルバニア公イシュトヴァーンから、姪ファリアの引き渡しを求める書簡が届く。ムラトはイシュトヴァーンの横柄な態度に激怒し、ある決断を下す。トランシルバニアの王女ファリアは母親がイシュトヴァーンに囚われたことを知り、苦悩する。
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10
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『王女の裏切り』 大宰相らとの会議を終えた母后キョセムは用人ケマンケシュからムラトを皇帝として尊重すべきだと献言を受ける。宮殿に戻ると皇子カスムからバヤジトの生母ギュルバハル妃がトプカプ宮殿に戻ってくることを知らされ、キョセムは相談もなく決めたムラトを責める。2人が口論をしている頃、トランシルバニアの王女ファリアが皇帝の私室に忍び込み、豚の頭を置いて逃げる。ほどなくファリアが犯人だと判明し、キョセムは即刻処刑すべきだと主張するが…。
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11
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『皇子バヤジトの母』 皇女アティケは地下牢に収監された王女ファリアに会わせてほしいと太刀持ちに頼む。皇帝ムラトは王女が弁明の中で言及した行商人の女の行方を捜させていた。一方、皇子カスムと皇女ゲヴヘルハンは過去の背信行為から皇子バヤジトの生母ギュルバハル妃がトプカプ宮殿に来ることに不安を募らせる。そんな中、ギュルバハル妃が到着。バヤジトとギュルバハルが感動の再会を果たす一方で母后キョセムは、ギュルバハルを真の蛇と呼び、警戒する。
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12
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『ひそかなる出立』 母后キョセムは皇帝ムラトの親征を阻止しようと奔走していた。そんな中、逃亡中の騎士隊が、キョセムが世話をする反乱者の息子メフメトに近づき、父親を殺したのは母后だと暴露する。一方、宮殿に戻ったバヤジトの生母ギュルバハルは積年の恨みを晴らすべく、早速行動を開始していた。ムラトは王女ファリアの処遇に苦悩していたがついに決断。そして「狩りに出る」と、留守の間の宮殿をバヤジトに託し、キョセムにも告げず、数人の家臣を連れて宮殿を後にするのだった。
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13
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『敵(かたき)の短剣』 処遇が決定したトランシルバニアの王女ファリアが牢から出され、皇帝ムラトの前へ連行される。地下牢には、処刑を確信した侍女マルグリットの悲痛な叫び声が響いていた。一方、母后キョセムは、炊き出しのため、救貧院を訪れていた。だが、そこで不測の事態が起き、キョセムは絶体絶命の危機に見舞われる。狩りと称して極秘の遠征に出ていたムラトにも緊急事態の知らせが入り、帝都へ引き返すことに。そんな中、ギュルバハル妃が、ある行動を起こす。
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14
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『後宮の中の反逆者』 襲撃事件のあと行方不明になっていた母后キョセムが用人ケマンケシュと共に意識不明の状態で見つかる。国璽尚書シナンの依頼を受けたバヤジトの母ギュルバハルは拘束された騎士隊員の口を封じるが、キョセムが目覚めれば自分を疑うだろうと懸念していた。皇帝ムラトは反乱者の排除を優先することに決めたものの、トランシルバニア問題も放置できないと解決方法を探る。一方、ムラトと共に宮殿に戻った王女ファリアは、ムラトの冷たい態度に心を痛めていた。
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15
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『皇帝の戦略』 皇帝ムラトは帝国から不穏分子を一掃すべく、イエズス会の司祭らをはじめ、その関係者に至るまで全員を帝国外へ追放する決定を下す。短剣で刺された母后キョセムは快方に向かい、自ら歩けるまでに。キョセムは自分を刺した亡き騎士隊クムルの息子メフメトが収監された地下牢を訪ね、エジプト州で新たな人生を始めるように言う。アマスヤに戻るよう命じられたバヤジトの生母ギュルバハル妃は、国璽尚書シナンと司教コーネリウスの関係を疑う。
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16
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『悩みの種』 トランシルバニアの王女ファリアは母親との再会を喜んだものの、玉座を与えなかった皇帝ムラトに不満を抱く。責めるファリアの口をムラトは口づけでふさぎ、2人は一夜を共にする。しかしファリアは翌朝、黙って姿を消す。一方、後宮の側女と関係を持ち、妊娠させてしまった皇子カスムはどうしたらいいか分からず途方に暮れていた。太刀持ちに思いを告げられた皇女ゲヴヘルハンはつれない態度を取り、太刀持ちに思いを寄せる皇女アティケは結婚してほしいと迫る。
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17
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『イランの贈り物』 太刀持ちから手紙が届いた皇女ゲヴヘルハンの心は揺れていた。一方、太刀持ちに結婚を迫った皇女アティケは、結婚話を進めようとする。皇帝ムラトのもとにイランから使節が訪れ、王からの贈り物として不思議な弓を献上する。キョセムは皇子カスムの不祥事を隠蔽しようとしていた。前長老ヤフヤのもとに、ある人物が訪ねてくる。その人物は御前に上がれるよう仲介を頼むのだった。皇子バヤジトの生母ギュルバハルは帝都に残るべく、行動を開始する。
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18
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『母后への脅迫』 皇子カスムの子を宿した側女がさらわれ、拉致を指示したバヤジトの生母ギュルバハルはキョセムにある取引を持ちかける。テルサネ宮殿に移った王女ファリアは幸せを感じつつ、皇帝ムラトを待つだけの暮らしに不安を覚えていた。皇女アティケは太刀持ちとの結婚を願っていたが、思わぬ言葉を返されることに。一方、ムラトに謁見したイリヤスはアナトリア州軍政官への復帰を願い出るものの却下される。しかし彼が帝都へ来た真の目的は別の所にあった。
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19
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『裏切りの萌芽(ほうが)』 母后キョセムは皇子バヤジトの生母ギュルバハルを浴場に閉じ込め、熱気で苦しめて側女エラーヌールの居場所を吐かせようとする。テルサネ宮殿の離宮では王女ファリアが皇帝妃アイシェから娼婦呼ばわりされたことにひどく憤慨していた。皇子イブラヒムは、皇子バヤジトが皇子カスムの秘密をギュルバハルに話したにもかかわらずウソをついたことを責める。キョセムは、エラーヌールが拉致された件にバヤジトの関与があったことを知り、衝撃を受ける。
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20
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『自害の真相』 皇女アティケは太刀持ちとの仲を疑い、王女ファリアを連れて管財人のエステルに会いに行く。キョセムは側女エラーヌールの拉致に関与した皇子バヤジトを責め、今後は味方にならないと告げる。エラーヌールの自害の真相は太刀持ちの知るところとなり、キョセムは隠し通せないと自ら皇帝ムラトに伝えることに。一方、エルサレム騎士団のコーネリウスは元アナトリア州軍政官のイリヤスに反乱を起こすための資金を提供。謀反が成功したら、ある褒美を与えると約束する。
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『沈黙の恐怖』 皇子カスムは処刑を恐れて眠れぬ日々を送っていた。母后キョセムもまた再び子供を失う恐怖にうなされる。旅行家エヴリヤは皇帝ムラトに元アナトリア州軍政官イリヤスの怪しげな行動について報告する。ムラトは重臣を集めてイリヤスの処遇を検討するのだった。一方、海辺の離宮では料理長ベイナムが王女ファリアの食事に薬を入れているところを侍女マルグリットに咎められる。後宮でファリアと皇帝妃アイシェは一触即発の状況になる
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『過ちの罰』 母后キョセムは王女ファリアを眠らせ不妊治療を施そうと医女を連れてテルサネ宮殿へ赴いたものの、ファリアがすでに妊娠していることが判明する。皇帝ムラトは悩んだ末に弟カスムをムスタファ前皇帝が閉じ込められている”鳥籠”に幽閉。キョセムは助けてほしいと懇願するカスムの声を、悲痛な思いで扉越しに聞く他なかった。キョセムは出納官メレキーを更迭すると、後任にラーレザールを抜擢。カスムの犯した罪を太刀持ちに告げたのが誰か調べるよう命じる。
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『反逆者への包囲網』 旅行家エヴリヤは皇帝ムラトにイランの使節の不審な行動について報告。発明家ヘザルフェンと共にイランの使節を追跡することになる。一方、ダマスカス州軍政官イリヤスは地方で反乱の準備を進めていた。王女ファリアの妊娠を快く思わない皇帝妃アイシェは、民を扇動してファリアを苦境へ追い込もうと考える。皇女ゲヴヘルハンは妹アティケの恋心を知りながらも太刀持ちの真剣な気持ちに心が揺れていた。イリヤスの不穏な行動を知ったムラトは、ある重要人物の関与を疑う。
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『皇子皇女の悩み』 イスラムの長老への疑いは晴れたものの、皇帝ムラトは長老がかつて反乱者の前で自分の保証人となったことを根に持っていた。幽閉された皇子カスムは衰弱し、皇子イブラヒムも自室に籠もりきりだったが、宦官長ハジュは母后キョセムの体調を気遣い報告をためらう。太刀持ちをめぐる女たちの思いが交錯する中、管財人エステルがキョセムにとんでもないことを告げる。そんな中、アナトリアから重大な知らせが届く。一方、発明家ヘザルフェンは飛行実験に挑むことに。
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『反逆者の城塞』 王女ファリアが街に出かけることを知った皇帝妃アイシェは配下の者を使って民を扇動しファリアを襲わせる。ファリアは娼婦だとののしられたうえ、体にも深刻な痛手をこうむる。バヤジトの生母ギュルバハルと国璽尚書シナンは、イスラムの長老とひそかに会う。一方、幽閉された皇子カスムの様子が深刻だと知った母后キョセムは帝命に反してカスムを幽閉部屋から出そうとする。反逆者イリヤスの討伐に赴いた皇帝ムラトは陣中会議を開き戦略を議論する。
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『扉越しの会話』 皇帝妃アイシェは王女ファリアを流産させることに成功したものの、事件の調査が始まると、ウワサの流布を依頼した者たちに自分の関与を暴露されることを恐れ、バヤジトの母ギュルバハルに助けを求める。皇女ゲヴヘルハンとアティケは皇子イブラヒムを誘い3人で幽閉されたカスムのもとへ。兄弟4人は扉越しに会話し、皇女たちは気力を失ったカスムに励ましの言葉をかける。一方、皇帝ムラトはわずかな側近を率い、反逆者イリヤスが立て籠もるベルガマの城塞へ忍び込む。
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『夢判断』 反逆者イリヤスの反乱が不首尾に終わり、皇子バヤジトの生母ギュルバハルとその配下シナンはバヤジトを玉座に就けるため、新たな戦いを始めることに。皇子イブラヒムは帝都に帰還した皇帝ムラトに対してよそよそしい態度を取る。イブラヒムはいずれ自分も幽閉されるのではないかと怯えていた。皇女ゲヴヘルハンやアティケ、管財人エステルは重傷を負った太刀持ちを三人三様に心配する。ムラトは前長老ヤフヤに遠征中に見た夢の意味を読み解いてもらう。
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『耐え難き真実』 皇子カスムは兄ムラト皇帝によって幽閉を解かれるが、やつれた様子ですぐに自室に入ってしまう。皇子イブラヒムは幽閉の原因を作った兄バヤジト皇子を許せずにいた。バヤジトの母ギュルバハルは再びイスラムの長老アヒザーデを訪ね、バヤジトを玉座に就けるための支持を得ようとする。ムラトはガラタ塔で結婚の儀式を行いトランシルバニアの王女ファリアを正式な妻に。その一方、ファリアを思うあまり度を越した沙汰を下す。母后キョセムはこれに激怒し、ある決意をする。
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『くすぶる不安』 皇帝妃アイシェは皇帝ムラトとトランシルバニアの王女ファリアの婚姻を受け入れられず、心が荒れていた。皇帝妃となったファリアは母后キョセムから後宮の一室を与えられて喜ぶが、ムラトは哀れみから婚姻を結んだと言われ、反発心を抱く。一方、ファリアの襲撃事件で処刑された者の遺族や、ムラトの暴政に不満を持つ民が長老アヒザーデのもとに請願書を持って殺到する。キョセムもまた不当な処刑で家族を失った遺族らの支援に動き出す。
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『妃(きさき)の危うさ』 帝都の緊張が高まる中、母后キョセムは民に寄り添わなければ反乱につながると説き、ムラトは力でねじ伏せると主張する。そんな中、ファリアの母から届いた手紙がキョセムを不快にさせる。皇子バヤジトは弟たちとの関係に悩む一方、玉座を狙い、自分の意に反して事を進めようとする母に不安を覚えていた。沈んでいた皇帝妃アイシェは妊娠が判明して上機嫌に。そこに頼み事があるとギュルバハルが訪ねてくる。ギュルバハルに借りのあるアイシェは頼みを聞こうとするが…。
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『綱紀粛正』 皇子カスムとイブラヒムが庭で剣術の稽古をしていたところへ皇子バヤジトがやってくる。バヤジトは腹違いの弟カスムの誤解を解くべく話し合いを望んでいた。皇帝妃アイシェはバヤジトの生母ギュルバハルに借りを返すため、母后キョセムの部屋に入り、印章の型を取ろうとする。皇帝ムラトは市場の店に金を巻き上げに来る歩兵常備軍の一部の兵士たちを特定しようとしていた。空を飛ぶことを夢みる発明家ヘザルフェンは塔から飛び立つための装置を考える。
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『ロドスが吹く』 母后キョセムは印章に蜜蝋がついていることに気づき、宦官長ハジュらに調査を命じる。その頃、帝都に強風が吹き始める。発明家ヘザルフェンは今が好機と自作の翼をつけてガラタ塔から飛び立つ。キョセムの管財人エステルは太刀持ちと皇女ゲヴヘルハンに偽の手紙を送って2人を密会させる。2人は愛を確かめ合うが、その様子を驚がくの表情で見つめる者がいた。一方、国璽尚書シナンは偽造した母后の印章を悪用し、キョセムの力をそごうと画策していた。
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『仕組まれた炎』 帝都は炎に包まれていた。母后キョセムは火災の一報を受け、家族を部屋に集める。皆は、宮殿まで炎が来ないことを祈っていた。一方、皇帝ムラトは火事場に駆けつけ、民の救助活動を行っていた。そこへ悪夢で見た黒衣の騎士が現れ…。帝都を襲った炎はひと晩で民の家も家族も燃やし尽くし鎮火する。キョセムは自分の不在時に部屋に入り、ひそかに印章の型を取った人物について調べていた。キョセムは皇帝妃アイシェに不在時に部屋に入ったことについて問う。
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『犯人探し』 太火災現場で辛辣な言葉をぶつけられた皇帝ムラトは自分が招いた災厄なのかと思い悩む。放火と知ると怒りに震え、臣下に徹底的な調査を命じる。バヤジトの母ギュルバハルは疑いの目をそらそうと再び策を講じる。壊滅状態の街には規律の乱れが災厄を引き起こしたと主張する一派が出現していた。一方、宮殿では管財人エステルが母后キョセムにある提案をする。床に伏せていた皇女アティケはようやく起きだすも、姉ゲヴヘルハン皇女への怒りを募らせていた。
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35
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『覚悟の告白』 皇女ゲヴヘルハンを呼び出した妹アティケは、太刀持ちと愛を育んでいたゲヴヘルハンに怒りをぶつける。一方、母后キョセムの印章が不正に使用された件で、バヤジトの母ギュルバハルの配下の側女がキョセムの前で犯人の目撃を証言する。アティケとゲヴヘルハンの恋の騒動はキョセムの耳にも入るところとなり、激怒したキョセムは2人を戒める。皇帝ムラトは民の不穏な様子や連日見る悪夢のことで悩み、前イスラムの長老ヤフヤ師や太刀持ちに意見を聞く。
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『ウワサの流布』 皇帝ムラトは太刀持ちと皇女ゲヴヘルハン双方の思いを確認し、どうすべきか考えていた。ところが妹アティケが2人の結婚を阻止しようと、暴走してしまう。皇子バヤジトはある夜、宮殿を抜け出し街へ出るが、弟カスムの送った宦官に後をつけられていた。街ではコーヒー店が襲われるなど騒擾が発生。一方で民の間にくすぶっていたムラトへの不満は、国璽尚書シナンの策略によってしだいに大きくなっていた。民が自分を非難する様子を見たムラトはある行動に出る。
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『皇帝の理性と塊』 皇帝ムラトは、叔父である前皇帝ムスタファと話したことでどこか吹っ切れたかのようだった。ムラトは会議を招集し、ある勅命を下す。母后キョセムは、処刑が確定していた軍団員を皇子バヤジトが解放した件について事実関係を調べさせる。皇子バヤジトの生母ギュルバハルの計略を怪しむ皇帝妃アイシェは、ギュルバハルが密会している相手を突き止めようとしていた。一方、太刀持ちが連行され、処刑を疑った皇女ゲヴヘルハンとアティケはひどく取り乱す。
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『恐怖政治』 皇帝ムラトは皇女たちとのことで隠し事をしていた太刀持ちを修道場に預ける。一方で禁止令を徹底させるため、帝都では厳しい措置を取らせていた。そんなある日、地方での実施状況について知らせが入る。イスラムの長老アヒザーデは空位となった職位に任命する法学者たちの名前をムラトに提示するが、それを見た前長老のヤフヤはあることに気づいていた。一方、母后キョセムはバヤジトが釈放させた兵士を見つけ出し、無実でなかったことを確認するとバヤジトを呼び出す。
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『ブルサへの行幸』 母后キョセムに呼び出された皇子バヤジトが無事に戻り、母親のギュルバハルは安堵する。夜間、帝都の街を歩く皇帝ムラトと皇帝妃ファリアの前に禁止令に背いて明かりを持たずに外出した男が現れ、激怒したムラトは容赦なく罰する。ファリアは自分の部屋で差出人の名前のない手紙を見つける。ムラトは狩りと称してブルサへ視察に行き、汚職にまみれた法官を処罰する。その夜、ムラトたちの一行はアナトリア軍政官の屋敷に泊まるが、ある事件が起こる。
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40
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『反逆の構図』 イズニクを訪れた皇帝ムラトと皇子カスム、イブラヒムに暗殺者の手が迫る。ムラトに向かい、軍政官が献上した女人が短刀を振りかざす。帝都では、国璽尚書シナンとの密会を目撃したキョセムの管財人エステルを、バヤジトの母ギュルバハルが味方に引き入れようとする。一方、母后キョセムは長老アヒザーデ師が法学者の会合で皇子バヤジトを玉座に就けると発言したことからギュルバハルの関与を確信。バヤジトに、自分たちと母親、どちらにつくのか選択するよう迫る。
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41
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『慢心が招く罪』 皇帝妃ファリアは皇帝ムラトがイズニクから女人を伴って帰ってきたことに戸惑いを隠せない。皇子イブラヒムは宮殿に戻ってもなお死の恐怖に怯えていた。ムラトは長老アヒザーデ師を呼び出し、長老が3回目の罪を犯したとして息子である帝都の法官セイイドと共にキプロス島への追放を言い渡す。一方、投獄されたギュルバハル妃と宦官ゼイネルの食事に毒が盛られる事件が起こる。修道場の苦行房に入っていた太刀持ちは修行の最後の日を迎える。
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『皇子の母の処刑命令』 皇帝ムラトは皇子バヤジトの母ギュルバハルの処刑を決定する。皇女ゲヴヘルハンとアティケは、太刀持ちが修行を終える日を翌日に控えて落ち着かない時間を過ごしていた。皇帝妃ファリアもまた、ムラトが連れ帰った側女サナーベルが気になり不安に陥っていた。翌日、修道場を出た太刀持ちは、ムラトに二度と失望させないと誓う。その頃、ファリアのもとには1通の手紙が届いていた。そしてバヤジトは、ある決断を胸に、牢で処刑を待つ母のもとを訪ねる。
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『それぞれの代償』 皇子バヤジトの母ギュルバハルは息子から手渡された小瓶の毒を飲み、自害を図る。皇帝妃アイシェの罪を確信したファリアは、皇帝ムラトにギュルバハルの告白文を渡す。皇女ゲヴヘルハンは修行を終えた太刀持ちと再会するが、太刀持ちから衝撃の事実を告げられる。説教師カドゥザーデはイスラム法学者らと会合を持ち、長老の処刑について話し合う。だが、その会合に皇帝ムラトが現れ…。母后キョセムは子供たちとの食事会を開くが、ゲヴヘルハンの発言が波乱を呼ぶ。
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『皇女の悲哀』 皇帝ムラトの寝所に再び側女サナーベルが送られるが、憤慨した皇帝妃ファリアが押し入り激しくムラトを責める。ムラトは姉ゲヴヘルハンの幸せも考えるよう母后キョセムにいさめられると、ゲヴヘルハンも結婚させるつもりだと答える。一方、御前会議で前長老アヒザーデ師の処刑にハルヴェティ教団のスィヴァスィー師が異を唱えたことが報告される。ムラトは憤り、スィヴァスィー師の修道場を訪ねるが…。そんな中、キョセムのもとに送り主の不明な贈り物が届く。
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『鎖を断つ時』 5か月後、皇帝妃アイシェは幽閉されたまま臨月を迎えていた。皇女ゲヴヘルハンとアティケは婚儀の日を迎える。歩兵常備軍長官ケマンケシュとの意に沿わない結婚を強いられたゲヴヘルハンは絶望の淵にいた。そんな娘を心配した母后キョセムはゲヴヘルハンに強くなれと鼓舞する。だが思い詰めたゲヴヘルハンが驚愕の行動に出て…。一方、アイシェは産気づきお産が始まる。イランの使節と接触した国璽尚書シナンはイランの諜報活動について知る。
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46
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『楽園を去る時』 皇女ゲヴヘルハンが命を絶ち、皇女アティケと太刀持ちは大きな悲しみを抱えたまま新たな生活を始める。母后キョセムは、皇帝ムラトが太刀持ちを重用することで、周囲を敵に回すのではないかと危惧していた。そんな時、太刀持ちの父ベズィルギャンザーデが、頼みごとがあると宮殿にやってくる。一方、皇帝ムラトは出産を終えた皇帝妃アイシェにアマスヤへ追放すると告げる。アイシェは嘆きつつ、いつか戻れる日が来ると自分に言い聞かせ、旅立とうとしていた。
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47
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『皇帝の失踪』 帝都では喫煙などの厳しい取り締まりが続いていた。宗教的厳格主義の説教師カドゥザーデの一派は禁止令を口実に民を迫害し行動を過激化させていく。一方、皇帝妃ファリアは自分がアイシェ妃に処刑のことを話したせいで子供たちまでもが自害の犠牲になったことを後悔していた。そんな中、皇帝ムラトが、宮殿から姿を消し、太刀持ちたちの懸命な大捜索が行われることに。皇子カスムは、皇子バヤジトを追って酒場を営むカリカの家に押し入る。
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48
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『最大の敵』 皇帝ムラトは森で未来が見えるという男に出会い、男はムラトに最大の敵が誰かを告げる。一方、宮殿にはムラトの崩御を疑う民が押し寄せバヤジトの即位を求めていた。母后キョセムはかつて民の銃弾を受け止めた“偉大なる盾”を着けて民の前に立つ。皇子イブラヒムは兄カスムが戻らないことを心配し、カスムが兄バヤジト皇子を追って宮殿を出たことをキョセムに告げる。バヤジトは宮殿に戻り平静を装うが、何をしても過ちの道へ進んでしまうと嘆いていた。
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49
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『逆縁の苦しみ』 皇子カスムが酒に酔い足元もおぼつかない様子で宮殿に戻ってくる。目に余るカスムの醜態に母后キョセムは激怒するが、カスムは皇子バヤジトの生母ギュルバハルが生きていると言い出す。そんな中、失踪していた皇帝ムラトが見つかり、キョセムはホッと胸をなでおろす。皇女アティケは心を閉ざした太刀持ちとの結婚生活に絶望していた。一方、カスムの証言を裏づけるため、ギュルバハルの棺を掘り起こして死体を確認することになる。
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50
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『絶対的な服従』 皇帝ムラトはお忍びで訪れた酒場で自分の悪口を言った客を容赦なく処刑する。そんなムラトに不安を抱き、歩兵常備軍長官ケマンケシュは一部始終を母后キョセムに報告する。一方、皇子カスムはムラトに皇子バヤジトが酒場を経営するカリカと秘密の関係にあり、共に母親の反逆に加担していたと告げる。ムラトは新たに酒とアヘンを対象にした禁止令を出し、バヤジトを連れてカリカの店へ行く。一方その頃、宮殿では高官らの会議にキョセムが参加していた。
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『運命の追放』 皇子バヤジトの目に怒りの炎を見た国璽尚書シナンは、バヤジトの心の変化を感じ取っていた。トプカプ宮殿では昏倒した母后キョセムを心配して、皇子カスムたち兄弟が集まっていた。キョセムに追放の決定が下されたことを知った皇子イブラヒムは皇帝ムラトに直談判に行く。一方、帝都へ戻ってきた詩人ネフィーはイラン人の総督からムラトへ、あることを託されていた。ついにキョセムが追放される日が来たが、キョセムはかたくなに拒否する。
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『イランの間諜(かんちょう)』 母后キョセムは旧宮殿行きを断固拒否していたが、皇帝ムラトと話をしたあと翻意して旧宮殿へ移る。皇子バヤジトはある決意を胸に、母ギュルバハルに会いに行く。ムラトはイランからエレヴァンを取り返すため、遠征に出ることを決意。イランの間諜である側女サナーベルは、夜伽に乗じて遠征に関する情報を探る一方、目障りな皇帝妃ファリアを陥れようとする。一方、宰相アバザのもとを、御前会議で決めてほしいことがあるとアルメニア教会の総主教が訪ねてくる。
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『死者からの刺客』 皇帝妃ファリアは皇帝ムラトへの告げ口のことで側女サナーベルに詰め寄る。亡き皇帝妃アイシェが子供たちを道連れにして自害した理由を知った皇帝ムラトは苦悩の末、ファリアに対してある決定を下す。一方、旧宮殿で厄災に見舞われた母后キョセムはバヤジトの生母ギュルバハルが生きていることを確信し、捜し出すよう命じる。一方、皇子バヤジトは皇帝ムラトを味方につけるべく、先手を打ち、ムラトに皇子カスムの素行不良と妄想について言いつける。
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『忠臣の失脚』 皇子バヤジトの母ギュルバハルが生きていることを確信した母后キョセムは、あらゆる手を使ってギュルバハルを見つけようとする。一方、ギュルバハルはイランの使節と密会し、ある相談を持ちかけていた。太刀持ちは皇帝ムラトに宰相アバザが賄賂を受け取りアルメニア人社会のために便宜を図ろうとしたことを報告。ムラトは御前会議でアバザを罷免する。キョセムはアバザを擁護するがムラトは聞く耳を持たず、キョセムの頭にはある考えが浮かび始めていた。
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『逆心への道』 エレヴァンへの遠征を控え、皇帝ムラトは、姉ゲヴヘルハン、皇帝妃アイシェとその子供たちの死は自分の責任だと皇帝妃ファリアに言う。母后キョセムから夫婦仲について口出しを受けたムスタファは皇女アティケに自分を離縁できるのかと迫っていた。一方、バヤジトの生母ギュルバハルについて有力な情報を得たキョセムは自ら捕捉に向かう。皇帝ムラトの野営地に交渉のためイランの使者がやってくる。夜、天幕にいるムラトに対して暗殺の計略が謀られる。
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『血脈の裏切り』 皇帝ムラトの暗殺は失敗に終わる。ムラトは実行犯の歩兵常備軍部隊長フェルハトと、その部隊全員を処刑。皇子バヤジトの裏切りを知り苦悩する。エレヴァンの総督エミルギューネはオスマン軍の激しい砲撃にもかかわらず籠城を続けていた。一方、帝都では母后キョセムがバヤジトの母ギュルバハルを捕捉に行った現場で倒れて意識を失う。側女サナーベルは皇帝妃ファリアにギュルバハルの間諜ではないかと疑われ、キョセムを救って自分への疑いの目をそらそうとする。
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『エレヴァンの死闘』 皇帝妃ファリアが就寝中、側女サナーベルに襲われる。一方、母后キョセムは宦官イドリスの手紙からサナーベルも間諜であったことを知る。エレヴァンでは皇帝ムラトとエレヴァンの総督エミルギューネが一騎打ちの日を迎えていた。一足先に遠征から戻った皇子バヤジトはムラトの書簡を母后キョセムに渡す。ムラトの暗殺が失敗に終わったことを知ったバヤジトの生母ギュルバハルはバヤジトの身を案じていた。国璽尚書シナンはバヤジトが帝都を離れる手配をする。
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『バヤジト皇子の物語』 国璽尚書シナンは皇子バヤジトと母ギュルバハルをイランへ逃がす手はずを整える。しかしバヤジトは拒み、迎えに来た宦官に母に宛てた手紙を託す。後宮では皇帝妃ファリアが出産の時を迎えていた。一方、皇帝ムラトは母后キョセムが歩兵常備軍長官のケマンケシュに宛てた書簡を手に入れ、キョセムがすでに次の皇帝を考えていることを知る。遠征からの帰路で未来の見える男と再会すると、以前明確な答えを得られなかった、皇帝家に誰の血統が続くのかという質問をする。
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『預言者の言葉』 遠征から戻った皇帝ムラトは、歩兵常備軍長官ケマンケシュ宛ての書簡の送り主、母后キョセムを問い詰める。ムラトは書簡の中で自分の死後の話がなされていたことに憤慨し、キョセムへの不信感を募らせていた。皇子イブラヒムは兄バヤジトが処刑されたことに衝撃を受け、心と体のバランスを崩していく。宰相ムスタファはムラトの臣下になったイランの王族エミルギューネを警戒する。ムラトはギュルバハルに協力した高官の正体を知るため、ギュルバハルの地下牢を訪れる。
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『逆行』 皇帝ムラトは勅命を出し、かつて母后キョセムが“年長の相応な皇子”と変更した皇位継承の定めを“父から子”に戻す。兄弟殺しの道が再び開かれることを危惧したキョセムは特別会議を招集。イスラムの長老ヤフヤが勅命に反対する旨をムラトに伝える。ムラトの臣下となったエミルギューネは宗派を変えてユスフと改名。ムラトの近侍頭に任命される。一方、キョセム付き宦官ハジュは、キョセムと歩兵常備軍長官ケマンケシュの仲が親密に見えることを心配していた。
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『排除された大敵』 ルメリヒサルの地下牢からギュルバハル妃が連れ去られる。同時に後宮とガラタ塔では恐ろしい事件が起こっていた。惨事を前にして呆然と立ち尽くす皇帝ムラト。幽閉された皇子カスムとイブラヒムは、落ち着かない日々を送っていた。ギュルバハル妃を救い出した国璽尚書シナンは、今まで秘めてきたギュルバハルへの思いを告白する。毒舌家の詩人ネフィーは、ある会合でムラトを侮辱するような発言をし、そのことがムラトの耳にも入る。
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『命の引き換え』 皇帝ムラトは宰相バイラムに対する鋭い風刺を放った詩人ネフィーの処遇をバイラムに一任する。2年の時がたち、皇子カスムとイブラヒムは相変わらず幽閉生活を送っていた。ムラトはイラン出身の近侍頭ユスフの献言を受けてバグダッド遠征を決断。皇帝妃ファリアの忘れ形見、双子の皇子セリムとスレイマンは皇女アティケが母親代わりとなり、すくすくと成長していた。そんなある日、双子の皇子が母后キョセムの救貧院から世話係に連れ去られる事件が起きる。
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『蛇のたくらみ』 皇帝ムラトの幼い皇子たちが亡きバヤジトの生母ギュルバハルにさらわれ、関与した世話係に皇子たちの居場所まで案内させるも、姿はなかった。ムラトは息子2人と弟2人の命を天秤にかける選択を迫られる。そんな中、皇女アティケが血相を変えて母后キョセムの部屋に駆け込む。アティケはムラトが皇子カスムとイブラヒムのもとへ処刑人を送ったと言うのだった。ギュルバハルは約束どおり、双子の皇子セリムとスレイマンを解放するが、さらなる悲劇がムラトを襲う。
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『翼を折った母』 亡きバヤジトの母ギュルバハルにより黒死病に感染させられ死亡した双子の皇子に続き、皇帝ムラトも病に倒れる。医師長は黒死病と診断するが、その診断に疑念を抱いた若き医師ヤセフが国璽尚書シナンに報告。シナンは近侍頭ユスフと相談し、帝都一の腕を持つ元宮廷医師のエミルに診察させることにする。一方、母后キョセムは兵士たちの動揺を抑えようと、兵舎を訪れムラトが崩御した時にはカスムが玉座に就くと宣言する。ところが、そこに意外な人物が現れる。
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『決行の時』 皇帝ムラトと修復できないほど深い溝ができたキョセムは、ムラトが宗教的見解を求めるためにイスラムの長老を呼んだことを知り、皇子カスムとイブラヒムが処刑されるのではと危機感を強める。ムラトは黒死病との誤診をした医師長を罷免し、真の病を明らかにしたエミルを後任に任命する。兵舎での一件から、イブラヒムはさらに心が不安定になっていた。そんな中、キョセムはカスムやイブラヒム、ひいてはムラト自身と帝国をも守るために、ある計画を実行する。
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『神の声』 ついに皇帝ムラトの廃位計画が実行される。ムラトは前皇帝ムスタファの部屋に幽閉され、すべて計画どおりに進んでいるかのように見えた。しかしそれは、母后キョセムの計画を知り周到な対策を講じたムラト陣営の芝居だった。失敗に気づいたキョセムは皇子カスムとイブラヒムの身を案じ、急いでツゲの木の館へ向かう。一方、船で待つ海軍提督ケマンケシュのもとに宰相デリ・フセインが現れる。キョセムを見捨てるわけにはいかないと言うケマンケシュにデリ・フセインは…。
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『絶望の牢獄(ろうごく)』 母后キョセムは、皇帝ムラトから罰を言い渡される。皇子カスムを失い、失意のどん底にあるキョセムは生きる気力をも失い、食事も取らずに衰弱していくのだった。そんな中、キョセムの夢にカスムが現れる。ムラトは妹アティケまでもが廃位計画を知っていたことを知り、孤独にさいなまれる。一方、ムラトのもとにムガル帝国の君主から書簡が届き、ある提案を受ける。ツゲの木の館で幽閉生活を送る皇子イブラヒムのもとにムラトの使者が来る。
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『キョセムの決断』 国璽尚書シナンは母后キョセムに皇帝ムラトへの不信感を語り、ムラトが肝硬変で、適切な治療をしなければ死期が早まることを告げる。ムラトは皇女アティケに後宮の管理を任せると、皇子イブラヒムを伴いバグダッド遠征へ出発。遠征先でイランに対する共闘相手、ムガル帝国の王と合流する。その頃帝都では、宰相ハリルがひいきの売春婦が間諜だったことに気づき、裏で手を引く黒幕に近づきつつあった。遠征先ではある夜、イブラヒムが姿を消す事件が起きる。
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『迫害の王(ファラオ)』 母后キョセムと宦官ハジュは国璽尚書シナンがすべての厄災の裏で暗躍していたことを知り驚きを隠せずにいた。そんな中、キョセムのもとにベネチア領事から逃亡中のシナンの居所を知らせる書簡が届く。一方、遠征中の皇帝ムラトのもとへシナンからキョセムの皇帝暗殺命令を暴露する書簡が届く。ムラトは実の母親から命を狙われていることを知り大きな衝撃を受けるのだった。腹に据えかねたムラトは帝都にいる皇女アティケを通してキョセムに圧力をかける。
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『バグダットの死闘』 皇帝ムラトはバグダッドを巡るイラン軍との戦いに兵を率いて参加。死闘が繰り広げられ、オスマン軍は大宰相を失う。一方、帝都では母后キョセムが子供たちの離反を嘆いていた。ある夜、前皇帝ムスタファがかんしゃくを起こし、好物のクリを持ってキョセムがなだめに行く。ムスタファはキョセムを思い出すが…。戦いを終えたムラトは病状の悪化を隠して帝都へ帰還。皇女アティケはムラトにキョセムやイブラヒムを敵視させないよう、近侍頭ユスフにクギを刺す。
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『帝国の疫病神』 バグダッド遠征から皇子イブラヒムも無事に戻り、遠征先での兄弟殺しを恐れていた母后キョセムは安堵の胸をなでおろす。キョセムはイブラヒムのために側女ザリフェを与える。イブラヒムの双子の兄弟、皇女アティケもイブラヒムの帰還を喜ぶが、イブラヒムにいずれ玉座に就くための心の準備をしておいたほうがいいと忠告する。一方、皇帝ムラトの病気は思わぬ速さで進行していた。ムラトは、自分の死後を見据え、ある大きな決断をする。
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『皇統断絶の危機』 皇帝ムラトは皇統を絶やしてしまおうと、前皇帝ムスタファ、皇子イブラヒム、そして母后キョセムの処刑を決める。不穏な空気を察知した皇女アティケがツゲの木の館からイブラヒムを脱出させるが、ムラトの命令を受けた宰相デリ・フセインに見つかってしまう。一方、キョセムと宦官ハジュはウソの伝言で救貧院に呼び出され、近侍頭ユスフと国璽尚書シナンに捕らえられていた。間一髪、大宰相ケマンケシュと宰相ハリルが処刑を阻止し、一行はトプカプ宮殿へ戻るが…。
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『死の天使(アズラエル)が近づく』 皇帝ムラトは病状が進行し、もはや痛みを緩和するしか手立てのない段階に入っていた。一方、母后キョセムの側近、大宰相ケマンケシュと宰相ハリルが処刑の時を迎える。ムラトは病魔に侵された体が限界を迎えようとする中、忠義者であった宰相フセインの裏切りと処刑したはずの弟イブラヒムの生存を知る。オスマン王朝の滅亡に執念を燃やすムラトは近侍頭ユスフにイブラヒムの捜索を厳命し、自らも皇女アティケにイブラヒムの居場所を言うように迫るのだった。
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『夢の終わり』 医師の1人が皇子イブラヒムを診療したことに医師長ヤセフが気づき、イブラヒムの居場所が判明する。皇帝ムラトは死の床でもなお皇統を絶やすことに固執し、イブラヒムを自分の目の前で処刑することと、クリミア・ハン国の王子を連れてくることを近侍頭ユスフらに命じる。意識が薄れつつあるムラトの枕元には母后キョセムが付き添っていた。一方、キョセムの命令を聞かずイブラヒムの子を身ごもった側女ザリフェは、出産は許されたものの宮殿を追われることになる。
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『皇帝イブラヒム』 ついに皇子イブラヒムが皇帝の座に就く。皇女アティケは不安がるイブラヒムを励ますのだった。そして時は流れて1644年、皇帝イブラヒムには第1の寵妃トゥルハンをはじめとする皇帝妃たちやその妃たちが産んだ皇子や皇女らがいた。ある日、宮殿で宴が催され、かつてイブラヒムの幽閉生活を支えたザリフェがイブラヒムとの間にできた息子オスマンと現れる。2人はツゲの木の館での生活を強いられていた。だが、その2人の処遇を巡る問題から大事件が起こる。
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『皇帝の側近』 皇帝イブラヒムと元側女ザリフェの間に生まれたオスマンの存在が公になることを恐れた母后キョセムは2人をエジプト州へ送り出す。しかし2人の存在を疎む皇帝妃トゥルハンはさらなる策を講じていた。イブラヒムは祈祷師の“ジンジ”フセインの甘言に乗せられ、求められるまま彼を皇帝の教師に任命しようとするが、学のない者は適任ではないと高官たちに反対される。その夜、イブラヒムは側女ヒュマーシャーからクロテンの毛皮が不死をもたらすと聞き、興味を示す。
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『母后の影』 皇帝イブラヒムは元側女ザリフェと息子オスマンが海賊に拉致されたことを知る。その怒りの矛先は2人を追放した母后キョセムに向かい、キョセムにもエジプト州への追放を命じるのだった。一方、イブラヒムにより皇子メフメトの命を脅かされた皇帝妃トゥルハンは、イブラヒムの廃位を考え始める。イブラヒムは軍法官に任じた“ジンジ” フセインへの依存を強め、キョセムは目に余るジンジへの対抗策を考えるため、特別会議を招集する。
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『陰で糸を引く者』 皇帝イブラヒムはお気に入りの側女ヒュマーシャーを皇帝妃トゥルハンが足打ちの刑にしたことに激怒。食事の給仕をトゥルハンにさせて自尊心を傷つける。大宰相ケマンケシュは、軍法官となり増長する“ジンジ”フセインの排除を決めた母后キョセムの意を受け、将校たちに俸給の儀で振る舞われる食事に手をつけず不満の意を表し、ジンジの首を求めるよう命じていた。一方、皇帝妃トゥルハンも、キョセムに賛同するふりをしながらある計画を練っていた。
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『腐敗した知性』 皇帝イブラヒムは皇帝妃トゥルハンから大宰相ケマンケシュの居所を聞き、ケマンケシュの身柄を拘束する。母后キョセムはケマンケシュの処刑をやめるよう、イブラヒムに言うが、イブラヒムは処刑を見届けることがキョセムへの罰だと言い放つのだった。その後、キョセムもフロリヤへ追放されるが、キョセムの前に、ある腹心の側近が姿を現す。月日は流れて1648年、イブラヒムの悪政に業を煮やしたトゥルハンがキョセムのもとへ、ある提案をするためにやってくる。
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『毛皮の鎧(よろい)』 皇帝イブラヒムを廃位するため皇帝妃トゥルハンとの同盟を決めた母后キョセム。イブラヒムと皇帝妃ヒュマーシャーの婚儀に出るため久しぶりにトプカプ宮殿へ戻るが、秩序の崩れた後宮の様子を目の当たりにすることに。一方その頃、イブラヒムには皇女アティケ配下の騎士隊員からキョセムの計画が知らされていた。イブラヒムは対抗策を取るが、キョセム配下の高官ソフ・メフメトがこれを阻止。メフメトは歩兵常備軍からの要求をイブラヒムに伝える。
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『同盟のほころび』 悪名高い前大宰相アフメトが拘束され、母后キョセム派の先鋒ケマンケシュの前に引っ立てられる。ケマンケシュはイブラヒム皇帝を廃位すべきだという母后キョセムの考えを歩兵常備軍の将校たちに話すべき時が来たと判断する。その後、アフメトは軍団によって処刑され、皇帝イブラヒムも命の危険を感じ、幻聴や幻覚に怯えるように。一方、母后キョセムと皇帝妃トゥルハンの見せかけだけの同盟には早くも暗雲が漂い、まさかの事態に陥る。
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『暗闇の哀哭(あいこく)』 歩兵常備軍が皇帝イブラヒムの処刑を求めて騒ぎ出したところに元大宰相のケマンケシュが現れる。皇帝妃トゥルハンは母后キョセムの策略だと指摘し、皇子メフメトを即位させ、キョセムは旧宮殿へ退くべきだと主張する。しかしキョセムは先手を打っており、トゥルハンはキョセムが摂政となることに同意せざるを得なくなる。一方、逃走した“ジンジ”フセインは警戒中の兵士に発見されたものの買収を試みる。廃位されたイブラヒムはキョセムの意により幽閉される。
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『孤独という天罰』 母后トゥルハンは、大母后キョセムを言葉巧みに説得し、摂政として先帝イブラヒムを処刑するよう進言する。暗い幽閉部屋で過ごすイブラヒムを訪ねたキョセムは“お前は救われる”と言ってイブラヒムを抱きしめるが…。一方、時は流れてメフメト皇帝が初めて会議に出席する日を迎えていた。母后トゥルハンとその一派は、国家へのキョセムの影響力を排除しようと画策する。地位を脅かされ危機感を覚えたキョセムは、腹心の者たちを集めて、ある命令をする。
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『決着の時』 一度は大母后キョセムと決別した元大宰相ケマンケシュが戻ってくる。しかし歩兵常備軍に宮殿を襲撃させて皇帝メフメトと母后トゥルハンを殺害し、皇子スレイマンを玉座に就けるというキョセムの計画は、ある者の裏切りによりトゥルハン派に筒抜けになっていた。決戦の夜を迎え、ことごとく先手を打たれる中、最後までキョセムに忠実だった者たちは懸命に戦う。トゥルハンの腹心の手が迫る中、キョセムは自室から秘密の通路を抜けて隠し部屋の戸棚の中に身を隠す。
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