手術材料病理診断手術材料病理診断(しゅじゅつざいりょうびょうりしんだん)は手術等で切除された組織や臓器について病理診断を行うこと。肉眼診断、病理標本による病理組織診断(病理組織学的検索)、特殊病理診断、病変部組織の検体検査等から構成される。 手術材料病理診断の工程
肉眼診断→詳細は「肉眼診断」を参照
手術材料について写真撮影、スケッチ、コピーなどで記録し、大きさや重さを計測するとともに病変部の有無や特徴を観察し(視診や触診に相当)、肉眼診断の結果を記録する。
固定手術で切除された直後の材料は生であるので、ホルマリン液等で固定する。検査方法によっては凍結、アルコール固定、グルタールアルデヒド液固定等の特殊な方法を用いる。 切り出し肉眼診断の結果に基づき病理標本を作製するために材料の部分をメスで切り出す。診断すべき病変部が切り出されなければ当然診断はつかない。切り出しは病理医にとって重要な業務である。切り出しの適否が病理診断の信頼性に関係するので癌取扱い規約では切り出し方法が例示されていることが多い。
病理標本作製→詳細は「病理標本」を参照
病理標本はHE染色(ヘマトキシリンエオジン染色)が基本となっている。 顕微鏡での観察作製された病理標本を顕微鏡で観察し所見を記録する。
特殊病理診断
病理診断書作成肉眼診断、顕微鏡観察結果、特殊病理診断等を総合し、手術材料病理診断の診断書が完成する。術中迅速病理診断の結果がある場合は病理診断書に反映される。診断書は病理医が単独で作成する場合も多いが、病理医育成、信頼性向上などのためには複数病理医による検討や確認が望ましい。ダブルチェックを最低条件とする施設もある。また良性悪性の判断が難しい例や希少な症例の場合には別の専門病理医に意見を求めることがある。
病理症例検討会等→「キャンサーボード」も参照
担当臨床医と病理診断を行った病理医等が集まり院内で症例検討会が開催されることがある。術前診断、手術方法、術後治療方針等について肉眼診断、病理診断の結果を用いて検討される。臨床医にとっては病理診断が最終診断となり、病理医にとっては病理診断信頼性評価の場でもある。病理診断科が標榜されている医療施設では病理症例検討会等が行われているが、病理医の絶対数が不足しており開催運用は容易ではない。患者にとっては切除された臓器または腫瘍について検討結果は気になるところであり、その場合は主治医や病理診断を担当した病理医からファースト・オピニオンとして聞くことができる。 診療報酬の改定2008年4月から病理診断科が外部に広告できるようになり、診療報酬点数表上でも第3部検査の病理学的検査から第13部病理診断に移った。第13部病理診断は第1節病理標本作製料と第2節病理診断・判断料で構成されている。
脚注
関連項目 |