岩崎渉

岩崎 渉
生誕 1983年3月(41歳)
日本の旗 日本
居住 日本の旗 日本
国籍 日本の旗 日本
研究分野 バイオインフォマティクス微生物学
研究機関 東京大学
出身校 東京大学
主な業績 環境DNAからの魚類同定、系統樹計算の高速化、細菌の進化予測の実現
主な受賞歴

科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞「生物学と情報学の複合的アプローチによるゲノム進化研究」(2019年)[1]

島津奨励賞「生態系の大規模高精度観測・予測を可能とした環境核酸計測法の開発」(2023年)[2]
プロジェクト:人物伝
テンプレートを表示

岩崎渉(いわさき わたる、1983年3月[3] - )は、日本バイオインフォマティクス研究者、小説家

東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻を本籍とする約50人規模の研究室を2024年3月時点では主宰していた[4]。しかし、2024年4月に大学院生の新規募集停止や研究室のホームページの閉鎖が突如行われ、報道された[5]

人物

日本学術会議の若手アカデミー代表[3][6][7]日本バイオインフォマティクス学会[8]を歴任するなど、著名な若手研究者として知られる[5]。日本学術会議がG7の学術会議共同声明を2019年に安倍晋三内閣総理大臣に手交した際には同席した[9]。岩崎のコメントが掲載された日本の科学の現状についてのNature誌記事[10]は国会でも取り上げられた[11]

2022年1月7日[12]から2024年4月6日[13]にかけて、雑誌「文藝」に直木賞作家と共作で小説を連載した。

研究業績

NHKニュースでの報道[14]ネイチャー バイオテクノロジー誌での表紙掲載[15]が行われたような主要業績は以下。

岩崎研究室のホームページでは、100報以上の発表論文の全てについて、日本語による短文解説が掲載されていた[19]

研究室閉鎖騒動

2024年4月初旬に研究室のWebサイト[4]や岩崎のResearchmapが突如閉鎖された。先端生命科学専攻(専攻長:永田晋治[20])のホームページの教員一覧[21]からも名前が省かれた[22]。岩崎の指導によってグローバルサイエンスキャンパスの優秀賞を2022年に受賞していた高校生[23]についても新領域創成科学研究科(研究科長:徳永朋祥[24])のホームページから名前と写真が削除された[25]。4月6日には、定年には達していないにもかかわらず、2025年度の大学院入試(入試委員長:大谷美沙都[26])において修士課程・博士課程の双方について学生を募集しないことが公表された[27][28]。2024年4月11日には、日経バイオテクがこの騒動を報道した[5]。日経バイオテクの取材に対して、東大広報課は、研究不正を否定したものの、詳細な回答を拒否した[5]

経歴

  • 2001年3月 - 筑波大学附属駒場中学校・高等学校卒業[29]
  • 2005年3月 - 東京大学理学部生物化学科卒業/東京大学理学部生物情報科学学部教育特別プログラム修了
  • 2007年3月 - 東京大学大学院新領域創成科学研究科 情報生命科学専攻修士課程修了
  • 2009年3月 - 東京大学大学院新領域創成科学研究科情報生命科学専攻博士後期課程修了、博士(科学)[30][31]
  • 2009年4月-2014年3月 - 東京大学大学院新領域創成科学研究科情報生命科学専攻助教
  • 2011年7月 - 東京大学 大気海洋研究所地球表層圏変動研究センター生物遺伝子変動分野講師
  • 2014年4月-2021年3月 - 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻准教授
  • 2014年4月 - 東京大学大気海洋研究所地球表層圏変動研究センター(兼務)
  • 2014年4月 - 東京大学理学部生物情報科学科(兼担)
  • 2014年4月 - 東京大学大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻(兼担)
  • 2021年4月 - 東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻教授
  • 2021年4月 - 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻(兼担)
  • 2021年4月 - 東京大学大気海洋研究所地球表層圏変動研究センター生物遺伝子変動分野(兼務)
  • 2021年4月 - 東京大学定量生命科学研究所バイオインフォマティクス研究分野(兼務)
  • 2021年4月 - 東京大学微生物科学イノベーション連携研究機構(兼務)

脚注

出典

  1. ^ “[https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/04/__icsFiles/afieldfile/2019/04/09/1415044_2.pdf 平成31年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰  若手科学者賞 受賞者一覧]”. 文部科学省. 2024-04-閲覧。
  2. ^ 2023年度島津奨励賞「生態系の大規模高精度観測・予測を可能とした環境核酸計測法の開発」 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授 岩崎 渉 氏”. 株式会社 島津製作所. 2024-04-閲覧。
  3. ^ a b 岩崎 渉 | Wataru IWASAKI, Ph.D.”. web.archive.org (2023年9月29日). 2023年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月29日閲覧。
  4. ^ a b 岩崎渉. “IWASAKI Lab”. iwasakilab.k.u-tokyo.ac.jp. 東京大学. 2024年3月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月24日閲覧。
  5. ^ a b c d 日経バイオテク編集部 (2024年4月11日). “東京大・岩崎教授のサイト閉鎖、東京大が本誌取材にコメント”. bio.nikkeibp.co.jp. 2024年4月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月12日閲覧。
  6. ^ 科学の森:科学と社会、より良い関係を 学術会議の若手、10の提言”. 毎日新聞. 2024年4月7日閲覧。
  7. ^ (日本語)『【特集】日本学術会議・若手アカデミーが掲げる課題と提案(岩崎渉×小野悠×高瀨堅吉) 荻上チキ・Session~発信型ニュース・プロジェクト Podcast』2023年https://www.youtube.com/watch?v=5C8q38Ir4WE&t=433s2024年4月7日閲覧 
  8. ^ 岩崎渉 (2019年5月8日). “日本バイオインフォマティクス学会会長岩崎渉”. www.jsbi.org. 日本バイオインフォマティクス学会. 2023年10月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月18日閲覧。
  9. ^ G7サミット参加各国と共に Gサイエンス学術会議共同声明を公表 学術の動向 2019.9”. 2024年4月7日閲覧。
  10. ^ Ikarashi, Anna (2023-10-25). “Japanese research is no longer world class — here’s why” (英語). Nature 623 (7985): 14–16. doi:10.1038/d41586-023-03290-1. https://www.nature.com/articles/d41586-023-03290-1. 
  11. ^ 国会会議録検索システム 第212回国会 衆議院 予算委員会 第2号 令和5年10月27日 327 米山隆一”. kokkai.ndl.go.jp. 2024年4月6日閲覧。
  12. ^ 「文藝」春季号から連載開始! 島本理生+岩崎渉「トランス」第1回を試し読み|Web河出”. Web河出. 2024年4月8日閲覧。
  13. ^ 文藝 2024年夏季号 |河出書房新社https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309980690/ 
  14. ^ “バケツ1杯”の水で魚の種類一度に特定 NHKニュース”. web.archive.org (2015年7月24日). 2024年4月9日閲覧。
  15. ^ Nature Biotechnology”. www.facebook.com. 2024年4月9日閲覧。
  16. ^ 魚類の生態・進化・環境DNA研究を加速するデータプラットフォーム―「MitoFish Suite」の機能強化―”. www.u-ryukyu.ac.jp. 琉球大学 (2023年3月1日). 2024年4月10日閲覧。
  17. ^ 巨大系統樹推定を可能にする深層分散コンピューティング”. 東京大学 大学院理学系研究科・理学部. 2024年4月23日閲覧。
  18. ^ 細菌の代謝システム進化を予測できる機械学習技術 - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部”. web.archive.org (2023年3月29日). 2024年4月9日閲覧。
  19. ^ Journal Papers by Wataru Iwasaki”. web.archive.org (2023年9月29日). 2024年4月9日閲覧。
  20. ^ 専攻長からのご挨拶 | 先端生命科学専攻 東京大学大学院新領域創成科学研究科”. www.ib.k.u-tokyo.ac.jp. 2024年4月7日閲覧。
  21. ^ 分野・教員一覧 | 先端生命科学専攻 東京大学大学院新領域創成科学研究科”. web.archive.org (2023年11月29日). 2024年4月23日閲覧。
  22. ^ 分野・教員一覧 | 先端生命科学専攻 東京大学大学院新領域創成科学研究科”. www.ib.k.u-tokyo.ac.jp. 2024年4月6日閲覧。
  23. ^ UTokyoGSCの受講生が全国発表会にて文部科学大臣賞を受賞|受賞 / 表彰|お知らせ|東京大学大学院新領域創成科学研究科”. web.archive.org (2023年9月22日). 2024年4月8日閲覧。
  24. ^ 研究科長挨拶|概要|東京大学大学院新領域創成科学研究科”. www.k.u-tokyo.ac.jp. 2024年4月23日閲覧。
  25. ^ UTokyoGSCの受講生が全国発表会にて文部科学大臣賞を受賞”. 東京大学. 2024年4月9日閲覧。
  26. ^ 2024年度 東京大学 大学院 新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 専攻案内書”. 東京大学. 2024年4月7日閲覧。
  27. ^ 入学志願者案内 修士(一般選抜)”. 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻. 2024年4月7日閲覧。
  28. ^ ⼊学志願者案内 博⼠(⼀般選抜および社会⼈等特別選抜)”. 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻. 2024年4月9日閲覧。
  29. ^ 岩崎渉. “学歴・職歴(2015年4月現在)”. iwasakilab.bi.s.u-tokyo.ac.jp. 東京大学. 2015年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月10日閲覧。
  30. ^ 岩崎渉『Reconstruction of evolutionary history of genomes using abundant sequence data (大量のゲノム配列情報を用いたゲノム進化過程の再構築)』(博士(科学)論文)甲第25082号、東京大学、2009年3月23日。CRID 1110845735171384960 
  31. ^ 学位論文要旨詳細「大量のゲノム配列情報を用いたゲノム進化過程の再構築」”. gakui.dl.itc.u-tokyo.ac.jp. 東京大学. 2024年4月6日閲覧。

外部リンク