「天城越え」(あまぎごえ)は、石川さゆりが1986年7月21日に発売した曲。第28回日本レコード大賞・金賞受賞曲。
概要・エピソード
1985年、吉岡治と弦哲也、桜庭伸幸の3人が天城湯ヶ島町(現・伊豆市)の温泉旅館・白壁荘で製作した。3人は旅館に2泊し、吉岡は旅館周辺を散策する事で詞の原案を練っていたという[1]。静岡県・伊豆半島の天城山を舞台にしたご当地ソングでもあり、歌詞に登場する浄蓮の滝には歌碑が設置されている。
当時のカラオケブームの最中に、「石川にしか歌えない、難易度の高い作品を」ということで制作された楽曲である[2]。作曲した弦によると「石川は『天城越え』の歌詞を初めて見た瞬間、戸惑いの表情を浮かべた。“こんな情念の籠もった歌、自分には歌えない”そううろたえ途方に暮れている様子だった。しかし、その後石川は一つ一つの歌詞に真正面から向き合い、解釈し、消化していった。言うなれば『天城越え』をゆっくり自分の身体に染み込ませていった」と語っている[3]。
2008年シーズンの大リーグ選手・イチローの打席曲にもなった。これはシーズンオフに帰国して紅白歌合戦を見ていたイチローが本曲を聴いて、「記録など、いろいろな物を越えたい」と思ったからだという。その後石川はマリナーズのホームゲームに招待された。但し、石川自身は「野球音痴」だという。
第一興商が、自社の通信カラオケ『DAM』がサービスを開始した1994年4月から2018年までのデータを集計したところ、『天城越え』は最も歌われた楽曲として演歌では首位、全楽曲の中でも4位となった[4]。
NHK紅白歌合戦
年末恒例の『NHK紅白歌合戦』では、1986年(第37回)で初披露。その後も1997年(第48回)、1999年(第50回)、2002年(第53回)、2005年(第56回)と披露。2007年(第58回)より石川は隔年で「津軽海峡・冬景色」と「天城越え」とを交互に披露するようになり、本曲も2008年(第59回)以降、偶数年・奇数回次に歌唱している。
1986年(第37回)・2002年(第53回)・2016年(第67回)・2018年(第69回)は紅組トリとして通算4度披露したが、これは同じ石川の「津軽海峡・冬景色」の通算4度に並ぶ、紅組歌手としてのトリ回数では歴代最多の記録である[注釈 1]。
2005年に実施された「スキウタ〜紅白みんなでアンケート〜」では、紅組の16位に選ばれた。
収録曲
- 天城越え
- 隠れんぼ
カバー
脚注
注釈
- ^ なお紅白歌手全体では、かつて白組歌手の常連だった北島三郎の「まつり」の5度が史上最多記録である。2位タイに「津軽海峡・冬景色」「天城越え」(各4度)が続く。
出典
関連項目
外部リンク