この項目では、地質学 用語について説明しています。
団塊の中の化石
菱鉄鉱 ノジュールの断面。大部分は菱鉄鉱で、内部の赤褐色部分は赤鉄鉱 。堆積岩中にでき、浸食で露出して採集されたもの。
デボン紀のノジュール状石灰岩の研磨標本(ドイツ)
団塊 (だんかい)は、地質学 ではノジュール (英 : nodule )またはコンクリーション (concretion )を指す[ 1] [ 2] [ 3] 。元の地層 の層理 や内包する化石 のほかに内部構造をもたないものをノジュールとしたり[ 2] [ 4] [ 5] 、コンクリーションは大きさを問わない一方で相対的に小さなものをノジュールとしたりして[ 2] [ 3] 、使い分ける場合がある。一方、ノジュールとコンクリーションをほぼ同義に用いる場合もある[ 2] [ 3] [ 4] [ 5] 。本項ではノジュールについて解説する(コンクリーション は当該項目を参照)。
堆積物のノジュール
ノジュール は、堆積物 あるいは堆積岩 中に形成された、小さく硬い、球状、板状、または丸みを帯びた不規則な形の塊で、鉱物 または鉱物とそれ以外の凝集したもの。ふつう内部構造をもたず表面にはこぶ状の突起があり、大抵は周囲の母岩 の地層とは明らかに組成が異なる[ 2] [ 4] [ 5] 。
石灰岩 中のチャート ノジュール[ 2] [ 5] [ 6] 、石炭 中の黄鉄鉱 ノジュール[ 4] [ 5] 、また海底の頁岩中のリン酸塩 ノジュール[ 4] [ 5] のほか深海底に広く分布するマンガン 、コバルト 、鉄 、ニッケル に富むノジュールが知られている[ 4] [ 2] 。
ノジュールを構成する鉱物は主に、方解石 、チャート、リン鉱石、無水石膏 、黄鉄鉱など[ 4] [ 5] 。
フリント を含むチャートのノジュールは、海綿動物 の珪質骨針 (英語版 ) や放散虫 の遺骸が溶解して非晶質シリカ として再堆積し、それが石灰岩(チョーク を含む)の一部を置き換えることで形成される[ 5] 。
堆積時に同時生的に形成された海底のマンガンやリン酸塩の塊は、厳密にはノジュールに含まない(コンクリーションとする)考え方もある[ 4] [ 5] [ 7] 。一方で、ノジュール・コンクリーションの双方に、堆積時に同時生的に生成された一次団塊(または同生団塊)、堆積後の続成作用 で生成された二次団塊(または後生団塊)などの分類をする場合もある[ 7] [ 8] [ 9] 。
日本語では、形の不規則なものを結核と呼ぶこともある[ 10] 。
nodular の語は、堆積物あるいは堆積岩の基質の中で、散在あるいは緩く凝集した塊(結核、結節)を指すとき使ったり、球状の膜を持つコロフォームを呈する鉱物の凝集を指すとき使ったりする[ 5] [ 11] 。
堆積物の場合内部に化石 を閉じ込めていることがあり[ 12] [ 13] 、その場合には周囲の母岩よりも硬い団塊が地面の圧力に耐え、内部の化石は立体を保っていることが多い。従って化石採集の際には、雨や川による浸食を受けて露頭 から落ちた団塊を探すという手法も採られている[ 14] 。
火成岩のノジュール
マントル捕獲岩 である、玄武岩 中のカンラン石ノジュール
火成岩 の中にみられる粗粒の塊にもノジュール の語を使う[ 2] 。深部で結晶化が進んだと考えられ、噴出する火山岩のインクルージョン として観察される[ 4] 。カンラン石玄武岩のフロー中に存在するカンラン石 ノジュールなどが例[ 2] [ 4] 。
脚注
出典
^ 最新地学事典 2024 , p. 885 「団塊」(※コンクリーションおよびノジュールへの参照)
^ a b c d e f g h i 最新地学事典 2024 , pp. 1133–1134「ノジュール」(著者:公文富士夫)
^ a b c 最新地学事典 2024 , p. 531「コンクリーション」(著者:公文富士夫、保柳康一)
^ a b c d e f g h i j Glossary of Geology (5th ed.) 2005 , p. 440"nodule [ign]","nodule [sed]"
^ a b c d e f g h i j Boggss 2009 , p. 600
^ Glossary of Geology (5th ed.) 2005 , p. 112"chert nodule"
^ a b 「団塊 」『岩石学辞典』朝倉書店。https://kotobank.jp/word/%E5%9B%A3%E5%A1%8A#w-777889 。コトバンク より2024年12月21日 閲覧 。
^ 「コンクリーション 」『岩石学辞典』朝倉書店。https://kotobank.jp/word/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3#w-777876 。コトバンク より2024年12月21日 閲覧 。
^ 新版地学事典 1996 , p. 339「団塊」
^ 「団塊 」『ブリタニカ国際大百科事典 』ブリタニカ・ジャパン。https://kotobank.jp/word/%E5%9B%A3%E5%A1%8A#w-948889 。コトバンク より2024年12月21日 閲覧 。
^ Glossary of Geology (5th ed.) 2005 , p. 440"nodular"
^ 山崎晴雄 、久保純子『日本列島100万年史 大地に刻まれた壮大な物語』講談社 、2017年、106頁。ISBN 978-4-06-502000-5 。
^ 光野千春、沼野忠之 、高橋達郎 著、山陽新聞社出版局 編『岡山の地学』山陽新聞社 〈原色図鑑〉、1982年、288, 291頁。ISBN 4-88197-108-5 。OCLC 674175962 。NDLJP :9671612 。
^ 森伸一 著、羽幌古生物研究会 編『北海道羽幌地域のアンモナイト』(第2版)、2018年、104-105頁。ISBN 978-4-86368-029-6 。
参考文献
地学団体研究会 編『新版 地学事典』平凡社、1996年10月。ISBN 4-582-11506-3 。
地学団体研究会 編『最新 地学事典』平凡社、2024年3月。ISBN 978-4-582-11508-6 。
Neuendorf, KKE, JP Mehl, Jr., and JA Jackson, ed (2005). Glossary of Geology (5 ed.). Alexandria, Virginia: American Geological Institute. ISBN 0-922152-76-4
Boggs S, Jr. (2009). Petrology of Sedimentary Rocks . Cambridge, United Kingdom: Cambridge University Press. ISBN 978-0-521-89716-7
関連項目
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