四塩化テルル (しえんかテルル、Tellurium tetrachloride)は、実験式 TeCl4 の無機化合物 である。揮発性で、0.1 mmHgの下、200℃で昇華 する[ 1] 。融解した四塩化テルルはイオン性で、TeCl3 + とe2 Cl10 2- に解離する[ 1] 。
構造
気相では単量体であり、構造は、四フッ化硫黄 に似る[ 2] 。固相では、四量体のキュバン型クラスター であり、Te4 Cl4 核の各々のテルル 原子に3つの末端塩素 が配位した構造である。あるいは、この四量体構造は、塩素が面心配位したTe4 四面体のテルル原子ごとに3つの末端塩素が配位し、各々のテルル原子が歪んだ八面体 を形成していると見ることもできる。
合成
粉末テルルの塩素化により得られる。
Te + 2 Cl2 → TeCl4
この反応は、加熱により始まる。生成物は蒸留 により単離する[ 3] 。
利用
有機合成 の分野で興味が持たれることがある[ 4] 。アルケン に付加してCl-C-C-TeCl3 誘導体を与えた後、硫化ナトリウム によりテルルを除去できる。電子の豊富なアレン と反応すると、アリルテルル化合物が得られる。そのため、アニソール は、TeCl2 (C6 H4 OMe)2 となり、これはテルル化ジアリルに還元できる。
安全性
他のテルル化合物と同様に、毒性を持つ。また、加水分解 すると塩化水素 を遊離する。
出典
^ a b グリーンウッド, ノーマン ; アーンショウ, アラン (1997). Chemistry of the Elements (英語) (2nd ed.). バターワース=ハイネマン (英語版 ) . ISBN 978-0-08-037941-8 。
^ Cotton, F. Albert ; Wilkinson, Geoffrey ; Murillo, Carlos A.; Bochmann, Manfred (1999), Advanced Inorganic Chemistry (6th ed.), New York: Wiley-Interscience, ISBN 0-471-19957-5
^ Suttle, J. F.; Smith, C. R. F. (1950). Audrieth, Ludwig F.. ed. Tellurium(IV) chloride . Inorganic Syntheses. 3 . pp. 140–2. doi :10.1002/9780470132340 . ISBN 978-0-470-13162-6
^ Petragnani, N.; Comasseto, J. V. (1991). “Tellurium Reagents in Organic Synthesis; Recent Advances. Part 1”. Synthesis 1991 (10): 793–817. doi :10.1055/s-1991-26577 . and Petragnani, N.; Comasseto, J. V. (1991). “Tellurium Reagents in Organic Synthesis; Recent Advances. Part 2”. Synthesis 1991 (11): 897–919. doi :10.1055/s-1991-26605 .