哀しみの恋人達

哀しみの恋人達
シリータ楽曲
収録アルバムスティーヴィー・ワンダー・プレゼンツ・シリータ
リリース1974年
録音ザ・レコード・プラント、ロサンゼルス
ジャンルR&Bソウル
時間4分29秒
レーベルモータウン
作詞者スティーヴィー・ワンダー
作曲者スティーヴィー・ワンダー
プロデューススティーヴィー・ワンダー
哀しみの恋人達
ジェフ・ベック楽曲
収録アルバムブロウ・バイ・ブロウ
リリース1975年3月
録音1974年10月
エアー・スタジオ、ロンドン
ジャンルロック
時間5分42秒
レーベルエピック・レコード
作曲者スティーヴィー・ワンダー
プロデュースジョージ・マーティン

哀しみの恋人達」(かなしみのこいびとたち、Cause We've Ended As Lovers)は、アメリカの歌手シリータ・ライト(アーティストとしての名義はシリータ)が1974年のアルバム『スティーヴィー・ワンダー・プレゼンツ・シリータ』で発表した楽曲。作詞、作曲、プロデュースは、かつてシリータの夫であったスティーヴィー・ワンダーによる。1975年にはイギリスギタリストジェフ・ベックの最初のソロ・アルバム『ブロウ・バイ・ブロウ(LPリリース時のタイトル『ギター殺人者の凱旋』)』に収録されたインストゥルメンタル・ヴァージョン(LPではB面1曲目)で広く知られるようになる。

ジェフ・ベックによるカヴァー

1972年、スティーヴィー・ワンダーはジェフ・ベックのために「迷信」を作曲するが、所属レーベルのモータウンなどに反対され、自らのシングルとしてリリースし大ヒットしたため、ジェフ・ベックは「迷信」をオリジナルとしてやることができなくなった[1]。スティーヴィーはこのことの詫びとして、かつての妻であったシリータ・ライトの2枚目のアルバム『スティーヴィー・ワンダー・プレゼンツ・シリータ』(1974年)に収録されたバラードである本曲を提供した[2]

スティーヴィー・ワンダーの原曲はソフトなヴォーカルの物静かな曲であったが、ジェフ・ベックの解釈により、メロディラインの寸断や調性の変化がなされ、曲中には、ボリューム奏法ピッキング・ハーモニクス、3音(増4度)チョーキングなどのテクニックが組み込まれるなどして、ダイナミックで知的な泣きのギター・インストゥルメンタル曲となり[2]、後のギタリストに大きな影響を与えた[3]。そういったテクニックを多用していたロイ・ブキャナンに捧げるとアルバムジャケットに記されており、ジェフ・ベックは米『ギター・プレイヤー』誌のインタビューにおいても「ロイのヴァイブレーションと同じになるように弾いた」と答えている[2]。ロイ・ブキャナンは、その後リリースされた『メシアが再び』(原題 A Street Called Straight, 1976年)において、アンサーソング的な「マイ・フレンド・ジェフ」で応えている。

途中6小節ほどにギターのオーヴァーダビングが入る以外は、一発録りのいわゆるスタジオライヴである[1]。使用ギターは、ブルース・ギタリストのロニー・マックの破損したギブソン・フライングVに搭載されていたP.A.Fピックアップ[2]を、セイモア・ダンカンが修理しテレキャスターに移植したもの(通称テレギブ)である。

「哀しみの恋人達」は、ジェフ・ベックがインストルメンタル主体に転向した『ブロウ・バイ・ブロウ』以降の代表曲のひとつとなり、ライヴにおいてもハイライト曲として演奏されることが多い。1975年の第1回ワールド・ロック・フェスティバル公演時、来日記念盤として国内限定でシングルカットされている。

パーソネル

  • ジェフ・ベック - ギター
  • マックス・ミドルトン - キーボード
  • フィル・チェン - ベース
  • リチャード・ベイリー - ドラムス

その他のカヴァー

脚注

  1. ^ a b 「ギター・グレイツ」、ジョン・トプラー他著、神川あや訳・ロッキング・オン、1985、ISBN 4-947599-11-1
  2. ^ a b c d HOT WIRED GUITAR:The Life of JEFF BECK、Martin Power、2011、ISBN 978-1849388696
  3. ^ 「スーパー・ロック・ギタリスト」、シンコー、1987、ISBN 4-401-61212-4