周易上経三十卦の一覧易上経三十卦の一覧では『易経』に記載された六十四卦のうち上経にある30卦を総覧する。下経の34卦については周易下経三十四卦の一覧を参照。
卦名次序歌訣
乾乾(けん、qián)は六十四卦の第1番の卦。上下ともに乾で構成され、すべての爻が陽。通称「乾為天」。 四月に配される。天の表象であるが、天は目に見える形のことで、乾はその働きであると『周易正義』は説く。六十四卦の最初にこの卦が置かれ、その次に地を示す坤が置かれるのは、序卦伝において「天地あり。然る後、万物生ず」とされる。繋辞伝ではまず「元亨利貞」(おおいにとおりてただしきによろし) とされている。 原文乾、元亨。利貞。
坤坤(こん、kūn)は六十四卦の第2番目の卦。上下ともに坤で構成され、すべての爻が陰である。通称「坤為地」。十月に配される。地の表象であり、天である乾とともに万物を生成する。 原文坤、元亨。利牝馬之貞。君子有攸往、先迷、後得主利。西南得朋、東北喪朋。安貞吉。
屯屯(ちゅん、chún)は六十四卦の第3番目の卦。内卦(下)が震、外卦(上)が坎で構成される。通称「水雷屯」。 序卦伝には、天地があって後、万物が生じ、天地の間に盈(み)ちるのは万物のみであるため屯でこれを受ける、とあり、屯とは「盈」「物の始めて生ず」であるとされる。 原文屯、元亨。利貞。勿用有攸往。利建侯。
蒙蒙(もう、méng)は六十四卦の第4番目の卦。内卦(下)が坎、外卦(上)が艮で構成される。通称「山水蒙」。序卦伝によると、蒙とは「蒙(おろか)」「物の稚(おさな)き」であり、物が生じた当初は蒙昧であるため、屯の次に置かれるという。 原文蒙、亨。匪我求童蒙、童蒙求我。初筮告。再三瀆。瀆則不告。利貞。
需需(じゅ、xū)は六十四卦の第5番目の卦。内卦(下)が乾、外卦(上)が坎で構成される。通称「水天需」。序卦伝によると、需とは「飲食の道」であり、物が幼いときは養わなければならないので、蒙の次に置かれるという。また彖伝では需とは「須(まつ)」であると説く。 原文需、有孚。光亨。貞吉。利渉大川。
訟訟(しょう、sòng)は六十四卦の第6番目の卦。内卦(下)が坎、外卦(上)が乾で構成される。通称「天水訟」。序卦伝によると、訟とは「訟(うったえる・あらそう)」であり、飲食にはあらそいがつきまとうので、需の次に置かれるという。 原文訟、有孚、窒、惕、中吉、終凶。利見大人。不利渉大川。
師師(し、shī)は六十四卦の第7番目の卦。内卦(下)が坎、外卦(上)が坤で構成される。通称「地水師」。師は軍隊の意味であり、序卦伝によると、あらそいがあると大衆が立ち上がるので、訟の次に置かれるという。 原文師、貞。丈人吉。无咎。
比比(ひ、bǐ)は六十四卦の第8番目の卦。内卦(下)が坤、外卦(上)が坎で構成される。通称「水地比」。比は「したしむ」の意味であり、序卦伝には大衆すなわち人と人は親しむので、師の次に置かれるという。 原文比、吉。原筮、元永貞、无咎。不寧方来。後夫凶。
小畜小畜(しょうちく、xiǎoxù)は六十四卦の第9番目の卦。内卦(下)が坤、外卦(上)が坎で構成される。通称「風天小畜」。畜は「蓄」の古字で「あつめる」「とどめる」の意味であり、序卦伝には人と人が親しむとあつまるので、比の次に置かれるという。 原文小畜、亨。密雲不雨。自我西郊。
履履(り、lǚ)は六十四卦の第10番目の卦。内卦(下)が兌、外卦(上)が乾で構成される。通称「天沢履」。履は「ふむ」の意味であるが、序卦伝では履は「礼」であるとし、物があつまると礼ができるため、小畜の次に置かれるという。 原文履虎尾不咥人。亨。
泰泰(たい、tài)は六十四卦の第11番目の卦。内卦(下)が乾、外卦(上)が坤で構成される。通称「地天泰」。一月に配される。泰は「通じる」の意味とされる。序卦伝には履むことで安定を得るため履の次に置かれるという。上に陰柔の坤、下に陽剛の乾があり天地の気が交わる。安定した姿の象徴で易占のロゴマークとして国内で使われている。 原文泰、小往大来。吉。亨。
否否(ひ、pǐ)は六十四卦の第12番目の卦。内卦(下)が坤、外卦(上)が乾で構成される。通称「天地否」。七月に配される。否は「塞がる」の意味である。否字の音は否定の意味ではfouの三声、閉塞の意味ではpiの三声であるが、日本漢字音では同様に「ヒ」である。序卦伝には物は通じるばかりでなく塞がるので泰の次に置かれるという。 原文否之匪人。不利君子貞。大往小来。
同人同人(どうじん、tóngrén)は六十四卦の第13番目の卦。内卦(下)が離、外卦(上)が乾で構成される。通称「天火同人」。同人は「人を同じくす」であり、同は会同・協同の意味である。序卦伝には物は塞がるばかりではないので否の次に置かれるという。 原文同人于野。亨。利渉大川。利君子貞。
大有大有(だいゆう、dàyǒu)は六十四卦の第14番目の卦。内卦(下)が、外卦(上)が乾、離で構成される。通称「火天大有」。大有は大いなる所有の意味であり、序卦伝は人を協同すれば物はそこに帰属するので同人の次に置かれるという。 原文大有、元亨。
謙謙(けん、qiān)は六十四卦の第15番目の卦。内卦(下)が艮、外卦(上)が坤で構成される。通称「地山謙」。謙は謙遜の意味。 原文謙、亨。君子有終。
豫豫(よ、yù)は六十四卦の第16番目の卦。内卦(下)が坤、外卦(上)が震で構成される。通称「雷地豫」。豫は「よろこぶ」の意味。 原文豫、利建侯行師。
随随(ずい、suí、旧字体:隨)は六十四卦の第17番目の卦。内卦(下)が震、外卦(上)が兌で構成される。通称「沢雷随」。随は「したがう」の意味。 原文随、元亨。利貞。无咎。
蠱蠱(こ、gǔ)は六十四卦の第18番目の卦。内卦(下)が巽、外卦(上)が艮で構成される。通称「山風蠱」。 原文蠱、元亨。利渉大川。先甲三日、後甲三日。
臨臨(りん、lín)は六十四卦の第19番目の卦。内卦(下)が兌、外卦(上)が坤で構成される。通称「地沢臨」。十二月に配される。 原文臨、元亨。利貞。至于八月有凶。
観観(かん、guān、旧字体:觀)は六十四卦の第20番目の卦。内卦(下)が坤、外卦(上)が巽で構成される。通称「風地観」。八月に配される。 原文観、盥而不薦。有孚顒若。
噬嗑噬嗑(ぜいごう、shìkè)は六十四卦の第21番目の卦。内卦(下)が震、外卦(上)が離で構成される。通称「火雷噬嗑」。 原文噬嗑、亨。利用獄。
賁賁(ひ、bì)は六十四卦の第22番目の卦。内卦(下)が離、外卦(上)が艮で構成される。通称「山火賁」。 原文賁、亨。小利有攸往。
剥剥(はく、bō、旧字体:剝)は六十四卦の第23番目の卦。内卦(下)が坤、外卦(上)が艮で構成される。通称「山地剥」。九月に配される。 原文剥、不利有攸往。
復復(ふく、fù)は六十四卦の第24番目の卦。内卦(下)が震、外卦(上)が坤で構成される。通称「地雷復」。十一月に配される。 原文復、亨。出入无疾、朋来无咎。反復其道、七日来復。利有攸往。
无妄无妄(むぼう、wúwàng)は六十四卦の第25番目の卦。内卦(下)が震、外卦(上)が乾で構成される。通称「天雷无妄」。 原文无妄、元亨。利貞。其匪正有眚。不利有攸往。
大畜大畜(だいちく、dàxù)は六十四卦の第26番目の卦。内卦(下)が乾、外卦(上)が艮で構成される。通称「山天大畜」。 原文大畜、利貞。不家食吉。利渉大川。
頤頤(い、yí)は六十四卦の第27番目の卦。内卦(下)が震、外卦(上)が艮で構成される。通称「山雷頤」。 原文頤、貞吉。観頤自求口実。
大過大過(たいか、dàguò)は六十四卦の第28番目の卦。内卦(下)が巽、外卦(上)が兌で構成される。通称「沢風大過」。 原文大過、棟橈。利有攸往。亨。
坎坎(かん、kǎn)は六十四卦の第29番目の卦。上下ともに坎で構成される。通称「坎為水」。もっとも困難・重病を覚悟する占断である。 原文習坎、有孚、維心亨。行有尚。
離離(り、lí)は六十四卦の第30番目の卦。上下ともに離で構成される。通称「離為火」。 原文離利貞。亨。畜牝牛。吉。
関連項目 |