1840年代には、複数の虚数単位を持つ体系に関する主題が考察されていた。フィロソフィカル・マガジンにおいて1844年から始まる長期の連載 "On quaternions, or on a new system of imaginaries in algebra"[四元数、あるいは代数学における虚数の新たな体系について] で、ウィリアム・ローワン・ハミルトンは四元数群に従う乗法を持つ体系について伝えている。1848年、トーマス・カークマンは、超複素数系を決定する単位に関する方程式に関する、アーサー・ケイリーとの書簡のやり取りについて報告した[8]。
テッサリンは、4つの実数 w, x, y, z と3つの虚数単位 i, j, k により と表すことのできる超複素数である。コックルは指数函数の級数展開から、双曲正弦および双曲正弦函数の級数を分離するためにテッサリンを用いた。コックルはテッサリンの体系において零因子(コックルは「不能元」("impossible") と呼んでいる)がどのように生じるかについても示している。今日的にはテッサリンは実テッサリン(分解型複素数)w + yj の成す部分線型環(これは単位双曲線を媒介表示する)についてが最も知られている。
セグレは Hamiltom, W. R. (1853), Lectures on Quaternions およびクリフォード(英語版)の仕事を読んで、自身の双複素数の体系を展開するのにいくつかハミルトンの記法を用いた。h, i は互いに可換でそれぞれの自乗が −1 に等しいものとするとき、乗法の結合性を仮定すれば、積 hi の自乗は +1 でなければならない。これら {1, h, i, hi} を基底として構成された多元環は、基底こそ異なるものを用いて表されるけれどもジェイムズ・コックルのテッサリンと同じものである。
セグレは が冪等元であることを注意している。
双複素数を別の基底 {1, h, i, −hi} に関して書き表すとき、それらとテッサリンとの同値性が現れる。これらの多元環の間の同型写像の線型表現について見てみれば、第四成分において負符号を用いる場合の一致性が見えるはずである(上で挙げた積の例を線型表現のもとで考察せよ)。
カンザス大学は双複素数上の解析学の発展に多大に寄与している。1953年に、博士課程の院生であった James D. Riley の修士論文 "Contributions to the theory of functions of a bicomplex variable" が東北数学雑誌 (2nd Ser., 5:132–165) に掲載された。1991年にグリフィス・バリー・プライス(英語版)は、双複素数、多重複素数およびそれらの上の函数論に関する書籍を出版した[11]。プライスはその書籍の序文においてこれら主題の歴史についていくらか書いている。双複素数およびその応用について展開した別の本が、Catoni, Bocaletti, Cannata, Nichelatti & Zampetti (2008).[12] である。
^Davenport, Clyde M. (1978). An Extension of the Complex Calculus to Four Real Dimensions, with an Application to Special Relativity (M.S.). Knoxville, Tennessee: University of Tennessee, Knoxville.
^Davenport, Clyde M. (1991) (英語). A Hypercomplex Calculus with Applications to Special Relativity. Knoxville, Tennessee: University of Tennessee, Knoxville. ISBN0962383708
^Pei, Soo-Chang; Chang, Ja-Han; Ding, Jian-Jiun (2004-06-21). “Commutative reduced biquaternions and their Fourier transform for signal and image processing”. IEEE Transactions on Signal Processing (IEEE) 52 (7): 2012-2031. doi:10.1109/TSP.2004.828901. ISSN1941-0476.
^F. Catoni, D. Boccaletti, R. Cannata, V. Catoni, E. Nichelatti, P. Zampetti. (2008) The Mathematics of Minkowski Space-Time with an Introduction to Commutative Hypercomplex Numbers, Birkhäuser Verlag, Basel ISBN978-3-7643-8613-9