双葉会(ふたばかい)は福岡県北九州市小倉南区に本部を置く社会福祉法人。
概要
目的
双葉会の登記の目的欄においては、「多様な福祉サービスがその利用者の意向を尊重して総合的に提供されるように創意工夫することにより、利用者が、個人の尊厳を保持しつつ、自立した生活を地域社会において営むことができるよう支援することを目的と」しているとある[1]。
主な事業
双葉会の主な事業としては、双葉学園や双葉学園みのりなど計5ヶ所での「児童福祉事業」、及び双葉苑など計10ヶ所での「高齢者福祉事業」などがある[2]。
職員の数
男性が65名、女性が157名、男女合計は222名[3]
歴代の理事長
双葉会の創立者及び歴代理事長は、次のとおりである[4][5]。
- 創立者:西田 好之助(1945年就任)
- 初代理事長:西田 サン(1954年就任)
- 第2代理事長:西田 稔夫(1957年就任)
- 第3代理事長:西田 孝子(2017年就任)
- 第4代理事長:真名子 放弦(2018年就任)
- 第5代理事長:高原 堅次(2019年就任)
- 第6代理事長:柏木 修(2020年就任、現在に至る)
2024年度の役員
2024(令和6)年度の双葉会の役員は以下のとおりである(2023年9月現在[6])。
- 理事長:柏木 修(非常勤)
- 業務執行理事:高田 照男(常勤・北九州市役所子ども家庭局OB)
- 理事:迫田 学(弁護士)
- 理事:下田 俊(双葉学園施設長)
- 理事:西田 二郎(双葉苑及び第二双葉苑施設長[7][8])
- 理事:萩野 清隆
- 監事:亀岡 稔昌
- 監事:百瀬 豊
2024年度の評議員
2024(令和6)年度の双葉会の評議員は以下のとおりである(2023年9月現在[6])。
- 柿内 よし子
- 原田 昌子
- 日野 正義
- 平野 謙太
- 舩戸 亜紀
- 山田 裕司
- 山本 妙子
理事に関する行政指導
西田二郎(双葉苑及び第二双葉苑施設長)は2017年当時、6600万円もの不正会計をした責任をとって退任した経緯があることから[9][10][11]、北九州市役所は西田二郎を理事に再任させることは、業務を改善しようとする法人の姿勢としては不適切であると双葉会に行政指導をしている[12][13]。しかし、双葉会は双葉会事件が発覚した2019年から2024年もの5年の間、当該行政指導を無視して西田二郎を理事に起用し続けている。
歴史
双葉会事件
双葉会事件の概要
- 発生の時期:2015年~2019年、2024年に再び発生。
- 発覚の時期:2019年と2024年。
- 被害発生場所の住所:福岡県北九州市小倉南区。
- 被害の発生した場所:児童養護施設の居室、2階の脱衣場、2階の宿直室など。
- 加害が発生した主因:施設長が虐待防止策を数年にわたり放置したことなど。
- 加害施設職員の人数:男性のケースワーカー(児童指導員)3名。
- 加害入所児童の人数:男子小学生1名及び男子中学生2名の計3名。
- 性的加害の発生件数:10件(被害者数:小学生6名、中学生3名、高校生1名)。
- 身体的加害発生件数:3件。
- 職員の性加害の内容:強制性交、児童買春、強制わいせつ、児童ポルノ法違反、盗撮など。
- 児童の性加害の内容:男子児童間での口腔性交・肛門性交。男子中学生が女子小学生に対して男性器を露出するなど。
- 加害男性職員の顛末:逮捕者2名、退職者4名(逮捕者2名含む)。
- 加害男子児童の顛末:児童精神科での長期措置入院、退所など。
※上記についての仔細は「双葉会事件(北九州児童養護施設虐待事件)」を参照。
双葉会事件の原因
双葉学園において2017年6月、男性職員が女子児童を性的虐待する事件が発覚した。このため、当時双葉学園の施設長であった鈴木貴美子は同年10月、「児童虐待の再発防止策」(防犯カメラの録画内容を翌日に確認することなど。)を北九州市役所に提出していたが、その履行を1年以上も懈怠していた。また、児童虐待を現に行っている男性職員U本人から複数の虐待の告白を受けても、これを速やかに通報・通告しなかった。これらが要因となり少なくとも10件の児童虐待事件(いわゆる「双葉会事件」)の発覚が2019年まで遅れることとなった[2]。
鈴木貴美子は、男性指導員(児童指導員)が強制性交などにより2019年に逮捕されたことで、翌年双葉学園の施設長職を解任された。このため現在では、双葉学園みのりにおいて主任職の児童指導員を務めていたものの、ここでは別の男性指導員(児童指導員)が、性的姿態撮影処罰法違反の容疑で2024年に逮捕された[65]。
双葉会事件の名称
- 当該事件について市役所・警察・弁護士会などは、入所児童が誹謗中傷を受けないようするため、事件の発生施設が分からないようすることを目的に、事件を「(北九州)児童養護施設虐待事件」などと呼んでいる[66]。
- 当該事件の発覚から5年以上が経過していることもあり、一般的には「双葉会事件」ないし「双葉学園事件」と呼んでいる。
事件当時の施設内の状況
北九州市社会福祉審議会は2019年11月、双葉会の当時の理事会及び施設長について、次のとおり指摘している[2][67]。
- 鈴木貴美子施設長は、加害職員による指導記録の不記載、勤務時間外の不用意な居残り等について労務管理できていなかった。
- 鈴木貴美子施設長は、事件発覚前・後において夜警を強化しなかったことから、入所する男子児童間の性暴力が見過ごされていた。
- 上記により、加害職員から虐待を受けていた一部の被害児童は、男子児童間の性暴力においては、加害者に転化していた。
- 鈴木貴美子施設長は、事件発覚前・後において心理療法担当職員2名を欠員させ、入所児童に対する心のケアができていなかった。
- 鈴木貴美子施設長は、双葉会事件について「加害職員の個人的な性的嗜好(同性愛)の問題。」などと断じ、あたかも施設や双葉会は被害者であるとの誤った認識を持ち続けていた。
- 理事会においても、双葉会事件は加害職員の個人的(同性愛)な問題と結論付け、事件の原因などについてほとんど議論しなかった。
- 西田孝子施設長及びその長女の鈴木貴美子(旧姓:西田)施設長は、日頃より高圧的な姿勢で職員に接していたことから、職員は両施設長に何も言えない状態になっていた。
- 理事会は適格性を欠いている西田孝子施設長及び鈴木貴美子施設長を放任するなど、内部統制システムが機能不全の状態に陥っていた。
事件発覚から現在までの児童養護施設の状況
双葉会事件発覚以降、双葉学園及び双葉学園みのりでの主な事件・事故等の発生状況は以下のとおりである[5][65][68][69][70]。
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職員の違法
行為不祥事
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放置・放任
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入所児童間
の性的暴力
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対職員暴力
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入所児童間
トラブル喧嘩
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児童間の不
適切な行為
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入所児童間
の問題行動
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無断外泊又
は無断外出
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2021年度
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2件
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2件
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4件
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2022年度
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3件
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5件
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1件
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12件
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4件
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2件
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9件
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2023年度
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1件※
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2件
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1件
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1件
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2件
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6件
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※男性職員(児童指導員・37歳)が2024年3月、小学5年生の女子児童(11歳)のスカートのなかを、モバイルバッテリーに偽装した小型カメラで撮影しようとしたとして、性的姿態撮影処罰法違反の容疑で福岡県小倉南警察署に逮捕された。なお当該職員は容疑を認めている[65][71][72][73][74][75][76][77]。
監査指摘事項(西田本人)
西田とは
西田一(にしだ はじめ)は2009年、福岡県北九州市に本部を置く双葉会(児童養護施設双葉学園)に入職した。2009年からは北九州市議会議員(現在4期目)を務めているなか、2013年から2017年までは双葉会の理事、2021年からは同市若松区に本部を置く社会福祉法人高塔会の理事長でもある[17][24]。
6000万円の不正受給・600万円の使途不明金
西田とその弟は2017年、以下の不適切な業務運営をした責任を取るため双葉会の理事を辞任した[26][9][10][11][31][78][79][80][81]。
- 双葉会は2011年、双葉学園において「児童養護施設分園型自活訓練事業」を開始した。その際、入所児童に対する業務に従事していない事務員を、児童指導員や保育士として位置づけるなどして、補助金など約6,000万円を不正受給していた。
- 領収書などの無い使途不明金約293万円があった
- デパートの商品券230万円分が換価されているがその使用用途が不明であった。
- ホテルの商品券100万円分が換価されているがその使用用途が不明であった。
1700万円の横領
西田は1,700万円を横領したことにより双葉会を解雇された[17][18][11][82][83]。
- 西田は、双葉学園の屋上にある携帯電話基地局の設置料:約1,700万円(毎月:約10万円×13年以上)を個人口座に振り込ませて、花見・カラオケ・懇親会など私的な支出にほぼ全額を使っていた。
- 国税庁小倉税務署は、仮装や隠蔽を伴う悪質な所得隠しとして、2019年3月に無申告加算税を課した。
- 双葉会は2019年5月、西田を解雇した。
- 双葉会は2019年8月、西田を被告とする民事訴訟を提起した。
北九州市の条例違反
西田は北九州市の資産公開条例に違反した[84]。
車両の不正使用
西田は双葉会の車両を不正使用していた[85][86][87]。
- 西田は少なくとも2013年から2018年の5年もの間、双葉会の業務用の車両(日産のエルグランド)を、登庁や地域行事への参加、買い物などに使用していた。
- 北九州市役所子ども家庭局は2018年9月、双葉会が公費589万円を支出して購入した業務用の車両を、西田に対して無償で使用させていたことは社会福祉事業の観点から適性を欠くと、行政指導をしていた。
施設の不正使用
西田は自身が所有する自己の選挙資材を双葉会の施設内で保管させ続けた[88]。
- 前項の車両の不正使用に関する行政指導を受けた双葉会は、西田所有の選挙資材を社会福祉法人の施設(双葉学園)で保管することは、社会福祉法ないし公職選挙法に抵触する可能性があると判断した。
- 双葉会は、双葉学園1階の児童家庭支援センターで就業している西田の妻に対して当該選挙資材の撤去を求めた。
- 西田は北九州市役所子ども家庭局に対して、「児童家庭支援センター長である妻に対して子育てに関する相談業務以外のことを求めるのは、双葉会の私の妻に対するパワハラだ。」などと抗議して、いまだに当該選挙資材の撤去に応じていない。
監査指摘事項(西田の母)
双葉会の理事長を50年以上にわたり務めてきた西田稔夫が2017年8月に死去した[89]。このため理事長の後任に西田一の母が就任したものの[2]、同年10月には北九州市役所の補助金等約6,000万円を不正受給していたことが発覚した。このため当該母は双葉会の理事長職を辞し、2018年4月より新規開設された双葉学園みのり(分園)の施設長に就任した[90][91]。
北九州市役所は2017年及び2018年の特別指導監査において次の指摘をした。
- 西田の母は月額44万円であった自身の給料を、段階的に74万円まで引き上げた[31]。
- 双葉学園みのりの開設に必要な物品等の経費1,400万円について、予算及び補正予算に計上することなく初度調弁したうえ、これに係る見積書、契約書、請求書などの関係書類がほとんど保存されていなかった[31]。
- 西田の母は2018年から2019年の間、定められた時間に就業しなかったうえ、他施設(双葉学園)の給食を検食と称して勝手に自宅に持ち帰っていた[26]。
監査指摘事項(西田の弟)
西田一の弟(西田二郎)は、双葉会が運営する双葉苑及び第二双葉苑の施設長を務めている。当該弟が双葉会の理事を務めていた2017年当時、不正会計の責任をとり理事を退任したものの、2019年には北九州市役所の行政指導を無視して双葉会の理事職に復帰している[5][92][93]。
弟が施設長を務める施設で職員4名が公職選挙法違反の疑いで逮捕された[19][20][21]。
- 双葉会が運営する特別養護老人ホームにおいて、認知症により意思表示をすることができない高齢者3名の投票用紙を使って投票をしたとして、当該施設の職員4名が公職選挙法違反の疑いで2013年2月に逮捕された[19][20][21]。
- 逮捕された4名は「自分たちが投票用紙に書いた。」などと供述し、全員が容疑を認めた[94]。
- 問題となった選挙は、2013年1月27日が投票日となっている福岡県北九州市の市議会議員選挙で、西田一が小倉南選挙区から立候補していた選挙であった。
- 当該施設は北九州市選挙管理委員会から不在者投票所に指定されていて、入所者約50名のうち約30名が不在者投票をしていた[94]。
- 当該施設のある小倉南選挙区は、定数12に対して14名が立候補している選挙区で、西田一(自民党)は6,001票を集めて5位で再選(2期目)した[94]。
- 西田一は電話取材に対して、職員が「警察から調べられていたことは知っていたが、私情を挟むことがないように見守っていた。」「逮捕されるとは思わず驚いている。」「投票偽造の指示などは全くしていない。」とコメントした[94]。
- 逮捕された4名のうち1名については、2013年10月、公職選挙法違反(投票偽造)の罪により懲役1年2カ月、執行猶予5年の刑が確定した[22]。
弟は行政指導を無視して双葉会の理事を継続している。
- 西田一及びその弟は双葉会の理事を務めていた2017年当時、児童養護施設分園型自活訓練事業において補助金など約6,000万円を不正受給していたほか、600万円もの使途不明金を発生させた。このため西田一及びその弟は同年、これらの責任をとり双葉会の理事を退任した[9][10][11]。
- しかし当該弟だけは2019年6月に理事に再任した[44]。
- このため北九州市役所は2019年11月、不正受給の責任をとって退任した理事を再び理事とすることは、業務を改善しようとする法人の姿勢としては不適切であると行政指導した[12][13]。
- 双葉会は2019年から2023年の5年にわたり、行政指導を無視して当該弟を理事に起用し続けている[6]。
監査指摘事項(西田の妹)
双葉学園の施設長を50年以上にわたり務めてきた西田稔夫が2017年8月に死去した[89]。このため双葉学園の施設長に西田の妹が就任した。しかし当該妹は2022年1月、以下の理由によりに施設長の職を解任されたため、現在は双葉学園みのりにおいて児童指導員として勤務している[2][4][5][30]。
妹は業務用の携帯電話で海外パケット代金を発生させていた[95][96][97][98]。
- 西田の妹は米国ニューヨーク州内の高校に進学している長男に、双葉会が法人契約している業務用の携帯電話を2016年から2020年の間貸し出し、海外パケット代金を49万円も発生させていた。
- 福岡県北九州市内に居住する第三者の男性は2019年、公金である措置費から私用の携帯電話料を賄うのは違法・不法であるとして、住民監査請求及び行政訴訟を提起していた。
- 双葉会は2021年、当該妹を被告とする民事訴訟を提起した。
妹は自身が策定した虐待防止策を放置し、虐待の発見を1年以上も遅延させた[99][100][101]。
- 双葉学園の施設長であった西田の妹は2017年、女子児童に対する虐待事件が発生したことにより、防犯カメラの録画内容を翌日に確認することなどを柱とする再発防止策を北九州市役所に提出した。
- 当該妹は、自ら策定した再発防止策の履行を1年余りも懈怠したことから、男子児童に対する虐待10件(双葉会事件)の発覚が2018年8月まで遅れた。
妹は児童虐待事件を隠蔽した[102][103]。
- 双葉学園の施設長であった西田の妹は2019年4月、シフト休にも関わらず午前9時過ぎに施設を訪れた男性職員から、身体的虐待をしていることについて告白を受けた。
- 当該妹は告白を受けた虐待の事実3件について、警察署や児童相談所などに対して速やかに通報・通告をしなかった。
脚注
出典
関連項目
外部リンク