勝手にふるえてろ
『勝手にふるえてろ』(かってにふるえてろ)は、綿矢りさによる日本の恋愛小説。第27回織田作之助賞候補作。 『文學界』(文藝春秋)2010年8月号に掲載された後、加筆修正を経て刊行された。『夢を与える』(河出書房新社)から3年ぶりとなる長編作品。 2017年(平成29年)に、松岡茉優の主演で映画化[1][2]、第30回東京国際映画祭コンペティション部門に出品された[3]。 あらすじ
恋愛経験のない26歳の女性が、現実の恋人と長年の片想い相手との狭間で悩む。 登場人物
参考文献
映画
同題で映画化され、2017年(平成29年)12月23日公開。監督・脚本は大九明子。主演は松岡茉優[1][2]。 第30回東京国際映画祭コンペティション部門「観客賞」受賞作品[3][5]。 2018年(平成30年)3月、メインの公開劇場である「新宿シネマカリテ」の興行収入が『グランド・ブダペスト・ホテル』を抜き、同館の歴代興行収入1位となった[6][注 1]。 主人公の勤務先の撮影場所として、東京都台東区竜泉にある株式会社オンダ(花火、玩具等のメーカー)の事務室及び屋上が使われている。また、主人公が自宅アパートで小火騒ぎを起こし、隣人へ詫びる際に配るのは、新正堂 (東京都港区)で購入した「切腹最中」である。 あらすじ (映画)24年間恋愛経験ゼロの、玩具メーカー「タマヤトーイ」社の経理課に勤務するヨシカは、日々、中学時代に片思いをしていた一宮(イチ)との「脳内恋愛」を楽しんでいる。ヨシカはそのことを「イチを脳内に召喚する」と呼んでいる。東京の練馬区で独り暮らしのヨシカは所謂「オタク気質」で、絶滅した動物について夜遅くまでネットで調べたり、博物館から払い下げのアンモナイトの化石を購入したりして悦に入っている。また、我慢出来ないことがあると、独りになった時に「ファーーーック」と叫んでしまう。 ある日、ヨシカは、思いがけなく同期入社の霧島(二)から交際して欲しいとの告白を受ける。生まれて初めて男性から告白されたことに歓喜するヨシカだったが、イチへの思いと、特に好意を持っているわけではない、言動がややウザい二との間で心が揺れる。 そんな時、ヨシカは自宅で小火騒ぎ起こしてしまい、人間はいつ死ぬか分からない、故に、「脳内召喚」などするより、イチと実際に会うべきだとの思いが募ったヨシカは、中学の同窓会を計画する。中学時代に友達がいなかった自分は影響力が皆無だと考え、嘗て米国に転校して行った紫谷玲奈(むらさきだに・れな)というクラスメイトのSNSアカウントを偽造し、そこを起点に年末年始休暇を利用した同窓会を招集する。 ヨシカは並行してニとのデートも続けていたが、ニが示してくる好意に応えることに躊躇っていた。 同窓会は12月30日に故郷の居酒屋で開催される。開始直前、ヨシカは上記の偽造アカウントから、紫谷当人は「スペイン風邪」に罹患したことから欠席するとの連絡を出席者に送る。十数人集まった同窓会の場ではヨシカは話し相手もおらず手持無沙汰であったが、席上、東京在住と判明したイチと再度会うべく、いきなり東京にいる仲間で新年会を開こうと提案し、4人の賛同を得る。しかし、イチからは「行けたら行くよ」との曖昧な返事しか聞かれなかった。 新年会はIT企業勤務の仲間の1人が住むタワーマンションで開かれる。イチも出席である。しかし、ここでもヨシカは他の出席者たちと馴染めず、独り皿洗いをしたり、勝手に破ったカレンダーの裏にイラストを描いたりして時間を潰す。夜明けが近づく中、ヨシカはイチと2人でベランダで語らい、共通の興味(絶滅した動物)について盛り上がり、良い雰囲気となる。また、ヨシカがイチが中学当時、クラス一の人気者だったと言ったのに対してイチは、周りからの「いじり」は苦痛でしかなかった、だから年末の同窓会にも余り行きたくなかったのだと明かし、ヨシカを驚かせる。更には、運動会の閉会式でイチがヨシカに対して「こっち見て、俺を見て」と話し掛けたのは、「クラスの中で君だけが僕のことを見てこなかったから」だと知り、イチへの想いがますます募る。中学時代のヨシカはイチのことを正視出来ず、自分の視野の端で捉えていて、それを「視野見」(しやみ)と名付けていたのだった。しかしその後、ヨシカのことを「君」と呼び続けるイチにその理由を尋ねると、「君の名前なんだったっけ?」訊かれ、大きなショックを受ける。 その後、ヨシカの独白により、ヨシカの、釣りおじさん、金髪店員、駅員、整体師、編み物おばさん、コンビニ店員等との会話・交流は全てヨシカの想像・妄想であったことが明らかになる。また、ヨシカと同期入社で同じ経理課の来留美が、ニに対してヨシカとの恋愛についていろいろと(ヨシカは交際経験が無いこと等)助言していたことを知り憤慨する。 自分が処女であることが会社中に知れ渡ってしまったと思い込み自暴自棄になったヨシカは、妊娠したと嘘をつき、会社から産休を取得しようとするが、許可されなかったことから退職する。ヨシカ妊娠の噂を聞きつけたニはヨシカと口を利かなくなってしまう。 そして、ある雨の晩、ニがヨシカのアパートを訪ねて来て、妊娠は嘘だとヨシカが言ったことから言い合いになるが、その後、ニはヨシカに対して高まる自分の想いをぶちまけ、2人は玄関口に倒れこみ、キスをする。キスをする直前、ヨシカは身体中が雨で濡れたニに向かって「勝手にふるえてろ」と言う。 キャスト
スタッフ
受賞歴
海外映画祭本作は以下の通り、海外の映画祭にも出品された[14][15]。
Blu-ray・DVD2018年(平成30年)6月6日発売・レンタル開始。発売・販売元は、ソニー・ミュージックマーケティング。
脚注注釈出典
外部リンク
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