土地(とち、朝鮮語: トジ、ハングル: 토지)は、韓国の小説家朴景利の小説である。
概要
1969年9月に月刊誌『現代文学』(현대문학)にて連載開始され、1973年に第1部の単行本が文学思想社から出版された[1]。その後掲載誌を変更しながら連載が続けられ[2]、1994年8月15日の作品完結後には第1部から最終の第5部までがソル出版社から発売された[1]。1983年には日本語、1996年には英語に翻訳された。2003年には子音と母音社より、完全版を約4分の1の分量に編集し直した「青少年版」が出版された[3]。
1974年にラジオドラマ化、そして映画化されたのをはじめ、1979、1987、2004年にはテレビドラマ化、2009年にはミュージカル化されている[4]。
全5部からなり、慶尚南道河東郡平沙里の大地主である崔(チェ)家の人々や、同家の使用人・小作人たちの姿や、さまざまな事件や自然災害、また日韓併合や甲午農民戦争など、李氏朝鮮末期から大韓帝国期、日韓併合時代の時代背景が織り交ぜられて書かれている。
あらすじ
登場人物
崔家
役名 |
作品中の設定等
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尹氏 |
崔致修、および金環の母。早くに夫と死別後、金開柱に手籠めにされて環を産んだ。
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崔致修 (チェ・チス) |
尹氏の息子で西姫の父。金平山に殺害される。
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別堂の若奥様 |
致修の妻で西姫の母。西姫を出産後に金環と駆け落ちして崔家を出る。山中に隠れ住んでいる最中に病没する。
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崔西姫 (チェ・ソヒ) |
本作品の主人公で当主致修の一人娘。父親、祖母の死後、京城府からやってきた趙俊九夫妻に財産を奪われ満州・龍井に移住する。
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崔還国 (チェ・ファングク) |
西姫と吉祥の長男。
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崔ユングク |
西姫と吉祥の次男。
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崔家の使用人たち
役名 |
作品中の設定等
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金吉祥 (キム・ギルサン) |
もとは孤児だったが牛観和尚に育てられ、後崔家の下男となる。鳳順に密かに慕われるが、龍井に移住後西姫と結婚する。
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鳳順 (ポンスン) |
西姫と姉妹のように育つ。後に妓生となりキファと改名。
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鳳順の母 |
崔家で針仕事をする使用人。
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金環 (キム・ファン) |
金開柱と尹氏との間に生まれた息子。九泉(クチョン)と名乗り崔家の下男となるが若奥様(致修の妻)と駆け落ちする。彼女が病死した後は尹氏の遺した遺産をもとに民衆のための活動に身を投じる。
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貴女 (クィニョ) |
崔家の下女。若奥様の出奔後に致修の愛情を得ようと迫るが拒否される。姜漁師と結婚させられそうになった事を恨み、金平山や七星と共謀して致修を殺害したが発覚。獄中で息子杜梅を出産後処刑される。
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金書房 (キムソバン) |
致修に代わって崔家の財産を管理する。尹氏や致修だけでなく使用人たちからも信頼されていた。
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朴寿童 (パク・スドン) |
致修の狩りに同行した際に環/九泉を助けた。尹氏死去後に西姫を守ろうとするが病没。
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金平山家
役名 |
作品中の設定等
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金平山 (キム・ピョンサン) |
没落した両班で、身分だけを根拠に尊大な態度を取り村人からは嫌われている。貴女と共謀して致修を殺害した罪で処刑される。
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咸安宅 (ハマンテク) |
平山の妻。中人出身で夫から虐待されていた。夫が処刑された後に縊死する。
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金巨福 (キム・ゴボク) |
平山の長男。両親の死後、弟と共に平沙里を離れる。成長して金斗洙(キム・ドゥス)と改名、密偵を経て巡査となる。父親の敵として西姫を執拗に付け狙う。
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金漢福 (キム・ハンボク) |
平山の次男。両親の死後兄と共に平沙里を離れたが、単身舞い戻り、村人の助けを得て平沙里で成長する。
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金利平・斗満家
役名 |
作品中の設定等
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金利平 (キム・イピョン) |
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斗満の母 |
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李東鎮家
役名 |
作品中の設定等
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李東鎮 (イ・ドンジン) |
致修の友人で相鉉の父。
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李相鉉 (イ・サンヒョン) |
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平沙里の人々
役名 |
作品中の設定等
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李龍 (イ・ヨン) |
常民。月
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孔月仙 (コン・ウォルソン) |
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江青宅 (カンチョンテク) |
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七星 (チルソン) |
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イムの母 |
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金訓長 (キムフンジャン) |
没落した両班で、西姫の読み書きの師匠。後に西姫らと共に移住。
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牛観和尚 (ウグァン) |
鷰谷寺の住職で金開柱の兄。
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金開柱 (キム・ゲジュ) |
東学の義兵長でモデルは金開南[5]。
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姜漁師 |
智異山で活動する漁師。貴女を愛し、獄中で献身的に彼女に尽くす。彼女が処刑された後杜梅を引き取り山に去っていく。
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月仙の母 |
平沙里の巫女。金開柱に手籠めにされた尹氏を救うために偽のお告げをするが、その事で罪悪感を感じている。酒を飲んだ帰りに川に落ちて死去。
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評価
2次創作
映画
韓国の映画製作会社宇星社が製作、イ・ヒョンウ脚本、キム・スヨン監督で映画化され、1974年11月に公開された。第13回大鐘賞映画祭において、最優秀作品賞、監督賞(キム・スヨン)、主演女優賞(キム・ジミ)、助演女優賞(ト・グンボン)など5部門で受賞した[7]。
スタッフ
以上は[8][9]に基づく。
出演者
以上は[8][9]に基づく。
テレビドラマ
1979年版
当時既に刊行されていた第1部-第3部を原作にKBSが制作、1979年11月12日から翌1980年8月25日にかけて放送した。放送開始時は22時からの放送であったが、1980年3月31日の放送より開始時間が21時40分に変更された[10]。更に8月11日からは20:10からの放送に変更されている。
出演者
1987年版
2004年版(名家の娘ソヒ)
脚注
文献