利用者:Junknote/個人情報・プライバシー
個人情報・プライバシーについての私の個人的な解釈を含む備忘録です。法改正などに対応できていない可能性があり、正確性、正当性、完全性は保証されません。また、これらは法的意見を提供するものではありません。 個人情報プライバシー侵害が発生した場合に、「誰の」権利を侵害しているかを特定する情報として、個人情報が密接に関係してくる。本節では、一般的な個人情報の定義、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)とWikipediaの関係性について述べる。 個人情報の定義個人情報は、「生存する」個人に関して、当該個人が識別できる情報のことである[1]。この情報には住所、氏名、電話番号、生年月日、マイナンバー、映像、音声を含むがそれに限定されない。 容易照合性それ自体が直接的に個人情報に見えないものでも、他の情報と容易に照合することができ(容易照合性)、特定の個人を識別できるものも個人情報となる[2]。 また、容易照合性は、提供先で容易に照合可能であるとする考え方(提供先判断基準)と、提供元で容易に照合可能であるとする考え方(提供元判断基準)の議論があったが、現状、提供元判断基準が一般的となっている[3]。つまり、個人情報の提供元でしか照合できない記号と名前の組み合わせだけでも個人情報にあたる。勿論のことながら、提供先が容易に調べられる情報で識別可能となれば、それは個人情報である。 ただし、「いつ、だれが、どのデータを使って照合が可能であること」を容易と言えるか?という「照合の容易さ」の程度問題も含まれるため、単純に判断することはできない。 個人情報保護法とWikipedia個人情報保護法は、国および地方公共団体ならびに個人情報取扱事業者に対する義務を定めた法律である。個人情報取扱事業者は、個人データを体系的に構成した「個人情報データベース等」を事業の用に供している者を指す[4]。ちなみに、この事業は営利・非営利を問わない。 個人情報データベース等とは、他人によっても容易に検索可能なように整理された個人データの集合物である。コンピュータでテーブルを使って整理した一覧は勿論、五十音順にインデックスを張り整理したカードや帳票などの紙類も含まれる。 例えば、依頼を受けWikipediaに、存命人物の伝記を執筆することを目的とした組織を作り、進捗管理のために依頼者名、依頼者連絡先や記事名などをデータベース化する場合は、この組織が個人情報取扱事業者にあたる[5]。 通常の利用者がWikipediaに執筆をすることは事業でないので個人情報取扱事業者にあたらず、法の適用は受けないと解される。 プライバシー本節では、プライバシー侵害の要件において参考となる、主要な2件の判例について記述する。 「宴のあと」事件(昭和39年9月28日東京地方裁判所判決)国内のプライバシー侵害事件におけるリーディングケース。プライバシー侵害の3要件が示された。 概要三島由紀夫の小説「宴のあと」のモデルである有田氏より、小説の内容はプライバシーの侵害であるとして提訴。小説はフィクションであるものの、モデルは本人であることが以下により一般の読者に明白とした。
判決では「妻を踏んだり蹴ったりする場面」、「寝室での行為、心理描写」については、たとえフィクションであっても事実として受け取られるおそれがあり、公開を望まない感情は法律上も尊重されるべきであり、プライバシー侵害と認めるに相当するとした。 プライバシー侵害の3要件
であり、公開によって本人が現実に不快や不安の念を覚えることで成立する。名誉や信用など他の法益の侵害は不要。 ノンフィクション「逆転」事件(平成6年2月8日最高裁判所判決)前科等を公表することについて、表現の自由とプライバシーのどちらが優越するかを争った裁判。現在の削除の方針でも触れられている事例。 概要沖縄にて発生したアメリカ兵1人が死亡した事件について、不当に重い判決であったとしてアメリカ統治時代の陪審審理の問題点をノンフィクション「逆転」に実名記載にて執筆し公表。当該事件の被告人の1人が実名公表を望まなかったとし訴訟が起こされた。
判決ではこれらの場合には公表が直ちに違法とは言えないとし、著作物の目的、性格などに照らして、「実名を利用することの意義」を「公表されない法的利益」が優越する場合は、賠償を求めることが可能とした。 まとめ以下は、プライバシー侵害の判断において重要視すべきと私が考える個人的見解である。
それに加え、本人がそのことを公表されたくないと明示している場合には、一層の配慮が必要と考える。 脚注 |