利用者:Cyclops/特別書庫-3
バリアフリー (barrier free) とは、広義の対象者としては障害者を含む高齢者等の社会生活弱者、狭義の対象者としては障害者が社会生活に参加する上で生活の支障となる物理的な障害や精神的な障壁を取り除くための施策、若しくは具体的に障害を取り除いた状態をいう。一般的には障害者が利用する上での障壁が取り除かれた状態として広く使われている。日本においては、2000年に放送されたTBS系ドラマ「ビューティフルライフ」(木村拓哉、常盤貴子主演)で広く一般に知られるようになった。 バリアフリーは、特に日本において広く普及し、発展・拡大解釈されている用語である。英語では、設備やシステムが広く障害者や高齢者などに対応可能であることを指して「アクセシビリティ」(accessibility)という用語が頻用されるのに対して、「バリアフリー」(barrier free)は建物の段差を取り除くことなどのみを示す認知度の低い用語である。 歴史バリアフリーの言葉は1974年6月の国連障害者生活環境専門家会議の報告書『バリアフリーデザイン』により広く知られるようになる。
分類国連障害者生活環境専門家会議報告書「バリアフリーデザイン」では、緒言において障壁を「物理的障壁」と「社会的障壁」とに分類しており、社会的な意識の変革が必要だとしている。また、そのような障壁を作り出してしまう原因として「Mr.Average」なる架空の人物を図示し、障壁が生み出される要因は、それらの「実在しない人々」のニーズに応えるように作られているためだと指摘している。Mr.Averageは、肉体的にもっともよく適応できる壮年期にある男性(女性ではない)の象徴であり、「統計的に言えば、少数の人しかこのカテゴリーには属さない」とされる。すなわち、バリアフリーというのは決して障害者や高齢者のみを対象としているものではないことを明らかにしており、ましてバリアの存在を前提としているとは記していない(同報告書の全文は、日比野正己・編著『図解 バリア・フリー・百科』阪急コミュニケーションズ刊・1999年に掲載されている)。 一般的にバリアフリーは物理的な解決法を指す言葉として用いられることが多いが、社会生活弱者が容易に社会参加できるように促す概念としての位置付けがある。日本語に於けるバリアフリーを意味するものとして英語圏ではアクセシビリティー(accessibility)が用いられ、アクセシビリティーの代表的な具体例としては物理的な場へのアクセス・官公庁の広報などを初めとする各種情報サービスへのアクセス・円滑なコミュニケーションの促進等がある。 障害の様態障害者がもつ障害の様態は一人一様であるため万人に対応するというよりは、より多くの人に使いやすくした状態であると言える。 段差高齢者は加齢(エイジング)による各種身体機能の低下により、例えば歩行にあっては下肢の上げ下げの運動機能の低下、反射速度の低下、視力の低下等により、健常者であれば容易に跨げる高さ数cmの段差が識別できずにつまずき、咄嗟にもう一歩足が踏み出せなかったり、手で身体を支えきれずに転倒し、骨折する例が後をたたない。この対策として床面に段差を設けずに行き来できるようにした状態をバリアフリーと表現する場合が多いが、数cm程度の識別が難しいとされる段差を識別しやすくする方法や敢えて段差を大きくする考え方もバリアフリーを検討していく上で忘れてはならない。 これに対して車椅子利用者の場合は、前記の段差に傾斜路の行き来が加わる。健常者は段差解消の手段としてスロープを思い浮かべるが、建築基準法施行令の第25条で定める「階段に代わる傾斜路」の勾配は1/8(約7度)以下と規定されている。この勾配は健常者である歩行者には比較的緩やかなスロープとして認識されるものである。しかし車椅子利用者ではスロープの延長距離が長い場合には車椅子の両輪を回し続ける腕力と持久力が要求され、階段の踊り場のように途中に平らなスペースを設け、停止若しくは一休みすることが可能になれば解消される問題である。この踊り場に関する規定もあり「高さが75センチメートルを超える傾斜路にあっては、高さ75センチメートル以内ごとに踏み幅(平らな部分の奥行き)150センチメートル以上の踊り場を設けること」となっている。杖歩行者や障害のタイプによっては傾斜路での立ち止まり(一旦停止)が困難な場合もあり、スロープ設置が逆効果となる場合も発生する。このほか表面の材質にも注意が必要であり、コンクリートの打ちっぱなしやタイル張りなどは雨天時・降雪時に相当なスリップを起こす。スリットやグリッド、でこぼこの付いたタイルや舗装材の設置の考慮が必要である。 物理的なバリアフリー化具体的には、施設面(特に公共施設)では以下のようなものがある。
コミュニケーションのバリアフリー化ソフト面では、文字放送や手話通訳・手話放送なども含まれる。しかし、手話通訳・要約筆記に至っては命に関わる物、司法等ではハード面となることもある。店舗規約の中にあるバリアフリー化の最低基準として含まれていない・対応されていない事が多い。介護体制や、対人関係、社会関係によるところも大きい。 人にやさしいまちづくり事業都市部において、高齢者や身体障害者に配慮したまちづくりの推進を図るため、快適かつ安全な移動を確保するための施設の整備等を行うことを目的とした国土交通省の所轄事業。 市街他における道路空間等と一体となった移動ネットワーク整備に対して、地方公共団体が行う整備計画の策定と、動く通路、スロープ、エレベーターその他の高齢者や身体障害者の快適かつ安全な移動を確保するための施設の整備等に一定の補助が適用される。 言語バリアフリーバリアフリーの概念を広義に適用したものに言語バリアフリーがある。これは観光立国実現のため、外国人旅行者の利便性・満足度向上のために交通機関の掲示板を多数の言語で表示しようとする事業である[1]。英語、中国語、ハングルでの表示が主になっている。ただし英語圏、中国、韓国(北朝鮮)において相互主義的に同様の掲示が日本語で示されているわけではない。東日本大震災の復興予算が被災地以外での言語バリアフリー化に用いられていることが判明し問題となった[2]。 関連法規
脚注注釈出典参考文献
関連項目
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