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ジスプロシウム/ディスプロシウム (ドイツ語・英語:Dysprosium) は、原子番号66の元素。元素記号は Dy。希土類元素の一つであり、ランタノイドにも属す。地球における分布は、きわめて偏在で、2010年代前期現在、世界の総産出量の約99%を中国が占めている。 性質銀白色の金属で、常温、常圧で安定な結晶構造は六方最密充填構造 (HCP)。比重は8.56、融点は1407 °C、沸点は2562 °C。 空気中で表面が酸化され、高温で燃焼して Dy2O3 となる。水にゆっくりと溶ける。酸に易溶。ハロゲンと反応する。安定な原子価は、4f9 の電子配置を取る+3価である。低温では強磁性を示し、強磁性転移温度 TN は−188 °C (85 K) である。 用途中性子吸収断面積が大きいので原子炉の制御用材料として利用される(→鉛との合金、および、鉛・ガドリニウムとの合金)。光磁気ディスク(光メモリ)の材料や磁石、蓄光剤の添加剤としても利用される。他に伸縮合金にも使われる。また、ヨウ化ジスプロシウム (III) や臭化ジスプロシウム (III) といった塩は高輝度放電ランプの光の赤色領域の貴重なスペクトル線を出すのに使われている。ネオジム磁石の保磁力を高めるための添加物としての利用は2010年代前期に急増した。 歴史1886年、フランスの化学者ポール・ボアボードランによってホルミウム化合物から単離された。単離は難しく、大変な労力を要した。このため、命名に当たっては「近づき難い」を意味するギリシャ語 δυσπρόσιτος (ラテン文字転写形:dysprositos)が語源となった。 ネオジム磁石の保磁力を高めるための添加物としての利用が急増したのは2010年代前期であるが、2012年、独占的産出地である中国がレアアースの輸出制限を国際政治上の駆け引きの道具に利用する姿勢を明確に見せた。輸入国側は安定供給量の確保に対する懸念をかねてから抱いており、例えば日本では経済産業省の「希少金属代替材料開発プロジェクト」で2011年度(平成23年度)までに使用量を現状から30 %削減するための技術開発を目指すことになっていた[1]が、差し迫った課題に変わるなか、小笠原諸島の南鳥島沖の海底泥層から高品質の採掘に十分な鉱床が発見され、2012年(平成23年)7月20日に発表された[2][3]。 ジスプロシウムの化合物
同位体→詳細は「ジスプロシウムの同位体」を参照
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