X を位相空間とし、X の二点 x, y が位相的に識別可能 (topologically distinguishable) とは、二点が全く同じ近傍系を持たないこと(あるいは同じことだが、同じ開近傍系を持たないこと)である。これはつまり、二点のうち少なくとも一方が、他方の近傍とならないような近傍を持つ(あるいは同じことだが、一方を含み他方を含まない開集合が存在する)ことを言うものである。x と y とが位相的に識別可能な点ならば一元集合 {x} と {y} とは必ず交わりを持たない。
二点 x, y が分離される (separated) とは、二点の各々一方が他方の近傍とならない近傍を持つことを言う。これはつまり、二点の何れの一方も他方の閉包に属さないということである。より一般に、X の二つの部分集合 A と B とが分離されるとは、各々一方が他方の閉包と交わらないことを言う(閉包同士は交わるかもしれない)。二点 x, y が分離されるための必要十分条件は単元集合 {x}, {y} が分離されることである。以下、集合同士の間の条件について単元集合を考えることで、点同士あるいは点と集合の間の条件として適用することができる。
引き続き、部分集合 A と B とが、近傍で分離されるとはそれらが交わらない近傍を持つことを言い、閉近傍で分離されるとはそれらが交わりを持たない閉近傍を持つことを言う。またそれらが函数で分離されるとは、 X から実数直線 R への連続函数f が存在して、像f(A) が {0} に等しく、かつ f(B) が {1} に等しくできることを言う。最後に、それらが函数でちょうど分離される (precisely separated by a function) とは、X から R への連続函数 f で原像f−1({0}) が A に等しく、かつ f−1({1}) が B に等しいようなものが存在することを言う。
X が T0 あるいはコルモゴロフであるとは、X における相異なる任意の二点が位相的に識別可能であるときにいう。(これは分離公理の間での共通の主題であり、各公理に T0 を課した版と課さない版が考えられる)。
X が R0 あるいは対称的であるとは、X における任意の位相的に識別可能な二点が分離されるときに言う。
X が T1 あるいは到達可能またはフレシェであるとは、X における任意の相異なる二点が分離されることを言う。従って X が T1 であるための必要十分条件は X が T0 かつ R0 となることである。(この条件が満たされることを、「T1-空間」、「フレシェ位相」や 「位相空間 X がフレシェである」のようにいうことはできるけれども、これを「フレシェ空間」と呼ぶことは避けたほうがよい。フレシェ空間は函数解析学において全く別な意味で用いられる)。
X が R1(英語版) あるいは前正則 であるとは、X における任意の位相的に識別可能な二点が近傍で分離されるときに言う。R1-空間は必ず R0 にもなる。
X がハウスドルフ あるいは T2 若しくは分離空間であるとは、X における任意の相異なる二点が近傍で分離されることを言う。従って X がハウスドルフであるための必要十分条件は T0 かつ R1 なることである。ハウスドルフ空間は必ず T1 になる。
X が T2½ あるいはウリゾーンであるとは、X における任意の相異なる二点が閉近傍で分離されることをいう。T2½-空間は必ずハウスドルフである。
X が完全ハウスドルフ空間または完全 T2 であるとは、X における任意の相異なる二点が函数で分離されるときに言う。完全ハウスドルフ空間は必ず T2½ にもなる。
X が正則(英語版) (regular) であるとは、X における任意の点 x と閉集合 F に対し、 x が F に属さないならば x と F は近傍で分離されるときに言う。(実は、正則空間においてそのような x と F とは閉近傍で分離される)。正則空間は必ず R1 である。
X が正則ハウスドルフあるいは T3 であるとは、 T0 かつ正則であることを言う。正則ハウスドルフは必ず T2½ になる。
X が完全正則(英語版) (completely regular) であるとは、X の任意の点 x と閉集合 F に対し x が F に属さないならば x と F とが函数で分離されることを言う。完全正則空間は必ず正則である。
X がチホノフ(英語版)または T3½ あるいは完全 T3 若しくは完全正則ハウスドルフであるとは、T0 かつ完全正則なることを言う。チホノフ空間は必ず正則ハウスドルフであり、また必ず完全ハウスドルフである。
X が正規(英語版) (normal) であるとは、X の交わりを持たない任意の二つの閉集合が近傍で分離されることを言う。(実は、正規空間において、交わりを持たない任意の二つの閉集合は函数で分離される。これをウリゾーンの補題(英語版)という)。
X が正規ハウスドルフ(英語版)若しくは T4 であるとは、T1 かつ正規なることを言う。正規ハウスドルフ空間は必ずチホノフであり、また必ず正規正則である。
X が全部分正規(英語版) (completely normal) であるとは、任意の二つの分離された集合が近傍で分離されることを言う。全部分正規空間は必ず正規である。
X が全部分正規ハウスドルフ(英語版)若しくは T5 あるいは全部分 T4 であるとは、全部分正規かつ T1 なることを言う。全部分正規ハウスドルフ空間は必ず正規ハウスドルフになる。
X が完全正規(英語版) (perfectly normal) であるとは、交わりを持たない任意の二つの閉集合が函数でちょうど分離されるときに言う。完全正規空間は必ず全部分正規である。
X が完全正規ハウスドルフ(英語版)または T6 あるいは完全 T4 であるとは、完全正規かつ T1 なることを言う。完全正規ハウスドルフ空間は必ず全部分正規ハウスドルフである。
X が穏健(英語版) (sober) であるとは、より小さな閉集合の和(非交和でなくともよい)に表されることのない任意の閉集合 C に対して、ただ一つの点 p が存在して、一点集合 {p} の閉包が C に一致するとき、より手短に述べれば、任意の既約閉集合が唯一の生成点を持つときにいう。任意のハウスドルフ空間は穏健であり、また任意の穏健空間は T0 になる。