井原裕 (精神科医)
井原 裕(いはら ひろし、1962年9月10日[1] - )は、日本の医学者、精神科医。専門は精神病理学、司法精神医学、精神療法。獨協医科大学越谷病院こころの診療科教授。博士(医学)、Ph.D.[2]。 宮本忠雄の処女作『精神分裂病の世界』(紀伊國屋書店・1977年)に引かれて精神医学を志した。後に自治医科大学で直接宮本に師事し、精神病理学を学んだ[3]。その後ケンブリッジ大学大学院に留学し、ジャーマン・ベリオス博士のもとで研鑽を積んだ。論文 “Dysexecutive Syndrome in Clinical Psychiatry”(Department of Psychiatry, University of Cambridge)でPh.D. 取得。刑事・民事の精神鑑定を数多く行っている[4]。精神療法的接近を心掛けており、薬に頼りきりではない精神科臨床を実践している。 来歴
主義・主張井原は措置入院制度に関して次のように主張している。 相模原障害者施設殺傷事件は、精神障害のある容疑者の措置入院の解除(退院)をめぐる事件前の対応が議論となっている。まず前提として、精神科医療の目的は心の健康に奉仕することであり、犯罪を防止することではない。患者が求めてもいないのに医者が押し付けてはならない。まれな例外が、精神障害の患者に対する強制的な措置入院である。精神障害の患者のなかには入院治療の必要性があるのに自覚がない場合がある。そのため、精神保健福祉法では本人の意思によらない措置入院を認めている。ただ精神科医が患者を閉鎖された環境に留め置くことができるのは、治療を目的とする場合だけである。入院治療の目的を遂げれば、直ちに退院させなければならない。精神科病院は治療の場所である。留置場でもなく、危険人物を閉じ込めておく場所でもない。精神科医は入院治療に責任を負うが、第一義的に犯罪防止の責任を負っていない。治療が終わっているのに「犯罪防止」の名のもとに閉鎖病棟に患者を留め置けば、行動の自由を不法に奪うこととなり、刑法の逮捕・監禁罪が成立してしまう。今回の事件の問題点は「精神科医の措置入院解除の判断は妥当だったのか」ではない。警察が犯罪を起こす恐れのある人物を措置入院のルートに乗せると、「警察発、病院行き」の片道切符になってしまうということだ。警察から病院への往路は確保されているが、病院から警察への復路は閉ざされている。相模原障害者施設殺傷事件の容疑者のケースでは措置入院となったことで、警察は「この難しい男を追わなくていいのだ」と安心してしまったのではないだろうか。結局、措置解除後は誰も対象者を追おうとしなかった。事件については厚生労働省の検討チームが2016年9月14日に検証結果を公表したが、こうした制度上の致命的な欠陥には触れていない。現行制度の不備は、措置入院自体に内在する問題ではなく、むしろ、刑事政策の問題である。犯罪の危険をはらむ人物を追うのは警察である。措置解除後に必要に応じて刑事司法に差し戻す経路を確保することこそ、検討すべきである[6]。 受賞歴
学会著書単著
共編著
共著
論文
出典
参考文献
関連人物関連項目外部リンク
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