レッドパールレッドパールはイチゴの品種名。愛媛県宇和島市のイチゴ農家の西田朝美が1993年に開発した品種[1]。 特徴外観は赤い色が強いのが特徴[2]。味は甘みと酸味の濃い味が特徴である[1]。耐病性もあり、収穫量が多いため育てやすい品種である[1]。 開発の経緯宇和島市三間町のイチゴ農家、西田朝美は麗紅、宝交早生、とよのか、女峰といった多くのイチゴ品種を生産していたが、収穫量、果実品質、耐病性に不満を覚えていた[3]。 西田は近郊のイチゴ栽培仲間や普及センター職員と協議し、以下の要件を定めた。
1980年からアイベリーととよのかを交配し実生苗200株から数年かけて選別を行い、1990年には有望は2系統に絞って試作を行い、1991年には育種目標に近い1株を近郊の農家に試作してもらう[3]。試作の結果、ほとんどの農家が難点を示したが1戸のみ高評価であった[3]。これまでのイチゴ品種は大苗から栽培を行っており、試作を依頼した農家も従来の手法を用いていたが、この1戸のみ中苗を用いて電照によって育てる手法をとっていた[3]。翌年、他の農家にも同じ方法で試作を行ってもらったところ、いずれもが高評価でありとよのかに負けない品種であると評価した[3]。 宇和島の特産品の真珠と赤味が強い外観から、「食べる宝石」をイメージして「レッドパール」と名付けた[2][3]。 1992年1月の農林水産省による現地調査を経て、1993年11月25日付で「農林水産省種苗登録第3775号,いちご,レッドパール」として登録された[3]。 西田はレッドパール開発と普及の功績で、2001年12月に農林水産技術会議会長賞を受賞している[3][4]。 韓国への流出と権利侵害問題大韓民国の農業研究者金重吉(キム・チョンギル)はレッドパールの苗を入手するために西田を訪れた。当初は断っていた西田であったが、度重なる依頼についには金が5年間、有料でレッドパールを栽培できる条件で書面による契約をした[1][5]。 しかしながら、金は西田の承諾も得ず、勝手に知り合いの韓国人に苗を譲り渡した[1]。金の証言ではその知り合いが「勝手に苗を栽培したり、売ったりし始めた」と責任回避する発言を行っている[1]。 韓国でのレッドパールは同様に韓国に違法に流出した章姫と共に一時期は韓国イチゴ市場で8割を占めるほどになった[1]。 日本政府からの抗議によって、韓国は2002年に植物新品種保護国際同盟(UPOV)に加入し、2008年よりロイヤルティーを支払う約束をいったんは交わすが、支払いが年間30億ウォン(約3億4000万円=2008年当時)ということに「金額が高すぎる」と韓国が反発し、支払いを拒否[5]。 UPOVがイチゴに対しても有効となる2012年には韓国内で章姫ととちおとめを交配してクムヒャン(錦香)、レッドパールと章姫を交配してソルヒャン(雪香)、章姫と栃の峰を交配してメヒャン(梅香)といった交配種を韓国内で品種登録し、その後の韓国市場の占有率も高まっている[6][7]。 開発者の西田にはロイヤリティーが入ることもなく、西田は2015年に他界した[5]。 出典
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