ラウリ
ラウリ[3][4][5](Nothofagus alpina)とは、ナンキョクブナ科ナンキョクブナ属の落葉性高木の一種である。原産地はチリ中部およびアルゼンチン西部[5](参照: #分布)で、特徴の一つは14-18対の目立つ葉脈である(参照: #特徴)。木材が得られる(参照: #利用)。 分布アルゼンチンのネウケン州、チリのビオビオ州およびマウレ州に分布する[1]。 生態ラウリは生育地においては一次林や二次林を構成する重要な種であり、攪乱された場所でも良好に生長することが可能である[1]。むしろ、ナンキョクブナ科ナンキョクブナ属の植物の中では最も耐陰性が高いにもかかわらず攪乱された場所や開けた場所を好む(Pollmann (2005))。また、火山性や砂質の土壌も好む(Echeverría & Lara (2004))[1]。しばしばレンガ(Nothofagus pumilio)等ほかのナンキョクブナ属植物とともに生えている姿が見られる[1]。 特徴自然状態では樹高25メートル以下の落葉樹であり[5]、樹形は広円錐形となる[3]。樹皮は暗灰色で、年とともにひび割れていく[3]。枝は上向きに開き、若枝は初め緑色、やがて茶変し表面が荒れる[5]。 葉は互生で単葉、セイヨウシデ(Carpinus betulus; カバノキ科)と紛らわしく[5]、長楕円形、長さ10センチメートル、幅4センチメートル未満[3]、表は深緑から青銅色、裏は白っぽく、中央脈と葉脈とに少量の毛が生えている[5]。葉脈は平行に14-18対見られ、ここからほかのナンキョクブナ属植物と区別することが可能である[5]。葉縁には細かい鋸歯がある[3]。秋になると黄変する[3]。 花は非常に小さく緑色を帯び、晩春に葉腋に雄花が1個、雌花が3個ずつ開く[3]。 果実は葉の基部につき[5]、殻斗果で長さ1センチメートル未満、剛毛を帯び[3]殻が4つに割れ、小さな堅果3個を含む[5]。熟すと深緑色から茶色に変化する[5]。
利用優れた木材が得られ、2012年までの時点で既に北半球の植林地に植えられている[5]。 保全状況LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001)) 木材として利用されていることでラウリが減少に陥るリスクがあり、また森林が切り拓かれて土地が農地や外来種のプランテーションに転換され、生育地が失われるという脅威も存在する[1]。しかし、2017年に発表されたIUCNレッドリストにおいては持続可能な利用法が研究されるべきとされつつも低危険種(Least Concern)という評価に落ち着いている[1]。 ラウリは30を超える生育域外の標本が確認されている[1]。 諸言語における呼称英語: チリおよびアルゼンチン: 脚注
参考文献英語:
日本語:
スペイン語:
関連文献英語:
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