ライフガーズ(英: Life Guards)はイギリスの近衛騎兵連隊であり、イギリス陸軍に於ける連隊序列第一位の連隊である。日本語では”ライフガーズ連隊”、”ライフガード連隊”、”ライフ近衛連隊”等の表記も見られる。また、ライフガードと混同されて”救難隊”と誤訳される例も見られた。
一般の連隊のように各旅団に戦闘部隊(大隊や中隊)を派遣し、衛兵任務の人員を配置するための組織としては、ブルーズ・アンド・ロイヤルズ(The Blues and Royals)と共に王室騎兵隊 (Household Cavalry:HHC)が編成されている。ブルーズ・アンド・ロイヤルズ連隊が清教徒革命期に議会派だった部隊の流れを汲んでいるのに対し[1]、ライフガーズ連隊は王政復古時に王党派だった騎兵中隊が基になっている。
歴史
1651年、チャールズ皇太子(後のチャールズ2世)は、イングランド内戦に於ける最後の大きな戦闘となったウスターの戦い(en)に敗れて大陸へ亡命した。この時チャールズ皇太子に従っていたジェントルマン階級のロイヤリスト80名により、1652年に騎馬護衛隊(Royal Mounted Bodyguard)がオランダで編成された。当時はチャールズ皇太子個人のボディーガード(Life Guard)であり、戦闘時は歩兵として戦った。彼らは”ジェントルメン・オブ・ザ・ライフガーズ”(Gentlemen of the Life Guards)とも呼ばれていた。そして同じ頃、チャールズの弟で後にジェームズ2世となるヨーク公も騎馬護衛隊を編成していた。また、当時議会派だったジョージ・マンク[2]も自身の騎馬護衛隊(Monck's Life Guards)を持っていたが、マンク将軍は王政復古に際して王党派に転向したので、彼の騎馬護衛隊もそれに従った。
1660年5月、チャールズはこれらの3個騎馬隊に将校を任命し、3個の近衛騎兵(ホースガーズ Horse Guards)中隊としてロンドン入城に同行した。騎兵中隊は、チャールズ皇太子の護衛隊が第1中隊とされてキングス中隊(King's Troop)、マンク将軍の騎馬隊が第2中隊とされてクィーンズ中隊(Queen's Troop)、ヨーク公の護衛隊が第3中隊とされてデューク・オブ・ヨークス中隊(Duke of York's Troop)と呼ばれた。
王室騎兵乗馬連隊はロンドンのナイツブリッジにあるハイドパーク・バラックス(Hyde Park Barracks)に本部を置き、儀仗・衛兵任務を行なう部隊であり、ホース・ガーズでの衛兵任務、トゥルーピング・ザ・カラー(Trooping the Colour)或は戴冠式や王族の結婚式のパレードを騎馬で行なう他、ガーターセレモニーの際は徒歩で隊列を先導する。この際に着用するライフガーズ連隊の正装は赤いジャケット(ブルーズ・アンド・ロイヤルズ連隊は紺)で、ヘルメットの羽飾りは白(ブルーズ・アンド・ロイヤルズ連隊は赤)である。両連隊とも、乗馬時には胸甲を着用し、白のキュロットとブーツを履き、徒歩行進の際は胸甲を付けず、濃紺の長ズボンの下に半長靴を履く。
陸軍音楽軍団(Corps of Army Music)の下にはライフガーズ軍楽隊(The Band of The Life Guards)がある。陸軍音楽軍団は陸軍音楽学校を母体とし、全陸軍の連隊及び兵科軍団の軍楽隊を分離して編入させたものである。かつてライフガーズ連隊傘下にあった軍楽隊もここに編入されている。ブルーズ・アンド・ロイヤルズ軍楽隊と合同して大規模編成で演奏することもある。
W Y Carman; Richard Simkin; K J Douglas-Morris (1982). Richard Simkin's uniforms of the British Army : the cavalry regiments : from the collection of Captain K.J. Douglas-Morris. Exeter, England: Webb & Bower. ISBN 978-0-906671-13-9.
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