ヤリマン

ヤリマンSlut英語版[1])は、貞操観念の低い女性を指す侮蔑語。交際関係無しに相手に抱く好意以前の好奇心を衝動とし肉体関係を持つとされる[2][3][4]。『現代用語の基礎知識』への初収録は1986年版においてで[5]「やりまん 男遊びの激しい女の子。」と定義されている[6][注 1]。交際関係にない不特定多数の男性と積極的に性行為の関係を持つ女性のことを意味する隠語あるいは業界用語卑語)である[7]。類義語に、男性の容姿問わず誰とでも肉体関係を持つ貞操観念皆無の女性への蔑称である「共同便所」「公衆便所」「辻便所」[8]浮気女を意味する「尻軽[9][10]」、無料で肉体関係を持てた女を意味する「ただまん(free pussy)[2][11]」、セックス目的(ヤリモク)の男からモテているだけで本命にはされず最終的にやり捨てられるだけの女性を意味する「穴モテ[12][13][14][15]」、自ら誘わないが誘われれば応じる「させこ」[16]などがある。また、関連語に肉体関係を持った男性の運気を上げる女性を「あげまん」、逆に下げる女性を意味する「さげまん」がある[2][17]

概説

社会学者の澁谷知美によると、以前は「させ子」と呼ばれていたが、それが「やりまん」に移行するのは1980年代であり、使役動詞からの派生語「させ子」と比較し、「やりまん」は能動的で女性の主体性が感じられる表現であり、1980年代、フェミニズム講座が開講され、マドンナ旋風が吹き、性においても女性の能動性や主体性が承認された結果、「させ子」から「やりまん」へ移行したかもしれない、という[5]

タレントの若槻千夏は、バラエティ番組めちゃ×2イケてるッ!』で「バカまん」と呼ばれたことに対して「私はバカまんじゃありません、やりまんです」と発言したが、若槻いわく「やりまん」とは「やる気まんまん」の意であるという[5]

AV監督の鈴木リズは、「アバズレ(消極的ヤリマン)とビッチ(積極的ヤリマン)を一まとめにした存在が『ヤリマン』だ」と定義している[18]

脚注

注釈

  1. ^ また、同じページに、「やりま 相手かまわずやりまくる女。」、「させまん 男子生徒にセックスをさせてやり、人気を得ようとする女の子。」も立項されている。

出典

  1. ^ 英辞郎 on the WEB”. eow.alc.co.jp. 2023年2月2日閲覧。
  2. ^ a b c 米川明彦『日本俗語大辞典』東京堂出版、平成15年11月10日 初版発行 ISBN 4-490-10638-6、453頁。
  3. ^ 【マンガ】ヤリマン引退!~マンを持して育児はじめました~【第1~3話+告知】”. サイゾーウーマン (2019年6月12日). 2022年2月19日閲覧。
  4. ^ 山田ゴメス (2013年7月14日). “「ヤリマン」でもセックスを拒む理由とは?”. 日刊SPA!. 2022年2月19日閲覧。 “「相手に抱く好意以前の好奇心を衝動とし、その衝動の程度によっては会った初日からその男を試し食いするのも躊躇しない女性」のことを指す。ここでひとつ、見逃してはならないのが“相手に抱く好意以前の好奇心を衝動とし”という部分だ。つまり逆の見方をすれば、ヤリマンは“好意はおろか、好奇心すら抱くことのできない相手には股を開かない”のである。”
  5. ^ a b c 澁谷知美「まんこ、やりまん、あげまん」井上章一・斎藤光・澁谷知美・三橋順子編著『性的なことば〈講談社現代新書 2034〉』講談社、2010年1月20日 第一刷発行、ISBN 978-4-06-288034-3、38-40頁。
  6. ^ 堀内克明「若者用語の解説」『現代用語の基礎知識 1986年版』昭和61年2月1日 発行、ISBN 4-426-10002-X、1108頁。
  7. ^ “蔑みの時代は終わった。日本女性よ、人生に一度は「ヤリマン」期を(吉田 潮)” (日本語). 現代ビジネス. https://gendai.media/articles/-/56157 2018年6月30日閲覧。 
  8. ^ 『好色艶語辞典 性語類聚抄』 p288,笹間良彦,雄山閣出版,1989年,ISBN 978-4639009337
  9. ^ 尻軽妻~奥さん浮気してるんでしょ~”. 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア. 2022年2月19日閲覧。
  10. ^ 日本国語大辞典,デジタル大辞泉, 精選版. “尻軽とは”. コトバンク. 2022年2月19日閲覧。 “3 女の浮気なこと。また、そのさま。”
  11. ^ 「タダマン」の英語・英語例文・英語表現 - Weblio和英辞書”. ejje.weblio.jp. 2022年2月19日閲覧。
  12. ^ 【それはモテじゃない!】ちやほやされてるだけの「穴モテ女子」の特徴|ウーマンエキサイト”. ウーマンエキサイト. 2022年2月19日閲覧。
  13. ^ 「女性専用車両を許せない男」が女性に抱く6種類の怒り 「この世は女尊男卑」と信じる人たち (3ページ目)”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) (2020年8月17日). 2022年2月19日閲覧。 “恋愛市場においては、女性は男性に比べて圧倒的に有利な立場に置かれている。女性にはいわゆる「穴モテ期」=膣がついている(女性である)という理由だけでモテる時期があるが、男性にはそうした時期はない。また女性は、パパ活などの愛人契約によって、高所得男性から富の再分配を受けることができる。しかし、高所得女性が自分より所得の低い男性に対して富の再分配を行うケースは、圧倒的に少ない。低所得男性と低所得女性の賃金(最低賃金)はほぼ完全に平等である一方、女性だけが高所得男性からの贈与を受けられるという選択肢を持っている。”
  14. ^ モテていると勘違い?絶対に幸せになれない”穴モテ女子”の特徴5選 (2017年5月31日)”. エキサイトニュース. 2022年2月19日閲覧。
  15. ^ 7割の女性が絶望へ…!「穴モテ」or「誰からも求められない」不幸なのはどっち? (2017年9月3日)”. エキサイトニュース. 2022年2月19日閲覧。 “体だけを求められいつまで経っても本命になれない「穴モテ女子」とそもそも「誰からも求められない女性」はどちらの方が不幸なのでしょうか?”
  16. ^ 「ヤリマン」と「サセコ」は同義語にあらず!! ヤリマンが違いを徹底検証”. サイゾーウーマン (2011年8月5日). 2022年2月19日閲覧。
  17. ^ 「アゲマン」と「サゲマン」はどこが違う?男性から見たそれぞれの特徴とは (2020年12月10日)”. エキサイトニュース. 2022年2月19日閲覧。
  18. ^ “自称「ヤリマン女流AV監督」鈴木がくとさんに「真のヤリマン」について聞いてみた<動画インタビュー>”. 日刊SPA! (扶桑社). (2018年6月19日). https://nikkan-spa.jp/1485604 2018年6月30日閲覧。 

関連項目