モバンギ (学名 : Distemonanthus benthamianus Baill. )[ 5] [ 2] は、西アフリカのガボン からシェラレオネ 付近の常緑多雨林マメ科 モバンギ属(ディステモナントゥス属)の樹木 である。The Plant List (2013) や Roskov et al. (2018) ではモバンギ属に属する唯一の種とされている。モビンギ (movingui)[ 6] 、ムビンギ 、アヤン 、ナイジェリアンサテンウッド (英語 : Nigerian satinwood )[ 3] などとも呼ばれ、木目がとても美しく最長で樹高40メートル、直径1.5メートルの大木に成長するため、家具や木造船の材料に使用された。
特徴
樹高27-38メートル(上限は40メートルとする資料も存在[ 2] )、胸高直径0.8-1.5メートルにまで生長し、樹幹はまっすぐ円筒形となる[ 3] 。樹皮は赤色で[ 5] 平滑、薄片となって剥がれ落ち、その痕は赤味がかっている[ 7] 。
葉は羽状複葉 であり、小葉が7-11対となる[ 5] 。
人間との関係
利用
木材
モバンギ材の外観に関しては、辺材 は淡黄色であり、淡黄白色から金褐色まで多種多様な色が存在する心材 との区別は不明瞭である[ 3] 。心材には濃色の筋が見られることもある[ 3] 。木理 は不規則である場合や交錯木理となる場合が多く、波状である場合も見られる[ 3] 。肌目 は精で均一であり、表面に光沢が見られる[ 3] 。
特性に関しては、気乾比重 が0.59-0.77で平均0.67、比重が高くなるにつれて色も濃くなる傾向がある[ 3] 。乾燥は早く良好で、割れもねじれもほとんど起こることがなく、寸度安定性は極めて良好である[ 3] 。非常に緻密であり、曲げ強さ (板材の両端に力を加えた場合の折れにくさ)は中庸で、圧縮強さ (木口に荷重を加えた場合の耐久性)は高い一方で剛性 (木材の弾力性を表す尺度)や耐衝撃性 (木材に急な衝撃荷重を加えた場合の抵抗力)は低く、蒸し曲げ についての適性は中庸である[ 3] 。材の中にはシリカ が含まれており、刃先を摩耗させる可能性が高いために機械による加工は至難の業である[ 3] 。また鋸歯に樹脂がくっつくので目立て を頻繁に行わなければならない[ 3] 。交錯木理であるためにカンナ 削りの難度も高いが、仕上がりは良好である[ 6] 。保持力が大きい反面、釘やビス を打ち込む際に割れが生じやすく[ 6] 、釘打ちの際には下穴が必要となる[ 3] 。接着性は良いので最初に目止め材で処理しておけば非常に美しい表面仕上がりとなる[ 3] 。耐久性は中庸であり、西アフリカ においてはシロアリ に対する耐性が見られる[ 3] 。ヒラタキクイムシ [ 注 1] もつきにくい[ 6] 。心材を保存薬剤で処理するのは困難である[ 3] 。
用途としては家具 やキャビネット [ 3] [ 6] をはじめ、外装建具 、ドア や窓 の枠木 、敷居 、店舗 ・バス ・客車 の内装[ 3] 、ビリヤード のキュー 、内装用化粧合板 が挙げられる[ 6] 。また弾性が活きる住宅 やジム のフローリング には最適であり、ロータリーカット すれば合板製造に、スライスカット すれば高級化粧単板 となる[ 3] 。
民俗
ガボン のファン人 やポヴェ人 (Pove )はモバンギを聖なる木として扱ってきた[ 9] [ 10] 。
諸言語における名称
アメリカ合衆国 :
英語 : Nigerian satinwood(ナイジェリアンサテンウッド)[ 3]
イギリス :
英語: distemonanthus[ 3] 、Nigerian satinwood(ナイジェリアンサテンウッド)[ 3]
コートジボワール :
ガーナ :
トーゴ :
ベナン :
ナイジェリア :
カメルーン :
赤道ギニア :
ガボン :
コンゴ共和国 :
脚注
注釈
^ Lyctus brunneus をはじめとするLyctus 属の甲虫類 などを指す[ 8] 。
出典
^ Botanic Gardens Conservation International (BGCI) & IUCN SSC Global Tree Specialist Group (2019). Distemonanthus benthamianus. The IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T62025002A149017149. doi :10.2305/IUCN.UK.2019-2.RLTS.T62025002A149017149.en . Downloaded on 02 October 2019.
^ a b c d e f g h i j k l m n o 平井 (2008) .
^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y ウォーカー (2006).
^ a b c d e f g h Irvine (1961 :301).
^ a b c 熱帯植物研究会 (1996) .
^ a b c d e f 村山 (2013).
^ a b c d e f Aubréville (1959) .
^ ホルガー (2000:181).
^ Galley (1964 :130).
^ a b Kialo (1999) .
^ a b c d e f g h Taylor (1960 :137).
^ a b Irvine (1961 :301, 362).
^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v Raponda-Walker & Sillans (1961 :226).
^ a b c Bouquet (1969 :84).
参考文献
英語:
Taylor, Charles J. (1960). Synecology and Silviculture in Ghana . Edinburgh: University College of Ghana by Nelson. NCID BA88262457 . https://books.google.co.jp/books?id=iwXxAAAAMAAJ&q=bonsamdua+devil&dq=bonsamdua+devil&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwipo7T9qq7vAhUOBogKHXzaCSYQ6AEwA3oECAQQAg
Irvine, F. R. (1961). Woody Plants of Ghana: With Special Reference to Their Uses . London: Oxford University Press. NCID BA6718545X . https://books.google.co.jp/books?redir_esc=y&hl=ja&id=_ftUAAAAMAAJ&dq=bonsamdua&focus=searchwithinvolume&q=bonsamdua
The Plant List (2013). Version 1.1. Published on the Internet; http://www.theplantlist.org/ (accessed 11th June).
Roskov Y., Zarucchi J., Novoselova M. & Bisby F.(†) (eds.) (2018). ILDIS World Database of Legumes (version 12, May 2014). In: Roskov Y., Abucay L., Orrell T., Nicolson D., Bailly N., Kirk P.M., Bourgoin T., DeWalt R.E., Decock W., De Wever A., Nieukerken E. van, Zarucchi J., Penev L., eds. (2018). Species 2000 & ITIS Catalogue of Life, 31st May 2018. Digital resource at http://www.catalogueoflife.org/col . Species 2000: Naturalis, Leiden, the Netherlands. ISSN 2405-8858 .
フランス語:
日本語:
関連項目
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