モッジ型フリゲート
モッジ型フリゲート(ペルシア語: ناوچه کلاس موج、英: Mowj-class frigate)は、イラン海軍のフリゲートの艦級[2]。なお公式の艦種は駆逐艦である[1]。 設計基本的には、イスラム革命以前からイラン海軍が運用していたアルヴァンド級(ヴォスパーMk.5フリゲート)を発展させた設計となっている[1]。ただし同級はCODOG方式の機関を搭載していたのに対し、本級ではガスタービンエンジンを省いて、ディーゼルエンジンのみとなっており、その分だけ速力も低下している[2]。また電源としては、出力550キロワットのディーゼル発電機4基を搭載している[3]。 アルヴァンド級と異なり、艦尾甲板にはヘリコプター甲板が設けられた。格納庫は持たないが[2]、艦載ヘリコプター1機の搭載に対応している[1]。機種としてはベル 214の名前が挙がっており[3]、また武装した無人航空機(UAV)の運用試験を行ったとも発表されている[4]。なおヘリコプター甲板直前には搭載艇2隻が配置されている[1]。 装備レーダーとしては、「ジャマラン」はアルヴァンド級と同じAWS-1を搭載して竣工したが[1]、「ダーマヴァント」では国産の3次元レーダーであるアスルを搭載しており、「ジャマラン」も後にこちらに換装した[2]。また「ダーマヴァント」では火器管制レーダーとしてWM-28も搭載した[2]。 兵装は大きく変更された。例えば艦砲は、アルヴァンド級ではイギリス製の55口径114 mm単装砲を搭載していたのに対し、本型では、イタリア製の62口径76mm単装速射砲、あるいはそのリバースエンジニアリング版であるFajr-27を搭載した[3]。また機関砲としてボフォース 70口径40mm機関砲(Fath-40)と90口径20mm機関砲(エリコンGAM-B01)を備えるほか[1]、前者を30mm口径のカマンドCIWS(AK-630の国産化版)に換装した艦もある[3]。 艦対艦ミサイルとしてはヌール(C-802の国産化版)を備える[1]。また艦対空ミサイルとして、メラブ(サッヤード-2の艦載化版)を搭載する[3][注 2]。また対潜兵器として3連装短魚雷発射管を備えている[1][2]。 同型艦一覧表
運用史2018年1月、カスピ海を担当する北部艦隊に所属していた2番艦「ダマーヴァンド」が、嵐のため防波堤に衝突し、浸水・沈没した[8][9]。 「サハンド」は2021年、133日間、4万5000キロメートルの長距離航海を実施し、イランの最高指導者アリー・ハーメネイーや国内メディアから称賛された。バンダレ・アッバース港を5月2日に出航して、アフリカ大陸南端回りで7月25日にロシア連邦サンクトペテルブルクに到着。スエズ運河を経由して9月9日に寄港した。経済制裁下で兵器などの国産化を進める「抵抗経済」の象徴の一つとなっている[10]。 2024年7月、3番艦「サハンド」はイラン南部のバンダレ・アッバースにあるイラン海軍第1海軍基地で横転沈没した。修理中に浸水して傾斜し、その後艦を固定していたロープが切断して沈没したとされる[9]。 脚注注釈出典
参考文献
関連項目 |