マーゲイ (Leopardus wiedii )は、食肉目 ネコ科 オセロット属 に分類される食肉類。種小名はドイツ の探検家マクシミリアン・ツー・ヴィート=ノイヴィート (英語版 ) に献名 して名付けられた[ 3] 。木登りがとても上手く、樹上生活を主とする。
分布
マーゲイはメキシコ 北部から中央アメリカ を経て、南アメリカ にかけて分布し、生息域の南端はウルグアイ やアルゼンチン に達する。生息地は、熱帯常緑樹林から熱帯サバンナ林や雲霧林 までにかけての密林がほとんどであるが、時にはコーヒー やココア のプランテーション で見られることもある[ 4] 。
形態
イギリス 、エディンバラ動物園 のマーゲイ
体長46.3-79 cm、尾長33-51 cm、肩高30-45 cm、体重は3-9 kg[ 5] オセロット によく似ている。マーゲイのほうが頭がやや小さく、目が大きく、尻尾 と脚が長く[ 4] 、尻尾の模様も違う。暗褐色の大きく美しい目を持つ。雌は雄より体が小さい。他のネコ科の動物と違い、雌の乳頭が2つしかない[ 4] 。
体毛は黄褐色または灰褐色で、腹の方は色が薄い。全身に縁が黒く中が褐色の斑や黒のみの斑があり、それらが縦方向に並ぶ[ 5] 。しっぽには特に多くの斑があり、先端は黒い。耳の後ろは黒く中央に白く丸い模様がある[ 4] 。後足を回して反転させられるので、頭から木を駆け下りることができる。ネコ科の動物の中で後足を反転できる種はマーゲイの他にウンピョウ だけである。また、前足でも後足でも木の枝を掴むことができ、一本足で枝からぶら下がったりできる[ 5] 。
分類
現在のところ、以下の10亜種が確認されている[ 6] 。
Leopardus wiedii wiedii ブラジル 東部と中央部、パラグアイ 、ウルグアイ、アルゼンチン北部。
Leopardus wiedii amazonicus ブラジル西部、ペルー 内陸部 、コロンビア 、ベネズエラ 。
Leopardus wiedii boliviae ボリビア 。"ocelittle"としても知られる。
Leopardus wiedii cooperi メキシコ北部。
Leopardus wiedii glauculus メキシコ中央部。
Leopardus wiedii nicaraguae ホンジュラス 、ニカラグア 、コスタリカ 。
Leopardus wiedii oaxacensis メキシコ南部
Leopardus wiedii pirrensis パナマ 、コロンビア、エクアドル 、ペルー。
Leopardus wiedii salvinius チアパス州 、グアテマラ 、エルサルバドル 。
Leopardus wiedii yucatanicus ユカタン州 。
生態
パナマ 、市営サミット自然公園のマーゲイ
ネコ科の動物の中では飛び抜けて木登りが上手い。その能力からツリーオセロット (tree ocelot) と呼ばれることがある[ 4] 。夜行性で、繁殖期以外は単独で生活する[ 5] 。オセロットが普通地上で獲物を追いかけるのに対してマーゲイはもっぱら樹上で生活し、狩りも樹上で行う[ 4] 。
妊娠期間は約83日。1度の出産で産む仔は1匹、たまに2匹と、他の小型のネコ類に比べて非常に少ない[ 5] 。
獲物となる動物の一種を引き寄せるため、その鳴き声をまねすることが報告されている。南米に生息するオマキザル科 の一種であるフタイロタマリン の成獣グループが近くにいた時、マーゲイがその子供の声真似をする姿が発見された。その時のマーゲイはフタイロタマリンの捕獲に成功しなかったが、この報告は新熱帯区 の捕食動物が狩りにある種の攻撃擬態 を用いることを初めて示した[ 7] [ 8] 。
食性
マーゲイは夜行性であるため、彼らの野生の生活環境に出会えることは稀である。そのため、食性は胃の内容物や糞の調査を基に研究されている。主食は樹上で生活するネズミ類やリスなどのげっ歯類。他にもオポッサム 、小型のサル、トカゲ類、鳥類 、タマゴ、アマガエル 、昆虫 、果実 などを食べる[ 5] [ 9] 。 草などの植物 を食べることもあるが、これは消化 を助けるためだと考えられている。2006年の報告では、野生のマーゲイは樹上のみで狩りを行う姿が観察された[ 10] 。時には地上で狩りを行うこともあり、地上に生息するアフリカアシネズミ やモルモット を食べるという報告もなされている[ 4] 。
出典
^ Appendices I, II and III <https://www.cites.org/ >(Accessed April 04, 2019)
^ a b c d de Oliveira, T., Paviolo, A., Schipper, J., Bianchi, R., Payan, E. & Carvajal, S.V. 2015. Leopardus wiedii . The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T11511A50654216. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2015-4.RLTS.T11511A50654216.en . Downloaded on 04 April 2019.
^ “Leopardus wiedii, common name: margay ”. 2007年4月15日 閲覧。
^ a b c d e f g Sunquist, Mel; Sunquist, Fiona (2002). Wild cats of the World . Chicago: University of Chicago Press. pp. 135–141. ISBN 0-226-77999-8
^ a b c d e f 。今泉忠明 『野生ネコの百科[最新版]』 データハウス、2004年、p.138-141、ISBN 978-4-88718-772-6
^ Wozencraft, W.C. (2005). "Order Carnivora" . In Wilson, D.E.; Reeder, D.M (eds.). Mammal Species of the World: A Taxonomic and Geographic Reference (3rd ed.). Johns Hopkins University Press. pp. 539–540. ISBN 978-0-8018-8221-0 . OCLC 62265494 。
^ Calleia, F. O.; Rohe, F.; Gordo, M. (June 2009). “Hunting Strategy of the Margay (Leopardus wiedii ) to Attract the Wild Pied Tamarin (Saguinus bicolor )” . Neotropical Primates (Conservation International ) 16 (1): 32–34. doi :10.1896/044.016.0107 . オリジナル の2010年6月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100613150457/http://www.primate-sg.org/PDF/NP16.1.pdf 2010年7月18日 閲覧。 .
^ Dell'Amore, Christine (2010年7月13日). “Jungle Cat Mimics Monkey to Lure Prey—A First ”. National Geographic Daily News . National Geographic Society . 2010年7月18日 閲覧。
^ Wang, E. (2002). “Diets of Ocelots (Leopardus pardalis), Margays (L. wiedii), and Oncillas (L. tigrinus) in the Atlantic Rainforest in Southeast Brazil” . Studies on Neotropical Fauna and Environment 37 (3): 207–212. doi :10.1076/snfe.37.3.207.8564 . http://taylorandfrancis.metapress.com/index/FN1FYN6WTTEKT95X.pdf 2007年6月15日 閲覧。 .
^ Solórzano-filho, J.A. (2006). “Mobbing of Leopardus wiedii while hunting by a group of Sciurus ingrami in an Araucaria forest of Southeast Brazil”. Mammalia 2006 (1_2): 156–157. doi :10.1515/MAMM.2006.031 .
関連項目
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