マリー・トラヴァース として知られるマリー・アリン・トラヴァース (Mary Allin Travers, 1936年 11月9日 - 2009年 9月16日 )は、米国 のシンガーソングライター で、ピーター・ヤロー とノエル・ポール・ストゥーキー とともに、1960年代を代表するフォーク 、ポップ 音楽のトリオ、ピーター・ポール&マリー のメンバーであった[ 2] 。1960年代初めのニューヨーク市 グリニッジ・ヴィレッジ の音楽シーンにいたフォーク音楽家の大多数とは異なり、トラヴァースは、実際にグリニッジ・ヴィレッジを地元として育った人物であった[ 2] 。
生い立ち
マリー・トラヴァースは、ケンタッキー州 ルイヴィル に、父ロバート・トラヴァース(? - 1973年)と母ヴァージニア・コグニー の間に生まれた。両親はいずれもジャーナリスト で、全米新聞労働組合 の活動家であった[ 3] 。
1938年 、一家はニューヨーク市 のグリニッジ・ヴィレッジ に転居する。マリー・トラヴァースはリトル・レッド・スクール・ハウス に学んだが、第11学年で退学し、歌手の道に入った[ 3] 。
歌手活動
ピーター・ポール&マリー 。1967年1月の来日公演。
1955年 に、ピート・シーガー がフォークウェイズ・レコード から労働運動の歌を集めた「Tanlking Union 」の再発盤を出した際、まだ高校生だったトラヴァースは、シーガーのバック・コーラスを務めたザ・ソング・スワッパーズ(The Song Swappers) に参加していた。この年、ザ・ソング・スワッパーズはシーガーと4枚のアルバムを制作した。当時、トラヴァースは歌を趣味と考えていたし、必ずしも積極的ではなかったが、音楽仲間からは大いに激励されて歌っていた[ 2] 。
トラヴァースは、ブロードウェー の「The Next President 」というショーのキャストも務めた[ 4] 。
1961年 、ピーター・ポール&マリー がグループとして結成され、すぐさま成功を収める。グループのマネージャーは、ボブ・ディラン と同じアルバート・グロスマン であった。PP&Mがディランの作品「くよくよするなよ (Don't Think Twice, It's All Right )」を取り上げたことは、ディランのアルバム『フリーホイーリン・ボブ・ディラン 』が4ヶ月にわたってアルバム・トップ30に留まる契機となった[ 5] 。
AP通信 によるトラヴァースの訃報によれば、[ 6]
グループの最初のアルバム『Peter, Paul and Mary 』は1962年 に発売され、すぐにそこから「天使のハンマー (If I Had a Hammer)」と「レモン・トゥリー 」がヒットした。「天使のハンマー」は、ベスト・フォーク・レコーディングと、ヴォーカル・グループのベスト・パフォーマンスの部門で、グラミー賞 を受賞した。
続いて出された『Moving 』からは、純真さの喪失を歌った「パフ 」がヒットして、チャートの2位まで上昇したが、他方では、大麻 を賞賛する曲であるという当時としては否定的な風評が生まれたりもした。
3枚目の『In the Wind 』は、当時22歳だったディランの歌を3曲も取り上げていた。そのうち「くよくよするなよ 」と「風に吹かれて (Blowin' in the Wind )」はトップ10入りして、ディランの歌を大いに世間に広めた。「風に吹かれて」は、ある2週間のうちに30万枚を売り上げたほどであった。
1963年 のある時点では、ビルボード誌のLPチャートの上位6位までに、PP&Mのアルバム3枚がランクインし、彼らはフォーク復興運動における最大のスターとなった。
PP&M の「天使のハンマー 」は、人種の平等を求める象徴的な歌となり、ディランの作品「風に吹かれて」も同様であった。これらの曲は、1963年 8月のワシントン大行進 の際にも演奏された[ 6] 。
PP&Mは1970年 に解散し、トラヴァースはソロ活動に入った。「Mary 」 (1971年 )、「Morning Glory 」 (1972年 )、「All My Choices 」 (1973年 )、「Circles 」(1974年 )、「It's in Everyone of Us 」(1978年)[ 2] 。その後、PP&M は、1978年 に再結成して各地をツアーし、新しいアルバムを発表した。1999年 には、ボーカル・グループの殿堂入りを果たした。
私生活
トラヴァースの最初の3回の結婚は、いずれも離婚に終わった[ 7] 。4人目の夫として1991年 に結婚したレストラン経営者イーサン・ロビンスは、トラヴァースに先立たれることになった。トラヴァースには娘が2人いる。晩年は、コネチカット州 の小さな町レディング に住んでいた[ 2] [ 8] 。
晩年の病と死
2006年
2005年 、トラヴァースは白血病 と診断された。骨髄移植 によって病状の進行を遅らせることはできたが、2009年 9月16日 に、トラヴァースはコネチカット州 ダンベリー のダンベリー病院 で、化学療法 が引き起こした合併症 によって死去した[ 2] 。72歳であった。
ソロ作品
1971年 : Mary (Warner Bros.)
1972年 : Morning Glory (Warner Bros.)
1973年 : All My Choices (Warner Bros.)
1974年 : Circles (Warner Bros.)
1978年 : It's In Everyone of Us (Chrysalis)
出典
^ “Mary Travers ”. www.allmusic.com. 2012年11月10日 閲覧。
^ a b c d e f Grimes, William (September 16, 2009). “Mary Travers of Peter, Paul and Mary Dies at 72” . The New York Times . http://www.nytimes.com/2009/09/17/arts/music/17travers.html September 17, 2009 閲覧。
^ a b Harris, Kathryn (September 17, 2009). “Mary Travers of Folk Music Trio Peter, Paul & Mary Dies at 72” . Bloomberg News . http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601088&sid=ay3m0EC1QVFQ 2009年9月17日 閲覧。
^ Lindsay, Jay (The Associated Press ) (September 16, 2009). “Mary Travers of Peter, Paul and Mary Dead at 72” . San Francisco Chronicle . http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/n/a/2009/09/16/entertainment/e181035D51.DTL&feed=rss.news 2009年9月17日 閲覧。
^
“Folk singer Mary Travers of Peter, Paul and Mary has died, aged 72” . The Times (News International Group. News International Limited). (September 17, 2009). http://www.telegraph.co.uk/culture/music/worldfolkandjazz/6201272/Obituary-Mary-Travers-of-Peter-Paul-and-Mary.html September 18, 2009 閲覧。
“Mary Travers: folk singer” . The Times (News International Group. News International Limited). (September 18, 2009). http://www.timesonline.co.uk/tol/comment/obituaries/article6838825.ece September 18, 2009 閲覧。
^ a b
Associated Press (September 17, 2009). “Mary Travers, 72: Singer Helped Launch Folk Revival With Peter, Paul and Mary” . The Washington Post . https://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/09/16/AR2009091603744.html 2009年9月17日 閲覧。
^ Harris, Kathryn (September 17, 209). “Mary Travers of Folk Music Trio Peter, Paul & Mary Dies at 72” . Bloomberg News . http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601110&sid=ae1I7ttyuNR4 September 17, 2009 閲覧。 Marriages: 1. ? (m. 1958-1960); 2. Barry Feinstein (m. 1963-1968); 3. Gerald Taylor (m. 1969-1975).
^ Travers, John. “John Travers / Biography ”. September 17, 2009 閲覧。
外部リンク