マイケル・マイヤーズ
マイケル・マイヤーズ(英語: Michael Myers)とは、ホラー映画「ハロウィンシリーズ」に登場する架空の殺人鬼(サイコキラー)。 登場時に、怪物や幽霊の類の「ブギーマン」と表現されたことから、ブギーマン(英:Boogeyman)とも呼ばれる。初登場作品『ハロウィン』のクレジットではザ・シェイプ(The Shape)という役名で記載されている。 経歴出生と家族構成1957年10月19日にイリノイ州ハドンフィールドのプロテスタント家系であるマイヤーズ家の長男として生まれた。家族構成はマイケル本人を含め、父ドナルド、母エディス、姉ジュディス、妹ローリーの5人である。 他の血縁関係は、ローリーの子で自分の姪と甥に当たるジェイミーと、ジョンの2人(この2人はローリーの実の子だが、異父姉弟である)、さらには姪孫に当たるスティーブン(母親はジェイミー)がいる。 幼少期1963年10月31日のハロウィンに、実姉ジュディスを肉切り包丁で殺害。この時の年齢は、6歳という幼さであり、マイケルは精神に異常があるとみなされ、精神病院に護送される。搬送された精神病院にてマイケルは、精神科医師であるサミュエル・ルーミス(ドナルド・プレザンス)と出会っており、マイケルの危険性を見たルーミスはマイケルの監視を強化するよう進言するが、ほとんど相手にされなかった。 8年間をかけてマイケルを研究したルーミスは、マイケルが「善悪を判別できない危険な存在」であることを突き止め、さらに7年間、彼を閉鎖病棟に収容する。この間に、マイヤーズ夫妻は事故死しており、残されたまだ赤ん坊のローリーは、不動産屋を営むストロード家に引き取られることになるが、兄のマイケルについてローリーが知ってしまうことを恐れたストロード夫妻は、ローリーの経歴を隠蔽している。 成人期幼少期の殺人からちょうど16年目を迎えた1978年。21歳になり、マイケルは、ハロウィンの前日に精神病院から脱走。ハドンフィールドへ向かう途中、作業員を殺害して作業着を奪い取り、さらに金物店からハロウィンマスクと肉切り包丁を盗み出す。 そして、ハロウィンの夜に自らの出生について知らない当時高校生である妹のローリーの命を狙うが、マイケルを追ってハドンフィールドに来たルーミスの活躍によって、失敗に終わる。しかしこの日にマイケルによって出された犠牲者は、13人という常識ではありえない数であった。第2作から10年後である第4作以降も、ハロウィンの日を迎えるたびにマイケルは復活し、ハドンフィールドに現れており、殺人を行っている。 人物ジェームズ・T・カークがモデルの白塗りのハロウィンマスクを愛用している。マスクは作品毎にリニューアルされており、『ハロウィン2007』では、マスクや作業つなぎが全体的に汚れ、マスクにおいてはひび割れまであるため、余計に不気味な雰囲気が出ている。リメイクでマスクを被っているのは、「全てを隠せるから」と幼少期に語っている。 常にマスクをしているものの、『13日の金曜日』に登場するジェイソンのように、顔が先天的な奇形になっているわけではない。左目が眼瞼(がんけん)下垂になっていること以外は、普通の人間の顔(というよりどちらかというと端整な顔立ち)であるが、素顔をさらすことは滅多にない。 5作目『ハロウィン5 ブギーマン逆襲』の時はほんの一瞬の間だけ、姪のジェイミーに心を許して彼女に素顔を見せ、涙を流していた。6作目『ハロウィン6 最後の戦い』のプロデューサーズカット版では自らに協力するウィン医師から服を取り替えて逃走し、7作目『ハロウィン H2O』では素顔の状態で逃走した場面もある。素顔が確認できる例は、1作目『ハロウィン』で姉ジュディスを殺害した幼少期、ローリーを襲う際にマスクを引き剥がされた場面、2018年版のオープニング、KILLSでローリーの娘カレンにマスクを奪われた場面である。ジェイソンやフレディよりは人間らしい一面が強調される。 銃弾を何発受けても平然と起き上がる尋常でない屈強な身体をしており、ガス爆発に巻き込まれても、10年の時を経て復活している。また、大柄な男性の人間を片腕で持ち上げる怪力の持ち主で、さまざまな物を武器にして殺人を犯す。主に使用するのは、最初の殺人にも使用していた洋包丁である。注射器(2)や金槌(2)、散弾銃(4)、鎌(5)、斧(6)、アイススケートブーツ(H20)、銃剣(レザレクション)などを使用したこともある。ただし銃器類の場合は、本来の用途である射撃ではなく、力任せに相手の身体を貫くためにしか使わなかった。 1作目から、一切言葉は話さない。1作目では人間らしく荒い息をしていたが、2作目以降荒い息すらしなくなり、不気味さが増している(リメイクでの幼少期は普通に会話をしており、無言になったのは青年時からであることがうかがえる)。車の運転をすることもでき(ルーミスによると病棟の誰かが教えたのだろうとのこと)、作中でもたびたび移動手段として使用している。 各ストーリーでマイケルの標的となっているのは、妹のローリーを始め、その娘であるジェイミーやその息子である赤ん坊スティーブン(名前はマイケル最初の殺人に関わったトミーが命名)、さらにはヒルクレスト高校でケリー・テイトと名を変えて生きるローリーの息子、ジョンと、ほとんどが自分の血縁者である。善悪の弁別ができないのに、なぜ家族や縁者を殺そうとするのかは不明だが、第5作、第6作において、ルーミス医師がマイケルの体内の力が彼の精神を憎しみに染め、暴力的なものにしていると推測する場面がある。また、ルーミス医師の説得に応じて立ち止まったり、ジェイミーに心を開いて苦悩しても、直後に殺人行為に走ろうとすることから、彼自身も殺人に対する衝動を抑えきれないと推測することもできる。 他の犠牲者らの場合は、ついでにといった感じであり、まさに「理由無き殺人」、「不条理の殺人」である。このことからも、マイケル絡みによる犠牲者は、あまりにも多すぎる故に合計人数が特定できなくなってしまっている(劇中で確認できる限り65人)。ハドンフィールドの住民にとっては、忘れたくても忘れることのできない恐怖の存在であり、マイケルの惨劇を思い出してしまうことを恐れ、一時、ハドンフィールドにおいてハロウィンを祭ること自体が禁止されていた時期もある。 ドルイドを崇めている地下邪宗教団「ドルイド教」と深いつながりがあり(実際のドルイドは邪神官ではなく、ケルトの祭司である)、ドルイド教の信者らはマイケルを神の使いであるかのように崇めている。マイケルの手首には、「棘(とげ)」、「茨(いばら)」、「巨人」、「怪物」などを意味する『þ(スリサズ)』のルーン文字の痣(あざ)があり、第6作の際にも、マイケルはドルイド教信者らが行った肉親への殺意を駆り立てる「イバラの呪い」によって復活している。ドルイド教はマイケルの力を利用しようとしていたが、本能のままに殺戮(さつりく)を行うマイケルを従わせ続けられるわけもなく、最終的にはマイケル自身の手で教団のメンバーほとんどが殺害され、ウィン医師もまた、マイケルに致命傷を負わされて逃げられてしまう結末となった。 リメイク版『ハロウィン』リメイク版の『ハロウィン』では、マイケルが殺人鬼へと変貌した経緯やその家庭環境について、より鮮明に描かれている。比較的にマイケルに優しく接する母親は、ストリッパーとして活躍し生計を立てていたが、居候している母親の愛人ロニーは職にも就かず自堕落な日々を送っていながらマイケルを邪魔者扱いし、姉のジュディスに至ってはいつも男友達を自宅に引き込んでマイケルを馬鹿にしてばかりで、マイケルにとって唯一心を許せる存在は、まだ赤ん坊の妹のローリーだけであった。このような劣悪な家庭環境から、やがて幼いながらも、マイケルは動物を八つ裂きにすることで、そのストレスを解消するようになった。 ハロウィン前日、マイケルは、自分の母親を侮辱したうえにジュディスが不純異性交遊で先生から大目玉を食らったことをネタにゆすってきた学校のいじめっ子を木の枝を使って撲殺し、ハロウィンの日には、母親の愛人の喉を包丁でかき切り、ジュディスの男友達を金属バットで撲殺。後にトレードマークとなる白塗りのハロウィンマスクを被り、ジュディスを包丁で殺害する。 そして、精神病院に収容され、ルーミス医師の治療を受けるが、徐々に内に秘められた魔性が開花していき、最終的に成人時に殺人鬼へと変貌した。母親はマイケルが精神病院に収容されて以降、たびたび息子に面会しに行くが、世間から「悪魔の母親」と言われることに疲れ、さらには凶暴化したマイケルが看護師に襲い掛かる姿を見て、絶望。優しい笑顔を浮かべていた幼い頃のマイケルの映像を泣きながら見て、まだ赤ん坊のローリーを残して拳銃自殺した。残されたローリーを不憫(ふびん)に思った警官によって、彼女は身元不明の孤児として病院に届けられた後、ストロード夫妻に引き取られた。 リメイク作品ではあるが、本作の設定は旧作に完全に準じたものではなく、旧作の設定を大幅に脚色している。そのことを最も顕著に表しているのがマイケルがローリーへは殺意を抱いていない点にある。旧作ではマイケルは妹であるローリーの殺害を目的に行動していたため、彼女を見つければ、すぐさま、包丁を振りかざしていたが、本作では彼女を見つけても殺害せず自身の生家に連れ込もうとする描写が目立つため、妹との再会が行動目的であると言える。原作版での『ハロウィンII』以降は、声も出さず息の音もしなかったが、リメイク版では幼少期には普通に会話をして、成人期は会話こそしないものの、人を殺す際にうなり声を上げている。また、原作版と異なって車の運転もしない。成人後の素顔は旧作と違って髪や髭(ひげ)が顔を覆い被すほど非常に伸びており、その外見から27歳の設定でありながら中年男性にも見えている。 白塗りのハロウィンマスクに作業つなぎの外見は原作と同じであるが、『ハロウィンII』からはその上にフード付きのコートを着ている。殺人をしていない普段はマスクを外しており、自分に絡んできた相手などに殺意を抱いた時に、マスクを被って殺人を行う。 リメイク版『ハロウィン』には、監督の意向でカットされた別のエンディングが存在する。マイケルがルーミス医師の説得に応じ、最後は恐怖に怯(おび)える妹を見かねて、凶器である包丁を放り棄てるという結末であった。以上のことから、本作のマイケルは旧作よりは理性が働き、人間味のある人物として描かれている。 リメイク版の『ハロウィンII』にも、監督が個人的に再編集を行ったアンレイテッド版が存在。マイケルが素顔を見せているシーンが非常に多く、殺人前後の描写においても異なるものがある。エンディングも大幅に変更されており、納屋でルーミスともみ合いになって壁を突き破り、失神しているルーミスに止めを刺そうとするものの、警官隊からの一斉射撃を受けて死亡する結末である。また、死の間際、マイケルは成人になって初めて言葉を喋っている。 関係者
脚注
関連項目
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