ポーリン・ベインズ(Pauline Diana Baynes, 1922年9月9日 - 2008年8月1日)は、イギリスの挿絵画家。ポーリン・ベーンズと表記されることもある。「ナルニア国ものがたり」の挿絵で知られる。
略歴
ポーリン・ダイアナ・ベインズは、1922年にイングランドのホヴに生まれ、父親の赴任先だったインドで幼年期を過ごした。学校に通うために5歳の時にイングランドに戻り、15歳からファーンハムの芸術学校に2学期通った後、第二次世界大戦により中断されるまでロンドンのスレード美術学校に通った。
戦後、駆け出しでまだ無名だったベインズは、「農夫ジャイルズの冒険」の挿絵画家としてJ・R・R・トールキンによって見出された。その後のトールキンとの親交がきっかけとなり、C・S・ルイスの児童文学「ナルニア国ものがたり」全7巻の挿絵を手がけることになった。また、ペーパーバック版のカバー絵や関連図書に描きおろしを提供し、1998年には元のモノクロだった挿絵に彩色をするなど、たびたびナルニアのイラストを手がけた。その他、100冊以上にのぼる著作にカバー絵・挿絵などのイラストを提供した。生涯精力的に作家活動をし、亡くなる数週間前まで作品を制作していたという。
1961年にドイツ人のフリッツ・ガッシュ(Fritz Otto Gasch, 1988没)と結婚、1度息子を授かったが死産だった。晩年、夫の戦前の妻との娘と家族になった。
2008年8月、サリー州の自宅にて85歳で亡くなった
[1][2][3][4][5]。
受賞作品
1968年のDictionary of Chivalry(「西洋騎士道事典」)と1972年のSnail and Caterpillar(「カタツムリのぼうけん」)で、ケイト・グリーナウェイ賞を受賞した[6]
ベインズと著作者
夫とともにトールキンとは家族ぐるみの親交があった。これとは対照的に、ルイスと会ったのは2度だけである。ルイスはベインズに面しては作品を褒めたが、他では批判的な評価を語っていたという[7]。一方、「彼女(ポーリン・ベインズ)はジャック(ルイス)に彼女の挿絵が好まれていないと感じていましたが、実際にはジャックは彼女の作品がとても好きでした。」というルイスの義息ダグラス・グレシャムによる言及がある[8]。
日本で出版された主な掲載作品
- ナルニア国ものがたりシリーズ全7巻(岩波書店), C・S・ルイス【著】, 瀬田貞二【訳】
- スペシャル エディション ナルニア国物語(岩波書店), C・S・ルイス【著】, 瀬田貞二【訳】
- スペシャル エディション ライオンと魔女(岩波書店), C・S・ルイス【著】, 瀬田貞二【訳】
- ナルニア国の住人たち(岩波書店), C・S・ルイス【原作】
- ようこそナルニア国へ(岩波書店), ブライアン・シブリー【著】, 中村妙子【訳】
- 小人たちの新しい家(岩波書店), メアリー・ノートン【著】, 猪熊葉子【訳】
- ビルボの別れの歌(岩波書店), J・R・R・トールキン【著】, 脇明子【訳】
- 星をのんだかじや(評論社), J・R・R・トールキン【著】, 猪熊葉子【訳】
- 農夫ジャイルズの冒険(評論社), J・R・R・トールキン【著】, 吉田新一【訳】
- 新版 西洋騎士道事典—人物・伝説・戦闘・武具・紋章(原書房), グラント・オーデン【著】, 堀越孝一【監訳】
- どうぶつのくらしシリーズ の一部(偕成社), イリアン・ロールス【著】, 東明【訳】
- 6. キアゲハ
- 7. マルハナバチ
- 8. カエル
- 9. マガモ
- 昆虫おはなし絵本シリーズ (偕成社), ヘレン・ピアーズ【著】, 小田英智【訳】
- 1. カタツムリのぼうけん
- 2. チョウとヤブキリ
注釈
- ^ PAULINE BAYNES: QUEEN OF NARNIA AND MIDDLE-EARTH, BRIAN SIBLEY : the blog, Brian sibley, 4 August 2008.
- ^ Pauline Baynes: Illustrator who depicted Lewis's Narnia and Tolkien's Middle-earth, The Independent, Brian sibley, 6 August 2008.
- ^ Pauline Baynes, The Guardian, David Henshall, 6 August 2008.
- ^ Pauline Baynes: artist and illustrator of Narnia and Middle Earth, Times Online Obituariy, 9 August 2008
- ^ Pauline Baynes, Telegraph.co.uk, 8 August 2008.
- ^ Books and Writers - Greenaway, Kate Medal Winners
- ^ The Woman Who Drew Narnia: Pauline Baynes, WEEKEND TELEGRAPH, Charlotte Cory, 19 September 1998.
- ^ BookPage Interview March 1999: Douglas Gresham Archived 2009年2月5日, at the Wayback Machine., BookPage, Miriam E. Drennan, March 1999.
外部リンク