アンテロープ亜科(アンテロープあか、Antilopinae)は、鯨偶蹄目ウシ科の1亜科。模式属はブラックバック属(アンテロープ属)。
ウシ科をウシ亜科とアンテロープ亜科に2分する分類もある[1][2]が、ここではさらに細分したアンテロープ亜科について述べる[3]。ただしこのアンテロープ亜科は多系統である[1][2][3]。
分布
アフリカ大陸、ユーラシア大陸
形態
最大種はダマガゼルで、体長 145–172 cm、体重 40–85 kg。最小種はローヤルアンテロープで体長 45–55 cm、体重 1.5–2.5 kg。
ブラックバック族は多くの種が雌雄共に角が生えるが、ローヤルアンテロープ族は主にオスのみ角が生える。
系統
[2][4][3]
ブラックバック亜科は3族(ブラックバック族 + クリップスプリンガー族 + ローヤルアンテロープ族)からなるが、それらは単系統を成さず多系統である。
分類
ブラックバック族 Antilopini
ブラックバック亜族 Antilopina
オリビ亜族 Ourebina
ボック亜族 Raphicerina
チベットガゼル亜族 Procaprina
クリップスプリンガー族
系統位置は不確実で、ブラックバック族の姉妹群[3]、あるいは、ダイガー亜科の姉妹群である[1][2][4]。
ローヤルアンテロープ族
系統的には離れており、おそらくインパラ亜科に近縁である[1][2][4][3]。しばしばローヤルアンテロープ亜科 Neotraginae に分離される。
生態
草原、森林、高山帯等の様々な環境に生息する。縄張りを形成し、特定の場所に臭腺を擦りつけたり尿を撒いたり糞を積み上げることで縄張りを主張する。危険を感じると物陰に隠れて相手をやり過ごしたり、走って逃げる。
食性は植物食で、草や木の葉、若芽、根などを食べる。
繁殖形態は胎生。1回に1頭の幼獣を産む。
人間との関係
開発による生息地の破壊、狩猟などにより生息数が減少している種もいる。
出典
- ^ a b c d e Ropiquet, Anne; et al. (2009), “SuperTRI: A new approach based on branch support analyses of multiple independent data sets for assessing reliability of phylogenetic inferences”, C. R. Biologies 332: 832–847, http://www.normalesup.org/~bli/Papers/Ropiquet_et_al_2009_SuperTRI.pdf
- ^ a b c d e f Hassanin, Alexandre; et al. (2012), “Pattern and timing of diversification of Cetartiodactyla (Mammalia, Laurasiatheria), as revealed by a comprehensive analysis of mitochondrial genomes”, C. R. Biologies 335 (1): 32–50, http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1631069111002800
- ^ a b c d e Yang, Chengzhong; et al. (2013), “Phylogenetic analyses and improved resolution of the family Bovidae based on complete mitochondrial genomes”, Biochemical Systematics and Ecology 48: 136–143, http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0305197812002670
- ^ a b c Bärmann, Eva Verena (2013), “A revised phylogeny of Antilopini (Bovidae, Artiodactyla) using combined mitochondrial and nuclear genes”, Molecular Phylogenetics and Evolution 67 (2): 484–493, http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1055790313000729
参考文献
- 今泉吉典、松井孝爾監修 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社、1984年、110頁。
- 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科4 大型草食獣』、平凡社、1986年、134-141頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ6 アフリカ』、講談社、2000年、56-59、161-164、166頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』、講談社、2000年、44、153-154頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』、講談社、2000年、48、156-157頁。
- 『小学館の図鑑NEO 動物』、小学館、2002年、100-101頁。