フサシダ科
フサシダ科 Schizaeaceae は、シダ植物の分類群の一つ。シダ類としては特殊な形のものを含むが、その外形は属ごとに大きく異なり、共通する特徴はあまりない。 特徴フサシダ科には現在では4属が含まれる[2]。その共通する特徴は胞子嚢にある。一般のシダ植物では、胞子嚢の壁を縦に一周するように環帯という壁の厚くなった細胞の列があり、この部分がバネのように働いて胞子を散布する。しかしこの類では環帯が胞子嚢の先端部にあり、横向きに一周する。環帯が横巻きになるものとしては他にウラジロ科もあるが、これは中央を横巻きにしており、はっきりと異なる。その点でこの群と似たものは他にない。 また普通のシダ類では胞子嚢は複数がまとまって生じ、胞子嚢群を形成するが、この類では胞子嚢は一個ずつ偽胞膜に覆われ、葉脈に1つずつ生じる。つまり胞子嚢群は形成しない。また胞子嚢は他の群のそれより大きくて、全ての胞子嚢が同時に熟する(これを斉熟と言い、これも原始的特徴とされる)。 それ以外の外見的特徴には属による違いが大きい。あえて言えば短い根茎があって葉が地上に出ること、葉の基部に関節がないことくらいである。それぞれについては分類の項に簡単に説明する。詳しくは各属の項を参照されたい。 類似の化石は古生代石炭紀にまで遡ることができ、現生のシダ植物の中ではウラジロ科やゼンマイ科と並んで起源の古いものとされる[3]。
分類この群は胞子嚢のはっきりした特徴でよく纏まった群を成し、遺伝子の情報からもこれを支持する結果が出ている[4]。ただし、各群は栄養器官の構造であまりにはっきりと区別できるため、これらを独立した科として扱う説もあり、また属をさらに細分する説もある。いずれにせよ、縁性シダ類の中でもっとも原始的なもの(薄嚢シダ中で、とも[5])と考えられる[6]。 4属170種ほどが知られ、日本からは2属4種が知られている。フサシダ属は一見ではシダに見えない形、カニクサ属はシダでは珍しい蔓植物である。[7]。
利害特に役立つものは多くない。アネミア属のものは観葉植物として園芸的に栽培されることがある。カニクサは日本では蔓としての利用があるが、重要なものではない。むしろ本種と、それにイリオモテシャミセンヅルは北アメリカに帰化し、ひどく繁茂して大きな被害を与えている。 出典
参考文献
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