フォー・ザ・ビューティ・オブ・ウィノナ
『フォー・ザ・ビューティ・オブ・ウィノナ』(For the Beauty of Wynona)は、カナダ出身の音楽プロデューサー、ダニエル・ラノワが1993年に発表した、ソロ名義では2作目のスタジオ・アルバム[5]。 背景U2のアルバム『アクトン・ベイビー』(1991年)やピーター・ガブリエルのアルバム『Us』(1992年)のプロデュースと並行して制作され[6]、本作に参加したプレイヤーのうちダリル・ジョンソン、マルコム・バーン、ビル・ディロンは『Us』のレコーディングにも参加した[7]。「スリーピング・イン・ザ・デヴィルズ・ベッド」は、本作に先駆けて1991年の映画『夢の涯てまでも』のサウンドトラック・アルバムに収録された[8]。レコーディングでベースやパーカッション等を演奏したダリル・ジョンソンは、ラノワのボーカル・コーチも務めた[9]。本作制作時のドキュメンタリー映像は、1993年にビデオ・ソフト『Rocky World』として発売された[10]。 歌詞は主に英語だが、「コレクション・オブ・マリー・クレール」は英語とフランス語の両方で歌われている[11]。「インディアン・レッド」はジョージ・ランドリーの曲のカヴァーで、The Wild Tchoupitoulas(ランドリーの所属グループ)のヴァージョンは1976年のアルバム『The Wild Tchoupitoulas』に収録されている[12]。 ラノワ自身は『サウンド・オン・サウンド』誌のインタビューにおいて、本作の作風を「『アカディ』の曲は大体、一つの楽器、特に私のアコースティック・ギターで静かに始まっていたけど、『ウィノナ』ではどの曲も生々しく相互作用的なバンド演奏で始まっている。私はレコードで細部まで洗練させることに少々飽きてきた。むしろ、よりロック的な演奏を押し出すことに時間を割いたんだよ」と説明している[6]。 ジャケットジャケットには、ヤン・ソーデックの作品集『Life, Love, Death & Other Such Trifles』に掲載されていた写真の一つ「The Knife」が使用された[9]。アメリカ盤のジャケットでは、「AMERICAN EDITION」という文字でモデルの乳首が隠された[13]。 2012年、本作のジャケットがステレオガムにおいて「最もクールな職場閲覧注意のアルバム・カヴァー40」の一つに選ばれた[14]。 反響・評価母国カナダの『RPM』では、1993年4月10日付のアルバム・チャートで初登場48位となり[15]、同年5月8日には26位を記録した[16]。ジュノー賞では最優秀男性ボーカリスト賞にノミネートされ、更に「メッセンジャー」と本作には未収録のシングル曲「Mon Beau Petit Chou」によって最優秀プロデューサー賞にノミネートされた[17]。 スイスのアルバム・チャートでは4週トップ40入りして、最高36位を記録した[2]。スウェーデンでは1993年4月7日付のアルバム・チャートで47位となった[3]。アメリカでは総合アルバム・チャートのBillboard 200入りを果たせなかったが、『ビルボード』のトップ・ヒートシーカーズでは26位に達した[18]。 トム・デマロンはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け「何人かのスーパースターが登場した『アカディ』とは違い、より抑制的で繊細な響きを持つ」「即効性のあるアルバムではなく、むしろ聴き手にとってゆっくり成長していく作品」と評している[5]。また、Stephanie Zacharekは『エンターテインメント・ウィークリー』のレビューでBを付け「ラノワは多層的なギターによるフォークやレイド・バックしたブルージーなロックに、インド、中近東、アフリカの風味を混ぜ合わせている」と評している[19]。 収録曲特記なき楽曲はダニエル・ラノワ作。5.はインストゥルメンタル[11]。
参加ミュージシャン
脚注・出典
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