言語学的観点では、英語の綴字法は「アルファベットの原則(en:alphabetic principle)」に基づく。すなわち、アルファベットの表記体系において文字は発音を記すために用いられる。例えば単語 pat は、音素/p/, /æ/, /t/ をそれぞれ表す文字 p, a, t で記される[※ 1]。
またこの手法では、学習者は、韻を踏む単語ファミリーについて学習することがある。(例:can、ran、man、または may、play、sayなど)異なる単語ファミリーに触れることで、生徒は異なる韻を持つ単語パターンを識別、分析、構築することが可能になる。例えば、生徒が oa の書記素を使用して韻を持つ単語パターンを構築する能力が向上する例として、road、toad、load、goad などがある。
英語の綴字法が複雑なため、フォニックスを初等教育に用いるべきかについての1世紀以上にわたる論争が起こった。19世紀中盤を始めとしてホーレス・マンに代表される一部のアメリカ人教師は、英語のフォニックスはそもそも教えられるのかについて議論した。そのことが20世紀中盤に広く知られた『ディックとジェーン』(en)の読本により普及し、一般的に使われた "look-say" 法につながった。しかし、1950年代初めにはフォニックスが読み方を教える方法として再浮上した。ルドルフ・フレッシュ(en)による、フォニックスが教えられていないことへの(彼の有名な著作である Why Johnny Can't Read において特に顕著な)批判によって拍車を掛けられ再び有名になったものの、その論議の手法のせいで「フォニックス」と言う名称は政治的イデオロギーと結びつけられた。また、多くの教育者はフォニックスを「基本に帰れ」式の教育学 (en:Back to Basics (education)) と結びつけ忌避した。
1980年代には、"ホール・ランゲージ(whole language)" を用いた読み方がアメリカでの議論を一層分極させた。ホール・ランゲージは、子供が (a) 適切な動機付け(b) 良い文学 (c) 十分な読書の機会 (d) 意味への注目 (e) 知らない単語の読みを決定する糸口となる指導、によって読み方を学ぶという前提に基づいている。ホール・ランゲージの提唱者の一部にとってフォニックスはgetting at the meaningの強調と同義で、単語を細かく分解して組み立て直すことは著者が伝えたいと思う物事とは関係がなかった。ホール・ランゲージの大半はフォニックスで簡単に組み立てられるものの、whole languageでは文脈に沿って単語を理解することが強調され、発音には少しだけ(通常アルファベット子音と短母音のみ)しか注目されず、発音と文字との個々の対応が強調されるフォニックスとは相容れないものだった。したがって、アメリカにおいてはホール・ランゲージとフォニックスとの二者択一が生じ激しい議論をもたらし、最終的にはアメリカ合衆国議会での委託基準と政府によるフォニックスを扱う2つの委員会とが設けられた。
Beginning to Read: Thinking and Learning about Print (Adams, 1990) という本で著者のアダムズは、フォニックスは生徒が読み方を学ぶのに効果的な方法であり、フォニックスとwhole languageの提言はどちらも正しいと強く主張している。フォニックスはアルファベットの規則を教えるのに有効であり、アルファベットの規則を早い段階で学べば単語を解析する努力から解放されて意味に注力することができ、初等教育においてよりしっかりした理解を得られる。この結果は、whole languageの目指すゴールと一致し、かつ(少なくとも最初の段階は)フォニックスの提言に則っている。
この、「偉大なる議論」("the Great Debate") として次第に知られることになる主張は衰えることがなかった。米国学術研究会議(en, NRC)はどうすれば子供たちに最も効果的に読み方を教えられるかを(教育上の疑問のひとつとして)再調査し、結果を Prevention of Reading Difficulties in Young Children (Snow, Burns, and Griffin, 1998) として出版した。米国学術研究会議の発見はアダムズのものと一致していた。フォニックスは子供に読み方を教えるのに効果的な方法であり、whole language における "embedded phonics" として知られる方法(文脈に便乗してフォニックスを教えるやり方)よりもより有効である。フォニックスは体系的かつ明示的に(難しいパターンが徐々に増えていくように、かつパターンがどのように働くかを明確に示して)教えられなければならないことが見出された。
^なお(この sail の例のように)二重音字の最初の文字は長母音として発音されることがあるため、いくつかのフォニックス教授法ではかつて「ふたつの母音が散歩に出たら、おしゃべりするのは初めのひとり」("When two vowels go walking, the first one does the talking.") と教えていた。しかし、反例の多さによりこの伝統はほぼ完全に廃れた。例えば au を /ɔː/ と発音する場合や、oo を /uː/ または /ʊ/ と発音する場合がこの反例として挙げられる。
^Abbott, M. (2000). Identifying reliable generalizations for spelling words: The importance of multilevel analysis. The Elementary School Journal 101(2), 233-245.