パルス・デトネーション・エンジン (Pulse Detonation Engine : PDE) はデトネーション波を利用したエンジンの一つである。デトネーション波とは、極超音速 (2 ~ 3 km/s) で衝撃波を伴い伝播する燃焼波であり、これを利用することで高い理論熱効率をめざす[1][2]。デトネーション波を利用したエンジンとして、パルスデトネーションエンジン (pulse detonation engine, PDE) [3]と回転デトネーションエンジン(rotating detonation engine, RDE) がある[1]。現在、各国で開発が進められる内燃機関である[4][5]。
概要
燃焼行程においてデトネーション(衝撃波を伴った燃焼=爆轟)で行われるため、従来の定圧燃焼を利用したガスタービンエンジンに比べ高い理論熱効率が予想される[6][7]。スクラムジェットエンジンとは異なり、静止時からエンジンを始動できる。
従来のガスタービンエンジンの燃焼器をパルスデトネーションエンジンで置き換えることでタービンの駆動が可能になり、複数のデトネーション管の位相をずらして運転することで、ノズルあるいはタービンの入口における流れの脈動を平滑化できる[6][3]。
歴史
古くから理論構築、実験が続けられてきた。
脚注
- ^ a b 笠原次郎「パルスデトネーションエンジン開発の現状」『日本燃焼学会誌』第55巻第174号、日本燃焼学会、2013年、337-348頁、doi:10.20619/jcombsj.55.174_337。
- ^
Bose, K. S.; Sarma, R. H. (1975-10-27). “Delineation of the intimate details of the backbone conformation of pyridine nucleotide coenzymes in aqueous solution”. Biochemical and Biophysical Research Communications 66 (4): 1173-1179. doi:10.1016/0006-291x(75)90482-9. ISSN 1090-2104. PMID 2. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2. [出典無効]
- ^ a b 辻俊之「2気筒パルスデトネーション燃焼器によるガスタービンエンジンの性能特性」埼玉大学理工学研究科機械科学系専攻修士論文, ix73p、2009年5月。
- ^ 広島大学におけるパルスデトネーション研究の戦略と現状
- ^ 松岡健, 後藤啓介, ブヤコフバレンティン, 石原一輝, 野田朋之, 伊東山登, 川﨑央, 渡部広吾輝, 松山行一, 笠原次郎, 松尾亜紀子, 船木一幸, 中田大将, 内海政春, 竹内伸介, 岩崎祥大, 和田明哲, 増田純一, 荒川聡, 羽生宏人, 山田和彦「S-520-31号機によるデトネーションエンジン実験の進捗状況:回転デトネーションエンジン」『令和二年度宇宙輸送シンポジウム: 講演集録= Proceedings of Space Transportation Symposium FY2020』、宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)、2021年1月、NAID 120007041580。
- ^ a b デトネーションを利用した新しい内燃機関
- ^ プロパン-空気混合気を用いたパルスデトネーションタービンエンジンの作動実験
- ^ 筑波大学 大学院システム情報工学研究科 構造エネルギー工学専攻 笠原研究室
- ^ “Borealis PDE”. スケールド・コンポジッツ. 2019年10月26日閲覧。
- ^ “Scaled Composites Long-EZ "Borealis"”. 国立アメリカ空軍博物館 (January 26, 2016). 2019年10月25日閲覧。
- ^ “パルスデトネーションロケットエンジンの世界初の飛行実証に成功”. 名古屋大学 (2013年10月21日). 2019年10月25日閲覧。
- ^ 誰もが宇宙旅行に行ける時代を
- ^ PDエアロスペース、有人宇宙機を本格開発(日刊工業新聞)
- ^ 観測ロケットS-520-31号機 打上げ結果について 2021年(令和3年)7月27日 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
- ^ “観測ロケットS-520-31号機による深宇宙探査用デトネーションエンジン宇宙実証実験に成功”. 宇宙科学研究所. 2021年8月20日閲覧。
関連項目
外部リンク