『バーニング』(バーニング げきじょうばん、朝: 버닝)は、イ・チャンドン監督による2018年公開の韓国のミステリ・ドラマ映画。95分の短縮版でテレビ放送された『特集ドラマ バーニング』と劇場公開された148分の『バーニング 劇場版』の2つのバージョンが存在する。村上春樹の短編小説『納屋を焼く』を原作としており、ユ・アイン、スティーヴン・ユァン、チョン・ジョンソ(朝鮮語版)らが出演[3]。劇場版は第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映され、パルム・ドールを争った[4][5]。第91回アカデミー賞外国語映画賞には韓国代表作として出品され[6]、同国史上初めて最終選考9作品に残った[7]。
あらすじ
キャスト
製作
村上春樹の短編小説をアジアの映画監督が競作で映像化するプロジェクトの1つとして企画が進められた[8]。当初は2016年11月に撮影開始予定であったが、村上と彼の作品の多くの権利を所有するNHKとの間で発生した版権問題により延期された[9][10][11][12]。
本作は村上春樹の短編『納屋を焼く』を原作としているが、舞台を現在の韓国に移しており、ストーリーは大幅に異なっている。2016年10月、イ・チャンドン監督は釜山国際映画祭で「これは今日の世界の若者達についての物語だ。彼らがその人生と世界を考えるとき、それはミステリーのように感じるだろう」と述べた[9][11]。2017年9月、スタジオは原作のモチーフのみがあると発表した[13]。
2016年、カン・ドンウォンとユ・アインの出演が報じられたが、公式な発表はされなかった[10]。2017年9月5日、ユ・アインがジョンス役を務めることが発表された[14][15]。それから3日後、新人のチョン・ジョンソ(朝鮮語版)がジョンスの幼なじみで恋人のヘミ役に決定したことが報じられた。彼女は8月から始まっていたオーディションにより発掘された[16][17][18]。9月20日、 スティーヴン・ユァンがベン役で加わったことが報じられた[19][20]。
主要撮影は2017年9月11日に始まり[21]、2018年1月30日に坡州市で完了した[22]。
公開
イ・チャンドンの8年ぶりの新作映画[9]である本作は第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門にエントリーされた[4]
。イ・チャンドンの『シークレット・サンシャイン』(2007年)と『ポエトリー アグネスの詩』(2010年)もカンヌ国際映画祭コンペティション部門でプレミア上映されていた[23][24]。
映画はカンヌ国際映画祭のマルシェ・ドゥ・フィルム(英語版)で香港、中国、台湾、シンガポール、イギリス、日本、オーストラリア、ニュージーランド、スペイン、ギリシャ、ポーランド、トルコなど100カ国・地域以上に配給権が売却された[25]。
韓国では2018年5月17日に封切られた[26]。
日本では2018年12月2日にNHK BS4K、12月29日にNHK総合で日本語吹替による95分の短縮版が『特集ドラマ バーニング』の邦題で放送された[27]。その後、2019年2月1日に日本語字幕による全長版が『バーニング 劇場版』の邦題で劇場公開され[28]、全長版の原語版と日本語吹替版を収録したソフトが同年8月7日に発売された[29]。
以下は日本語吹替を担当した声優。
評価
批評家の反応
レビュー・アグリゲーターのRotten Tomatoesでは117件のレビューに基づいて支持率は94%、平均点は8.7/10となった[30]。Metacriticでは36件のレビューに基づいて加重平均値は90/100と示された[31]。
興行収入
韓国では初日に5万2324人を動員したが、これは『デッドプール2』(24万8904人)に次いで2位であった[32]。初週末では22万717人を動員して3位となった[33]。累計動員数は52万8168人に達した[34]。
受賞とノミネート
その他
第44代アメリカ合衆国大統領のバラク・オバマは2018年に観たお気に入りの映画15本に今作を選んだ[35]。
参考文献
- ^ Noh, Jean (May 23, 2018). “Cannes jury grid hit 'Burning' scores key deals including UK, Japan and Spain”. Screen International. May 24, 2018閲覧。
- ^ “Beoning (2018)”. The Numbers. 26 December 2018閲覧。
- ^ “A Korean twist to a Murakami tale”. Korea JoongAng Daily (May 5, 2018). 2018年12月28日閲覧。
- ^ a b “Cannes Lineup Includes New Films From Spike Lee, Jean-Luc Godard”. Variety. 12 April 2018閲覧。
- ^ “LEE Chang-dong Returns to Cannes Competition with BURNING”. Korean Film Biz Zone (April 23, 2018). 2018年12月28日閲覧。
- ^ Roxborough, Scott (7 September 2018). “Oscars: South Korea Selects 'Burning' for Foreign-Language Category”. The Hollywood Reporter. 7 September 2018閲覧。
- ^ “Academy Unveils 2019 Oscar Shortlists”. The Hollywood Reporter (17 December 2018). 18 December 2018閲覧。
- ^ “村上春樹の短編の世界をドラマ化! 3人の若者たちが織り成すミステリー”. NHK (2018年11月27日). 2018年12月28日閲覧。
- ^ a b c “Lee Chang-dong Lights Up Haruki Murakami Adaptation 'Burning'”. Variety (5 September 2017). 29 September 2017閲覧。
- ^ a b “LEE Chang-dong Announces New Project at BIFF”. KOFIC (21 September 2016). 29 September 2017閲覧。
- ^ a b TongTongTv 통통영상 (10 October 2016). “이창동·허우 샤오시엔·고레에다 히로카즈 '아시아 영화 거장의 만남' (부산국제영화제, BIFF, 아시아영화의 연대를 말하다) [통통영상]”. 2018年12月28日閲覧。
- ^ “'Burning' director Lee Chang-dong on his “ambiguous” Cannes Competition title”. 2018年12月28日閲覧。
- ^ “유아인 ‘버닝’, 하루키 원작 ‘헛간을 태우다’는 어떤 내용인가” (朝鮮語). Mydaily (22 September 2017). 29 September 2017閲覧。
- ^ “이창동 신작 '버닝' 유아인 출연 확정…9월 크랭크인[공식]” (朝鮮語). The Daily Sports (5 September 2017). 29 September 2017閲覧。
- ^ “Yoo Ah-in joins cast of Lee Chang-dong film”. Korea Joongang Daily (6 September 2017). 29 September 2017閲覧。
- ^ “Director Lee to release 'Burning' next year”. Korea Joongang Daily (21 August 2017). 29 September 2017閲覧。
- ^ “[공식 신예 전종서, 이창동 신작 '버닝' 파격 캐스팅…유아인과 호흡]” (朝鮮語). The Sports Chosun (6 September 2017). 8 September 2017閲覧。
- ^ “Newcomer JEON Jong-seo Joins YOO Ah-in on LEE Chang-dong Project”. KOFIC (14 September 2017). 29 September 2017閲覧。
- ^ “Steven Yeun to Join Yoo Ah-in's 'Burning'”. SBS Star (21 September 2017). 29 September 2017閲覧。
- ^ “‘Burning’ Star Steven Yeun Gets Role He’s ‘Been Waiting For’”. Variety (May 16, 2018). 2018年12月28日閲覧。
- ^ “스티븐 연, 유아인 이어 이창동 신작 '버닝' 합류” (朝鮮語). The Daily Sports Seoul (20 September 2017). 29 September 2017閲覧。
- ^ “Beo-ning”. KOBIZ. 6 March 2018閲覧。
- ^ “Lee Chang-dong's latest film, 'Burning,' billed as possible Cannes lineup”. Yonhap News Agency (25 March 2018). 10 April 2018閲覧。
- ^ “'Burning' Teaser: Filmmaker Lee Chang-Dong Is Back With His First Film In 7 Years”. The Playlist (5 April 2018). 10 April 2018閲覧。
- ^ “Lee Chang-dong's 'Burning' sold to over 100 countries at Cannes”. Yonhap News Agency (23 May 2018). 2018年5月29日閲覧。
- ^ “Lee Chang-dong's 'Burning' to hit screens” (英語). koreatimes (8 April 2018). 10 April 2018閲覧。
- ^ a b c d “村上春樹原作『バーニング』放送!”. NHK (2018年11月28日). 2018年12月28日閲覧。
- ^ “イ・チャンドン監督、3年ぶり来日 村上春樹原作の新作引っ提げ”. シネマトゥデイ (2018年11月12日). 2018年12月28日閲覧。
- ^ a b c d e f “バーニング 劇場版 [Blu-ray]”. Amazon.co.jp (2019年6月17日). 2019年6月17日閲覧。
- ^ “Burning (Beoning) (2018)”. Rotten Tomatoes. 13 December 2018閲覧。
- ^ “Burning reviews”. Metacritic. 13 December 2018閲覧。
- ^ “KoBiz - Korean film, news, actor, movie, cinema, location & Korean Film Archive”. Korean Film Biz Zone. 2018年12月28日閲覧。
- ^ Shim Sun-ah (May 21, 2018). “(LEAD) 'Deadpool 2' takes down 'Infinity War' at box office”. Yonhap News Agency. 2018年12月28日閲覧。
- ^ “BURNING (2018)”. Korean Film Biz Zone. 2018年12月28日閲覧。
- ^ “映画「万引き家族」、オバマ前大統領の「2018年のお気に入りリスト」に選ばれる。日本作品で唯一”. Huffingtonpost (2018年12月29日). 2019年2月2日閲覧。
関連項目
外部リンク
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