バナジン酸ビスマス

バナジン酸ビスマス
危険性
GHSピクトグラム
Hフレーズ H373
EU分類 有害 Xn
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

バナジン酸ビスマス(バナジンさんビスマス、: Bismuth vanadium oxide)は化学式BiVO4で表される、バナジン酸塩無機化合物。単斜晶系の結晶構造を持つ[1]ビスマスバナジウム黄 (Bismuth Vanadate Yellow) 、ビスマス黄 (Bismuth Yellow) とも呼ばれ、Colour Index Generic NameはPigment Yellow 184である[2]

用途

耐熱性に優れた黄色顔料として、塗料プラスチックセラミックス等に利用される[3]。とりわけ鮮やかな色調をもちながら毒性がないことから、同じく鮮やかな色調をもつ黄色無機顔料で毒性が強くなおかつ発色と効果の面で黄色有機顔料による代替を許さなかったカドミウムイエローの代替品として使用されることがある[4]光触媒としての性質も持ち、可視光照射下においてノニルフェノールビスフェノールAなどの内分泌攪乱物質を分解することから、水処理への応用が考えられる[1][5]。また、可視光下において硝酸銀水溶液から酸素を生成する。これは、従来から同じ反応を示すことが知られていた酸化タングステン(VI)より高活性である[1]。酸化タングステン(VI)や酸化スズと組み合わせることにより、人工光合成への応用が研究されている[6]

生成

従来はBi3O3酸化ビスマス(III))とNH4VO3メタバナジン酸アンモニウム)の混合物を、常圧下において700〜900℃で5時間焼成することにより作られてきたが、尿素の存在下で、NH4VO3とBi(NO3)3硝酸ビスマス(III))を90℃前後で反応させることにより得る方法が開発された[5]

脚注

参考文献

  • 荒川裕則監修『水分解光触媒技術 -太陽光と水で水素を造る-』シーエムシー出版、2003年。ISBN 978-4-88231-963-4