バタク・トバ語
バタク・トバ語 (Toba Batak) はインドネシアのスマトラ島北部、主にトバ湖の西側で使用されているオーストロネシア語族のマレー・ポリネシア語派に属する言語である。バタク文字を使用し、約200万人に使用されている。日常生活ではほぼ使われなくなったが、学校教育の中でわずかに文化史教育の一環として教えられている。 バタク・トバ語の特徴文字バタク文字は音節文字で、自立的な「字母」と付属的な「符号」とからなる体系である。字母は、内属母音/a/を含んだ音節/Ca/(子音+a)を表記する。ただし母音のみの音節/i/および/u/を表記する特別な字母も存在する。[1]。字母は「Ina ni surat」、符号は「Anak ni surat」と呼ばれる。 記述は伝統的に、左から右へと竹に刻むことで行われる。また、竹の下から上へと書き進むため竹を垂直に持つなどして読む。アルファベットはsi-sija-sija(9・9)と呼ばれる。これは字母の総数が、1本来表記には必要のないnyaを除き9+9つまり18個であることに由来する。 字母文字の表記は以下の通り。
符号内属母音以外の母音は、字母に符号をつけることで表記できる。 また、内属母音抹消符号(pangolat)をつけることで子音のみを表記できる。[1] 文字の表記は以下の通り。ここでは/Ka/を例にとる。
音韻母音a /a/ i /i/ u /u/ e /é/ /è/ o /o/ /ô/ 母音/é/と/è/、/o/と/ô/はそれぞれeおよびoによって区別なく表記される。 子音
形態論バタク・トバ語では、動詞が「基語」と「派生語」にわかれる。派生語は接辞を基語につけることによって作られる。そのうち、一種類の接辞が付くものを「simple derived verbs」、それ以上の数の接辞が付くものを「compound derived verbs」と呼ぶ。[3]simple derived verbsに付く接辞は6種類あり、「ma-」「mang-」「mar-」「um-」「pa-」「ha-」がある。compound derived verbsに着く接辞は11種類あり、「ma-hi」「ma-si」「mang-si」「ma/mang/mar-hu」「mangun」「mangi」「mar-si」「pa-tu」「ur/ar」「al」「mangha/marha]がある。このうちur/ar/alは接中辞である。 重複が表す意味は語に依存する。動作を表す語であれば動作の繰り返しや継続を表し、動作でない場合はそれに似た状況を表す。 また動詞の重複は基語のみが繰り返される。
脚注・出典関連項目外部リンク |