本拠地のミュンヘン ・ヘラクレス・ザール (ドイツ語版 )
本拠地のヘラクレス・ザールのホール内観
バイエルン放送交響楽団 (ドイツ語 : Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks 英語 : Bavarian Radio Symphony Orchestra 英語略称:BRSO )は、ドイツ ・ミュンヘン に本拠を置くバイエルン放送 専属オーケストラ (放送交響楽団 )である。
概要
戦後設立の比較的歴史の浅いオーケストラながら、ドイツを代表するシンフォニー・オーケストラの一つとして、高い評価を受けている。英『グラモフォン 』誌(2008年)や、『レコード芸術 』誌(2008年)のオーケストラ・ランキングで上位にランクされている。同じくミュンヘンにあるミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 とも高レベルでのライバル関係を築いている。拠点はミュンヘンの王宮 内にあるヘラクレス・ザール (ドイツ語版 ) 。
バイエルン放送には、バイエルン放送交響楽団の他にもミュンヘン放送管弦楽団 が所属している。フル編成のバイエルン放送交響楽団に対し、ミュンヘン放送管弦楽団 は二管編成の中規模オーケストラで、オペラ、オペレッタのスタジオ録音を多く行なっている。こうした二楽団方式は、ベルリン、フランクフルトなど他のドイツの放送局でも見られる形態である。
沿革
第二次世界大戦 終結直後からドイツ各地で放送オーケストラの設立ラッシュが始まり、各放送局が自前のオーケストラを持つようになったが、バイエルン地域の放送オーケストラは1949年 に設立された。
初代首席指揮者にはバイエルン出身のオイゲン・ヨッフム が就任、設立記念公演は同年7月13日 に行われた。このコンサートにはリヒャルト・シュトラウス も招かれ、自作の歌劇「カプリッチョ」の一部を指揮している。シュトラウスはこの公演の2ヶ月後に死去しており、この公演は彼の最後の指揮となった。初の公開コンサートは同年9月29日 、初の定期公演は1950年 の10月5日 にいずれもヨッフムの指揮によって行われている。ヨッフムの指導のもとバイエルン放送響はその基礎を固めた。ヨッフムのレパートリーはドイツの古典派・ロマン派の作品が中心を占めていたが、バイエルン放送響としては、1951年 から「ムジカ・ヴィヴァ」という現代音楽シリーズを開催、現代音楽の紹介という放送オーケストラらしい活動にも積極的に取り組んだ。
1960年 、ヨッフムはアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 に転出、後任にはバイエルンの隣国チェコ 出身のラファエル・クーベリック が就任した。クーベリックとのコンビは1978年 まで続き、この時代に急成長を遂げた。クーベリックはチェコ出身のマーラー をはじめとして、チェコの作品を積極的に採り上げた。このオーケストラの初来日が実現したのもクーベリック時代の1965年 の事である。クーベリックとのコンビによってマーラーの交響曲全集(DG )やシューマン の交響曲全集、モーツァルト の後期交響曲集(いずれもCBSソニー )など多くの録音を残している。またこの時代にはカール・ベーム をはじめとした大物指揮者が盛んに招聘され、“ドイツを代表するオーケストラ”という評価が定着した。
クーベリックの後、数年間首席指揮者を置かない形での活動が続き、ようやく1982年 の秋からキリル・コンドラシン の首席指揮者就任が内定したものの、その前年の1981年 にコンドラシンが急逝した事により、1983年 秋からコリン・デイヴィス が首席指揮者に就任した 。1980年代にはレナード・バーンスタイン もバイエルン放送響にしばしば客演しており、このコンビでの録音もいくつか遺された。
デイヴィスの後、1993年 から2003年 までロリン・マゼール が首席指揮者を務め、2003年の秋からはマリス・ヤンソンス が2019年に死去するまでその地位にあった。
ヤンソンスの没後、首席指揮者は空席となったが、サイモン・ラトル が2023/24から5シーズン、バイエルン放送交響楽団 及び バイエルン放送合唱団 の首席指揮者を務めることが2021年1月11日に発表された[ 4] 。
歴代首席指揮者等
オイゲン・ヨッフム (1949 - 1960) ドイツ
ラファエル・クーベリック (1961 - 1978) チェコ (当時 チェコスロバキア )
コリン・デイヴィス (1982 - 1992) イギリス
ロリン・マゼール (1993 - 2002) アメリカ合衆国 (生まれはフランス )
マリス・ヤンソンス (2003 - 2019) ラトビア
サイモン・ラトル (2023 - ) イギリス
脚注
注釈・出典
参考文献
ONTOMO MOOK『世界のオーケストラ名鑑387』音楽之友社 、2009年。
ONTOMO MOOK『世界の名門オーケストラ』音楽之友社 、2020年。
上地 隆裕著『世界のオーケストラ(2)下 ~英、露、パン・ヨーロピアン 編~』株式会社 芸術現代社、2017年。ISBN 978-4-87463-207-9 。
関連項目
ガスタイク - ミュンヘンに所在する、2387席のコンサートホール を含む複合文化施設。バイエルン放送交響楽団も、当該ホールでもしばしば演奏を行っている。
外部リンク