ハンブルク市議会 (ハンブルクしぎかい、ドイツ語 : Hamburgische Bürgerschaft )は、ドイツ の都市州 であるハンブルク の議会である。
歴史
1410年の「最初の協定」(der Ersten Rezess)
ハンブルクでは、1410年に「最初の協定」(der Ersten Rezess)[ 1] と呼ばれる市民協定が市参事会と市民との間に結ばれた。この協定は、市参事会が1人の市民を不当に逮捕した事件をきっかけに、市民の代表として選出された60人からなる市民委員会 と市参事会が事件解決のために締結したものである。この協定では、市民が裁判を受けることなく逮捕されることはないこと(第1条)が定められたほか、開戦については市民に前もって通告すべきこと(第6条、第9条)といった市民の共同決定権にあたるものも規定された[ 2] 。1417年には、市民協定が破棄され市民委員会も解散させられているが、15世紀半ばに市民と市参事会との対立が再燃し、1458年には新たな市民協定が締結された。この「第2協定」では、市民の共同決定権が規定され、1410年の協定の内容が再確認されることとなった[ 3] 。
1517年に始まった宗教改革 の影響を受け、ハンブルクでも1528年には4つの主要教会がカトリック から福音主義 へと転向した。ルター派市民は、貧者と病人に対する慈善活動のための献金箱を4つの教区ごとに設置し、各教区には12人の管理人(計48人)がおかれた。この献金箱を管理する48人に、各教区から選ばれた24人(計96人)を加えた144人で構成する市民委員会が組織され、1529年には市参事会との間に「長い協定」と呼ばれる市民協定を結んだ。この協定は132条からなり、多くの共同体事項についての市民委員会への諮問と、戦争と平和についての市民の共同決定権が確認された[ 4] 。
1848年にハンブルク憲法制定議会が選出されたが、三月革命 の後退もあり、その後10年にわたって新憲法は制定できなかった。1859年に市議会議員選挙法が制定。これにより、市議会の半数は特権市民から、残り半数は25歳以上の納税能力のある男子市民(全住民の5%)の選挙で選ばれることとなった。同年11月に市議会選挙が実施され、翌1860年に市参事会と市議会は新憲法を可決した[ 5] 。
ドイツ革命 後の1919年には、20歳以上の男女による普通・平等選挙が導入された。3月に行われた市議会議員選挙では、社会民主党 (SPD)が50.46%の票を獲得して多数派を占め、同党を中心とした市参事会が組織された。1920年には、新しい憲法がSPDとドイツ民主党 (DDP)の多数によって可決。これにより、市議会が立法権を行使し、市参事会は市議会の信任に基づく行政府となり、統治権が市議会に単独で帰属することが明確化された。
1932年の市議会選挙でナチス党 が第1党となる。1933年にはカール・カウフマン により市議会の解散が命じられた。
第二次世界大戦 後の1946年2月、占領軍により選挙を経ずに市議会議員が任命され、市議会が発足。憲法草案が作成され、5月には市議会で暫定憲法が可決した。同憲法に従って、10月に市議会選挙が行われ、110議席中83議席をSPDが占める結果となった。1952年には市参事会が提出した憲法案が市議会で可決された[ 5] 。
政党と議席数
2020年2月に実施された州議会議員選挙の結果、会派別の議席構成は以下の通りとなった[ 6] 。
歴代議長
脚注
^ 市民協定はこれ以後も何度か締結されている。
^ 稲元格「〈翻訳〉『ハンブルク市の市民協定(1410年)』 」『近畿大學法學』第64巻第1号、近畿大学法学会、2016年7月、19-79頁、CRID 1050001202545958784 、ISSN 09164537 。
^ ただし市参事会に主導権があったとされ、市民集会の開催権が市参事会にある内容となっていた。
^ 石川一三夫, 矢野達雄『裁判と自治の法社会史 : 熊谷開作先生生誕百年記念論集 』晃洋書房、2020年。ISBN 9784771033894 。全国書誌番号 :23468902 。https://www.google.co.jp/books/edition/%E8%A3%81%E5%88%A4%E3%81%A8%E8%87%AA%E6%B2%BB%E3%81%AE%E6%B3%95%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%8F%B2/1WINEAAAQBAJ?hl=ja&gbpv=1&dq=%E8%A3%81%E5%88%A4%E3%81%A8%E8%87%AA%E6%B2%BB%E3%81%AE%E6%B3%95%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%8F%B2&printsec=frontcover 。
^ a b 稲元格「〈研究ノート〉中世都市ハンブルクの市民協定 」『近畿大學法學』第60巻第1号、近畿大学法学会、2012年6月、185-238頁、CRID 1050282677534096640 、ISSN 09164537 。
^ #HHWahl – Bürgerschaftswahl am 23. Februar 2020 in Hamburg
外部リンク