ナガンM1895
ナガンM1895は、1890年代初期にナガン兄弟によってベルギーで開発された回転式拳銃である。 概要ナガン兄弟は兄であるエミール・ナガン(Emile Nagant)と弟であるレオン・ナガン(Leon Nagant)の2人を指す。ナガンのリボルバーはスウェーデンやポーランドなど多くの国で使用されたが、最も熱心な顧客はロシア帝国(後のソビエト連邦)であった。M1895という名前はロシア政府が採用した年が1895年であったことに由来している(ベルギーから輸出されたのは1898年)。 本銃はダブルアクションタイプのリボルバーであった。装填・排莢はシリンダー右後方にあるローディングゲートを開き、1発ずつ行う。排莢に際しては、銃身の下に設けられたロッドを右に振り出し、後ろへ押し込むと空薬莢または不発射弾薬をシリンダーから押し出すことができる。口径は7.62mmで、弾丸は専用の7.62×38mmRナガン弾を使用し、装弾数は当時としては珍しい7発であった。ナガン弾はカートリッジの先端が弾頭先端のやや先まで伸びていて、カートリッジを側面から見ると弾頭は内部に隠されている。またカートリッジの先端はやや絞られている。本銃の特徴として、回転弾倉の前面にガスシーラーとして機能する加工が施されていることがあげられる。引き金を引くと回転弾倉が回り、カートリッジごと前進してバレルと弾倉の隙間をふさぎ、加えてカートリッジの先端がバレル後端に挿入される。撃発と同時に発射ガスによる圧力を受けてカートリッジの先端ふちが広がり、バレルの内側に密着してガスの漏れを防ぐ。このため、リボルバーの最大の弱点である燃焼ガス漏れがほぼ完全に解消でき、弱装弾であっても十分に使用することができる。また、この特異な機構により、リボルバーとしては珍しくサプレッサーが使用可能である。サプレッサーはブラミット・デバイス(Bramit device)と呼ばれ、後の赤軍やソ連軍将校・特殊部隊が使用したという。ハンマー露出式だがダブルアクションのみで使用でき、シングルアクションとダブルアクションを併用できるのは初期型に限られる。一般的なリボルバーに比べて回転弾倉を前進させる機能が追加されているため、ダブルアクションの操作力はより重いものになっている。長く伸びたファイアリングピンを折りたたむことで安全に携行できる(馬上での使用のため、ダブルアクションが重宝されたと言われる)。 しかしながら、本銃はシリンダーをスイングオープンできないタイプの旧式リボルバーであり、S&Wやコルトのリボルバーがスイングオープンを採用した1900年代初頭にはすでに時代遅れの銃となった。さらに、専用の弾丸が必要であるうえ、構造が複雑であり汎用性に欠けていた。 それでも、社会主義体制下のソ連では1930年まで標準的な軍用拳銃であり、後継のトカレフTT-33と共に1950年頃までは生産が続けられたと言われている(第二次世界大戦時にはドイツの拳銃は9mm口径、アメリカの拳銃は.45口径(11.43mm)が標準であったのにもかかわらずである)。その後もスポーツタイプとして7.62mm弾と.22LR弾を使用するタイプが作られたとされるが、詳細は不明である。 登場作品映画
漫画
小説
ゲーム
関連項目外部リンク
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