ドメイン (ソフトウェア工学)ドメイン、あるいは事業活動[1]、事業領域[1]とは、ソフトウェア工学において、あるソフトウェアが対象とする領域[1]のことである。あるドメインに属する知識をドメイン知識という。 概要ドメインはその定義の範囲の広さに関わらず、あるプログラミングプロジェクトにおける適用対象を表す[2]。例えば、ある病院のためのコンピュータプログラムの作成を目的としたプロジェクトがある場合、ドメインはその病院となる。さらに、そのプログラムの対象を「全ての病院」に拡大した場合、ドメインは「全ての病院」となる。 コンピュータプログラミング設計においては、コンピュータプログラミングの領域において、ある問題を解決するために構築されたソフトウェアプログラムに共通する要件、用語、機能の境界を明確にすることによってドメインを定義することができ、これはドメインエンジニアリングと呼ばれる[2]。 「ドメイン」という言葉は、「アプリケーションドメイン」の同義語としても用いられる。
ドメイン駆動設計(DDD)におけるドメイン→詳細は「ドメイン駆動設計」を参照 ドメイン駆動設計(DDD)においては、事業領域内において同じ言葉を使うことによって、ある事業におけるドメインエキスパートとエンジニア間での事業活動に対する共通理解を形成する[1]。ここで、同じ事業領域内においても、文脈が違えば同じ言葉が異なった意味を持つ場合が存在する。そこで、ドメイン駆動開発では区切られた文脈という概念を導入し、文脈ごとに異なる言葉の意味を明確にする[1]。この区切られた文脈を適当に設計することが、ドメイン駆動設計の核心的な考え方の一つである。 ドメインモデルは区切られた文脈によって明確に定義された言葉に属するロジックを表現するオブジェクトモデル[1]である。同じ名前のドメインモデルであっても、文脈が異なれば、異なるロジックを持つ。例えば「見込み客」という言葉である。この言葉はある文脈においては「自社の製品に興味を持った」という意味であり、また他の文脈においては「営業プロセスにおいて取り組むべき対象」という意味である[1]。これらの文脈においては、同じ言葉はそれぞれ異なる業務ロジックを持つ。 区切られた文脈は、言語学における「意味論的な領域」に基づいていると考えられる[1]。ここで、意味論的な領域とは、同じ言葉が同じ意味で使われる範囲のことを指す。例えば「トマト」という言葉を例に挙げると、植物学の文脈においてはトマトは「果実」である一方で、アメリカの課税制度の文脈においてはトマトは「野菜」である[1]。ここで、「植物学」と「アメリカの課税制度」はそれぞれ「意味論的な領域」であると考えられる。 関連項目出典
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