トラッキング現象トラッキング現象(英語: tracking phenomenon)とは、追従、追跡、軌跡などを意味する語で、分野によって意味が異なる。 分野
電気工学分野コンセントとそれに接続しているプラグにおいては、その間に存在するわずかな隙間に空気中を浮遊していたほこりが堆積することなどによって微弱な電流が流れうるため、ジュール熱が発生するため樹脂が炭化し樹脂の吸湿性が上がる。ここに空気中の水分(湿気)が取り込まれると本来絶縁を保っていた樹脂の通電性がさらに上がった状態になる[5]。ここで直接的な原因は発生したジュール熱であって、ほこりや湿度の高さは間接的な原因である。木材などにおいては同様の理由で炭化した物質中では電流が流れやすくなる[6]。すなわちどちらの分野においても熱によって物質が炭化してしまうことを指す。 これがトラッキング現象であり、発生すると著しく漏電火災の発生可能性が高まる[5]。またこの現象によって発生した火災のことを、特にトラッキング火災という場合がある[7]。木材などにおいては物質が炭化することに注目し、グラファイト化現象もしくは金原現象と呼称する場合がある[6][8]。同様にこれによって生じた火災のことをこの名が指す場合がある[6]。 語源上記の通り物体上に短絡路ができる現象であるが、この短絡路をトラック(英: track)と呼び、それが発生する現象であるためトラッキング現象という名称になったといわれる。[6] 原因大まかな原因は上記で述べたが、より詳細に検討すると複雑な要素が存在し、またこれらが複合的に重なり合って発生するため、一概にほこりや空気中の水分のみが原因とは言い切れない。具体的な要素としては木下 (2001)は以下の要素を挙げた。
対策トラッキング現象を発生させないためには、原因となるほこりなどを堆積させないために、電気製品においてはプラグ周辺を定期的に清掃することや、トラッキング現象対策製品を購入し使用することなどで対処可能である[5]。 規格トラッキング現象についての規格は国際電気標準会議が定めたIEC 60112、及びこれを基に作成された日本産業規格のJIS C 2134が存在する[9]。 脚注
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