トミー・アトキンス(英語: Tommy Atkins)もしくはトミー(英語: Tommy)はイギリス陸軍の一般的な兵士を表す俗語。19世紀中にはおそらく明確に定着していたが、特に第一次世界大戦との関連が深い。権限もしくは肩書きを表すものとして使われた。ドイツの兵士たちはイギリスの兵士たちに「トミー(Tommy)」と呼びかけ、フランスや英連邦の兵士たちもまたイギリス兵を「トミーズ(Tommies)」と呼んだ。より時代が降ると「トミー・アトキンス」という名前は頻繁には使われなくなるが、しかしそれでも「トム(Tom)」という名前はときどき耳にされた。またイギリス陸軍落下傘連隊の兵卒は今でも「トムズ(Toms)」と呼ばれている。
名前の由来
トミー・アトキンス(Tommy Atkins)、もしくはトーマス・アトキンス(Thomas Atkins)という名前は一般的なイギリス兵を表す総称として何年も使われてきた。その起源は議論の的となっているが、1743年にはすでに使われていたことが明らかになっている。ジャマイカから送られた、軍隊の間での暴動に関する手紙の中では、「北米からきた人々を除けば、海兵とトミー・アトキンスは立派に振る舞っている("except for those from N. America ye Marines and Tommy Atkins behaved splendidly")」と述べられている[1][2][3]。
しかし、J・H・レスリー(J. H. Leslie)が1912年に雑誌『ノーツ・アンド・クエリーズ(Notes and Queries)』で論じたことによれば、「トミー・アトキンス」という名前は1815年に戦争省によって仮名として採用され、兵士名簿の歩兵の書式の全てのサンプルにおいて記号で署名されていた。騎兵隊の方にはトランペット奏者のウィリアム・ジョーンズ(William Jones)と軍曹のジョン・トーマス(John Thomas)の名前があったが、しかし記号は用いられていなかった。レスリーは1837年の国王の法令集(King's Regulations)の204から210頁、およびのちの版の中にも同じ名前を見つけている。レスリーは、このことがウェリントン公爵によって1843年に「トーマス・アトキンス」の名前が選ばれたという逸話を反証していると述べている[5]。
Atkins became a sergeant in the 1837 version, and was now able to sign his name rather than merely make his mark. アトキンスは1837年の版では軍曹になっていて、そして今や単に彼の記号を書くだけでなく彼の名前を署名できるようになった。
オックスフォード英語辞典はその起源を「1815年以降の規定による見本書式の中でこの名前が略式に使われたことに起因する」として、引用は"Collection of Orders, Regulations, etc., pp. 75–87, published by the War Office, 31 August 1815."を参照している。「トーマス・アトキンス」という名前は典型的な騎兵や歩兵の名前として使われたが、「ウィリアム・ジョーンズ」や「ジョン・トーマス」といった他の名前も使われた。そのうち「トーマス・アトキンス」は20世紀初頭まで兵士名簿の中で使われ続けた[7]。
また1893年にミュージカル劇「愉快な少女(A Gaiety Girl)」のため、ヘンリー・ハミルトン(Henry Hamilton)作詞、サミュエル・ポッター(Samuel Potter)作曲で、バリトン歌手のC・ヘイドン・コフィン(C. Hayden Coffin)に歌わせる「トミー・アトキンス二等兵」という歌が作られた。すぐにロンドンのウィルコックス株式会社(Willcocks & Co. Ltd.)から出版され[9]、翌年にはニューヨークのT・B・ハームズ株式会社(T. B. Harms & Co.)からも出版された[10]。またその曲はヘイドン・コフィンによってのちに上演された「サン・トイ(San Toy)」の中でも再び紹介された。彼はその曲をボーア戦争中である1900年3月1日のレディスミス包囲(Siege of Ladysmith)で歌ったことを回想し、「聴衆はそのようなレベルの熱狂に奮起させられ、皆立ち上がって、お金のシャワーを舞台へ浴びせ始めた(the audience were roused to such a pitch of enthusiasm, that they rose to their feet, and commenced to shower money on to the stage)」と語った[11]。
Such was the day for our regiment
Dread the revenge we will take.
Dearly we paid for the blunder
A drawing-room General's mistake.
Why weren't we told of the trenches?
Why weren't we told of the wire?
Why were we marched up in column,
May Tommy Atkins enquire…