チベット料理は、チベット高原(チベット自治区、青海省、四川省西部、甘粛省・雲南省の一部)を中心に、ネパール、インド北部、ブータンなどチベット系住民が多く住む周辺国・地域で食べられている料理である。
特徴
地理的に高地の為、もともと食材が豊富な方ではなく、料理の種類や味付けも豊富ではない。野菜や果物なども使われるが、種類は限られる。肉はチベットに多く生息するヤクや羊、ヤギなどの肉が多く食べられている。生乳、バター、チーズなどの乳製品もよく食べられる。
チベット仏教徒であるチベット人が食べる食事は、禅宗の精進料理のような禁葷食ではない。チベット料理に用いられる動物は、偶蹄類に限り、馬、ロバ、犬や、蹴爪のある鶏などの鳥類は食べない。また、水中にいる魚類、甲殻類、貝類、両生類なども食べない。ただし、近年、若いチベット人の中には、中国料理としてのニワトリ、アヒル、エビなどの料理を食べるものもいる。
調味には、塩やカホクザンショウ(花椒)がよく用いられる。
主なチベット料理
- 麦焦がし。チベットの主食。大麦の一種のハダカオオムギを炒って粉末状にしたものにジャ(バター茶)を少量加え、手で良くこね、団子状にして食べるもの。
- チベットのパン。地域ごとに異なり、一般的にはホットケーキのように円形で薄いもの。肉入りの揚げパンはシャパレという。
- うどんに類似。日本のうどんと違い、麺にコシはないが野菜やきのこ、ヤクの肉などの具材を加えたあっさりとしたスープで、日本人にも食べやすい。すいとん状のトゥクパもある。
- アムド地方で食べられるチベット風うどん。麺はきし麺のように平打ちにしたもの。
- チベット風の餃子。野菜のほか、チベット本土ではヤクの肉が具材として使われる。形は小籠包に近いのが多い。日本や中国と同じものもあれば、シュウマイのように丸い形のものもある。ネパールやブータン、シッキムでもポピュラーな料理で、水餃子のものや具材にチーズを加えるなど、地域によって食べ方が変わる。
- プージャ (བོད་ཇ་)、直訳するとチベット茶はバター茶である。黒茶を固めた磚茶(団茶)[1]を削りヤク乳のギー[2]であるヤクバターと岩塩を混ぜたものをドンモと呼ばれる道具で撹拌して作る。塩分がありスープに近い味で、日本人には好みが分かれる。
- 大麦や米などからつくられる酒。
脚注
- ^ 光永俊郎「嗜オオムギについてⅤ-歴史・文化・科学・利用」『FFIジャーナル』第216巻第1号、日本食品化学研究振興財団、2011年1月、65頁。
- ^ 光永俊郎「嗜オオムギについてⅤ-歴史・文化・科学・利用」『FFIジャーナル』第216巻第1号、日本食品化学研究振興財団、2011年1月、64頁。
外部リンク