スラヴァ!

政治的序曲スラヴァ!』(Slava! A Political Overture)は、レナード・バーンスタインが作曲した管弦楽曲演奏会用序曲)。

概要

バーンスタインの友人であったムスティスラフ・ロストロポーヴィチワシントン・ナショナル交響楽団の音楽監督に就任したことを祝って作曲され、1977年10月11日、ロストロポーヴィチがバーンスタイン作品の個展を行った際に初演された。ロシア語の歓呼の言葉である"Slava"はロストロポーヴィチの愛称でもあり、曲はユーモラスな効果が盛り込まれた陽気な作品である。主題材料は前年に初演され、成功しなかったミュージカルペンシルヴァニア通り1600番地英語版』から取られた。

クレア・グランドマン(Clare Grundman)による吹奏楽編曲でも親しまれている。この編曲では、録音テープを用いる部分は省かれている。

楽器編成

フルート2、ピッコロオーボエ2、イングリッシュホルン小クラリネットクラリネット2、バスクラリネットソプラノサクソフォーンバスーン2、コントラバスーンホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバティンパニ小太鼓テナードラム大太鼓チューブラーベルシンバル(クラッシュ、サスペンデッド)、グロッケンシュピールラチェットスライドホイッスル、スティールパイプ、タンバリントライアングルヴィブラフォンシロフォンマリンバむちウッドブロックピアノ録音テープ弦五部ハープエレキギター

楽曲

演奏時間は約4分。「速く、華やかに」(Fast and flamboyant)と指示されている。最初に現れる主題はミュージカル内のナンバー"Grand Old Party"によるもので、7/4拍子を中心に進む。2つ目の主題は"Rehearse!"により、7/8拍子を中心にする。

冒頭の楽想が戻ると、テープからバーンスタイン、マイケル・ウェイジャー英語版アドルフ・グリーンパトリック・オニールによる政治的な演説と、群衆の歓呼が流され、政治集会のパロディが行われる。2つの主題が逆順に再現され、7/8拍子の主題の伴奏に乗ってモデスト・ムソルグスキーオペラボリス・ゴドゥノフ』の「戴冠式の場面」("Slava!"という歌詞が登場する)が引用される。最後に団員が"Slava!"を叫び、あっけなく終わる。

作曲当初には2つ目の主題の提示前に、ロストロポーヴィチの飼い犬の名前"Pooks"を叫ぶ部分があり、バーンスタイン自身の録音(イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団1978年)では採用されている。

参考文献