ショート・サーキット (映画)
『ショート・サーキット』(Short Circuit)は、1986年製作のアメリカ映画である。ジョン・バダム監督。偶然人工知能の中に感情が芽生えたロボットの逃走と、彼をかくまう人々の友情および、彼らとロボットを回収・破壊しようとする企業との対決が描かれる。 1988年には続編の『ショート・サーキット2 がんばれ!ジョニー5』も製作された。 ストーリー軍事企業「ノヴァ・ロボティクス」は、軍向けのプレゼンで全5体からなる戦闘用ロボット「S.A.I.N.T.(セント)」を発表した。無人の戦車をレーザーで破壊するというデモンストレーションの直後、にわかに雷雨が起きたため、社長のマーナーの提案で、社内でウェイトレスロボットの給仕による即席のパーティを開催することになり、セントたちもパーティ会場に駆り出されることになった。雷が激しさを増し、研究所へ戻り順次充電中だった5体のセントのうち、最後の「ナンバー5(ファイブ)」は、落雷による高電圧を受けた。従業員の動作チェックを受けたナンバー5に異常がないように見えたため、5体はそのまま、マーナー社長の命令によって、パーティ会場に向かった。最後尾のナンバー5は厨房へ戻るウェイトレスロボットの姿態に目を奪われ、別のルートを走行し始め、偶然ゴミ収集ロボットに建物外へ押し出されて、そのままトラックに積み込まれ、研究所を抜け出した。 パーティ会場にセントが4体しかいないことに気づいたマーナー社長は、開発者のクロスビーとベンに、ひそかにロボットの不在を伝える。彼らは測位システムを起動してナンバー5が社外に出たことを突き止め、遠隔プログラミングで会社に戻るように命令するが、「INPUT」という文字列を返すのみで応じようとしなかった。ナンバー5が民間人に危害を加えることを恐れたマーナー社長は、警備主任のスクローダーに、ナンバー5の捜索と破壊を命じる。 蝶を追いかけ、自覚のないままノヴァ社の警備車両を振り切ったすえ、オレゴン州アストリア郊外に迷い込んだナンバー5は、そこに住む女性・ステファニーと出会う。ナンバー5を地球に迷い込んだ宇宙人と勘違いしたステファニーはナンバー5を家に招き、「INPUT」と連呼するナンバー5の求めに応じ、百科事典などの書物や、テレビのリモコンを手渡した。一夜明け、ナンバー5は、人間のように自由に言葉を操ることができるようになった。ステファニーは、偶然転んだナンバー5の機体の底に刻印されていた銘板を見て、彼がノヴァ社のロボットであることを知って失望し、回収してもらうためにノヴァ社に電話をかけた。そのときステファニー邸の庭でバッタと遊んでいたナンバー5は、誤ってバッタを踏みつぶしてしまう。「再構築」と願うナンバー5に対し、ステファニーは「死んだ命は生き返らせることはできないの」と伝える。自身が生命を獲得したと信じていたナンバー5は、ノヴァ社が自分の生命を「解体」しにやって来るとさとり、ステファニーの自動車を盗んで逃走した。ステファニーは必死で自動車にしがみついた。 自動車は港の行き止まりに達し、そこへクロスビーとベンが到着した。クロスビーはステファニーから「ナンバー5が運転してきた」と聞き、耳を疑う。そこへスクローダーら警備員たちが現れ、ナンバー5を銃で撃ち始めた。クロスビーは「撃つな」と叫んで、銃を構える警備員たちの前に立ちはだかり、ナンバー5の電源を切ろうとスイッチに手を伸ばしたところ、抵抗に遭い、ナンバー5の変化に気づくが、その場を収めるため、なんとかスイッチを押し、ロボット運搬車に積み込んだ。ステファニーとクロスビーはナンバー5のことについて連絡を取り合うことを約束し、別れる。電源が切れたはずのナンバー5は走行中の運搬車の中で目覚め、自分で電源スイッチを入れ、壊れた部品を自分で交換し、運転する警備員たちにレーザー銃を突きつけて、運搬車を奪った。カーラジオから流れるエル・デバージの『フーズ・ジョニー』に心を奪われたナンバー5は、自身に取り付けられた測位システム用の発振器を取り外し、対向車線のトラックに投げ込んだ。その後、回収された発振器を見たクロスビーは、ナンバー5に意志が芽生えたことを疑い、独断でナンバー5を守ることを決意し、ベンを連れて研究所を飛び出した。 軍事機密だったはずのナンバー5の失踪はマスコミに公開され、2万5000ドルの懸賞金がかけられることとなった。ステファニーは「第一発見者」としてメディアスクラムに見舞われるようになった。取材陣が去った深夜、再びステファニーの前にナンバー5が現れた。ステファニーのテレビ映像を見た元恋人のフランクがステファニー邸をたずね、ナンバー5捕獲を試み、攻撃を加えたが、ナンバー5は本気で反撃せず、レーザーでベルトを焦がし、ズボンを落として退散させた。ステファニーはナンバー5が決して人間に危害を加えないことを確信する。 ナンバー5を捜索中のクロスビーとベンの自動車無線に、マーナー社長が「ステファニーが『クロスビーに会いたい』と電話してきた。バー『ブラック・ライオン・イン』へ行け」と伝えた。これはノヴァ社の罠で、すでに変装したスクローダーら警備員たちと、3体のセントが潜伏していた。セントの襲撃を受けたナンバー5は、その場にあった道具を使った機転によって3体を撃退し、ステファニーを救出した。山岳地帯に逃げたあと、一連のできごとがクロスビーの策謀だと思い込んだステファニーはナンバー5に「あの男をレーザーで黒焦げにしてよ」と口走る。ステファニーの言葉が本意でないことを察したナンバー5は、クロスビーを運搬車ごと山岳地帯に連れてくる。ステファニーとクロスビーを引き合わせたナンバー5はふたりに「コミュニケーション、INPUT」と告げる。 クロスビーは会話によってナンバー5の変化を探った。ナンバー5はプログラミングに応じなくなった理由を「命令は破壊。人間は生きている。人間の破壊はよくない」と明かした。クロスビーがうろ覚えのジョークを話してみせると、ナンバー5は少し考えたあと、大きく笑った。クロスビーは「こんなつまらないジョークで気を使って笑ってくれるなんて、感情のある証拠だ」と喜ぶ。 そこへすでに追手が迫っていた。運搬車に立てこもったナンバー5をかばうように車外に出たステファニーとクロスビーは、マーナー社長やスクローダーを説得するが、警備員たちに取り押さえられる。そのとき後部ハッチから1体のロボットが飛び出し、軍から派遣されたヘリコプターによってすかさず爆破されてしまう。警備員たちは快哉を叫ぶが、ビジネスチャンスが失われたことの落胆と、ナンバー5を破壊したことに後悔が収まらないマーナー社長はスクローダーをその場で解雇する。 失意のまま、当てもなく運搬車を走らせるクロスビーは、ステファニーに「モンタナ州の僕の実家に来ないか」と誘う。その時「それはいいアイデアだ」と聞き慣れた合成音声が聞こえた。荷台の床下の収納スペースからナンバー5が姿を表した。彼は運搬車内のスペア部品から別のセントを組み立て、おとりとして放ち、攻撃させたのだった。ナンバー5は「変な(stupid)名前だから、新しく『ジョニー・ファイブ』を名乗るよ」と宣言した。 登場人物ロボット
人間
キャスト
スタッフ
日本語版制作スタッフ
製作
評価レビュー・アグリゲーターのRotten Tomatoesでは38件のレビューで支持率は61%、平均点は5.30/10となった[3]。Metacriticでは12件のレビューを基に加重平均値が50/100となった[4]。 派生作品
その他
脚注
外部リンク |